51 / 55
第五十一話 暁のルード
しおりを挟む
「ぐっ!……やはり……お主、二ムバスからその魔剣を授かったというのか?」
授かったっていうか……。何て説明すれば……。
まあいいか。面倒臭いし。
「まあそんなところ」
「ぐふっ!……」
レジルは俺の回答によほど衝撃を受けたのか、血反吐を吐き出した。
いや、いくら何でも俺の返答で内臓がやられるわけがない。
単にさっき斬った鼻から出た血が口腔内に溜まっていただけか。
ま、ようはタイミングだね。
そんなどうでもいいようなことを考えていると、レジルが焦った様子でつぶやいた。
「なんてことだ……せっかく……くそっ!」
どうやら戦意喪失しているらしいな。
なら……。
「おい、お前、その身体から抜け出たら見逃してやっても良いぞ」
レジルが懐疑的な目を俺に向ける。
「本当だ。俺は別段、お前を退治するつもりでここにいるわけじゃない。単に偶然出くわしただけだ」
「本当だろうな?」
「ああ。ただし、聞きたいことがある」
再びレジルが懐疑的な眼差しで俺を見つめる。
「……なんだ?」
「何故お前は召喚されたんだ?普通お前みたいなでかぶつを召喚なんて出来ないだろう」
するとレジルが俺の顔を見つめ、様子を探りながら答えた。
「俺固有の魔方陣があれば出来ることだ」
「固有の魔方陣……それさえ展開出来れば召喚できると?」
「そうだ。どうやって手に入れたのかは知らんがな」
魔方陣……。確かに魔方陣が光り輝いた後にこいつは現れた。
あの魔方陣はルビノが展開したのか?
いや、ルビノはバーサーカー状態だった。
ならばベノンか?
だがベノンはこいつが召喚されると、慌てふためいていた。
じゃあ誰が?
いや、闘いの前にベノンたちがにやついていたのが気になる。
ならばやはりベノンたちが魔方陣を展開したのでは?
ただし、召喚したレジルが思っていたよりもあまりにも巨大だったため、慌てふためいたのだとしたら?
その線が妥当か……。
となると、ベノンたちは誰かに騙された?
ちっ!何かもやっとするな。
もしかしたらベノンがダンジョンで俺を亡き者にしようとしたのも、関係あるか?
たぶん……ある。
おそらくベノンの背後に黒幕がいる。
そいつが何らかの理由で俺を亡き者にしたがっているんだ。
なるほどね。そういうことか。
「いいだろう。消え失せろ。その身体を本来の持ち主に返せ」
俺が吐き捨てるように言うと、レジルはゆっくりとうなずいた。
すると、少しずつ巨大なレジルの身体が収縮しはじめた。
と同時に身体から黒い靄が湧き出す。
そうしてゆっくりと静かにレジルは小さくなっていき、ついにはルビノの姿が現れだした。
「ちっ!こいつを助けたかったわけじゃないんだけどな……」
俺はルビノの嫌みったらしいむかつく顔立ちを見て、思わず吐き捨てるように言った。
するとルビノの口がゆっくりと開いた。
「これでいいのだな?ジーク=テスターよ」
「ああ。とっとと消えろよ。ぶちのめすぞ」
「わかった。では、さらばだ」
レジルと思われる意識がスーッと消えたようだ。
途端にルビノの身体がぐしゃんと石床の上に崩れ落ちた。
「ぐ……うぅ……」
ルビノのうめき声が響く。
どうやら元通りになったらしい。
不本意だ。大いに不本意だ。
俺は正気のこいつをぶちのめしたかったのに。
ああ、腹立たしい。
その時、俺の左手側から、突然声が上がった。
「勝者、ジーク=テスター!」
え?
俺が左を向くと、裁定者が高々と右手を挙げて、俺の勝利を宣言していた。
裁定者……まだいたんだ。
「ええと……どうも」
俺はなんとも言えない気分だったため、うまく言葉が出なかった。
すると裁定者がゆっくりと俺に歩み寄ってきた。
「お見事でした」
「ああ、どうも。ていうか、よく逃げずにいましたね?」
「ええ。こう見えてもわたし、Sランク冒険者ですので」
Sランク。こりゃ驚いた。
なるほど、だったら逃げずにいられるか。
「お名前伺ってもいいですか?」
「もちろん!わたしはルードと申します」
ルード!暁のルードか!
俺でも知っている、世界最強クラスの冒険者だ。
俺が驚き、言葉を紡げないで居ると、先にルードが口を開いた。
「驚きましたよ。レベル千を超えているとか」
しまった。陛下に隠せって言われてたのに。
「あ……いや、それは……」
だがルードは笑みを浮かべて、さらに言ったのだった。
「それならわたしよりも強いですね」
「いやあ……それは……どうでしょう……」
するとルードが大きく口を開けて、大いに笑った。
「大丈夫ですよ、心配しなくても。国王陛下から能力を隠せと言われているのでしょう?そのことは陛下からわたしも聞いています」
なんだ~。それならそうと、早く言ってよ~。
焦っちゃったじゃないか。
するとまたも俺より先にルードが言った。
「何はともあれ、陛下の元へ参りましょう。それは聞いてますよね?」
「あ、はい。闘いが終わったら参内するようにと言われています」
「はい。では参りましょう」
ルードはそう言うと、さっと踵を返して歩き出した。
俺は思わずそこで、ぐしゃっとつぶれて寝ているルビノに一瞥をくれた。
ふん、どうせまた俺にちょっかいかけてくるだろうけど、その時こそは思う存分ぶちのめしてやるぜ。
俺はフンッと鼻息荒く首を振ると、暁のルードの後を追って闘技場を後にするのだった。
授かったっていうか……。何て説明すれば……。
まあいいか。面倒臭いし。
「まあそんなところ」
「ぐふっ!……」
レジルは俺の回答によほど衝撃を受けたのか、血反吐を吐き出した。
いや、いくら何でも俺の返答で内臓がやられるわけがない。
単にさっき斬った鼻から出た血が口腔内に溜まっていただけか。
ま、ようはタイミングだね。
そんなどうでもいいようなことを考えていると、レジルが焦った様子でつぶやいた。
「なんてことだ……せっかく……くそっ!」
どうやら戦意喪失しているらしいな。
なら……。
「おい、お前、その身体から抜け出たら見逃してやっても良いぞ」
レジルが懐疑的な目を俺に向ける。
「本当だ。俺は別段、お前を退治するつもりでここにいるわけじゃない。単に偶然出くわしただけだ」
「本当だろうな?」
「ああ。ただし、聞きたいことがある」
再びレジルが懐疑的な眼差しで俺を見つめる。
「……なんだ?」
「何故お前は召喚されたんだ?普通お前みたいなでかぶつを召喚なんて出来ないだろう」
するとレジルが俺の顔を見つめ、様子を探りながら答えた。
「俺固有の魔方陣があれば出来ることだ」
「固有の魔方陣……それさえ展開出来れば召喚できると?」
「そうだ。どうやって手に入れたのかは知らんがな」
魔方陣……。確かに魔方陣が光り輝いた後にこいつは現れた。
あの魔方陣はルビノが展開したのか?
いや、ルビノはバーサーカー状態だった。
ならばベノンか?
だがベノンはこいつが召喚されると、慌てふためいていた。
じゃあ誰が?
いや、闘いの前にベノンたちがにやついていたのが気になる。
ならばやはりベノンたちが魔方陣を展開したのでは?
ただし、召喚したレジルが思っていたよりもあまりにも巨大だったため、慌てふためいたのだとしたら?
その線が妥当か……。
となると、ベノンたちは誰かに騙された?
ちっ!何かもやっとするな。
もしかしたらベノンがダンジョンで俺を亡き者にしようとしたのも、関係あるか?
たぶん……ある。
おそらくベノンの背後に黒幕がいる。
そいつが何らかの理由で俺を亡き者にしたがっているんだ。
なるほどね。そういうことか。
「いいだろう。消え失せろ。その身体を本来の持ち主に返せ」
俺が吐き捨てるように言うと、レジルはゆっくりとうなずいた。
すると、少しずつ巨大なレジルの身体が収縮しはじめた。
と同時に身体から黒い靄が湧き出す。
そうしてゆっくりと静かにレジルは小さくなっていき、ついにはルビノの姿が現れだした。
「ちっ!こいつを助けたかったわけじゃないんだけどな……」
俺はルビノの嫌みったらしいむかつく顔立ちを見て、思わず吐き捨てるように言った。
するとルビノの口がゆっくりと開いた。
「これでいいのだな?ジーク=テスターよ」
「ああ。とっとと消えろよ。ぶちのめすぞ」
「わかった。では、さらばだ」
レジルと思われる意識がスーッと消えたようだ。
途端にルビノの身体がぐしゃんと石床の上に崩れ落ちた。
「ぐ……うぅ……」
ルビノのうめき声が響く。
どうやら元通りになったらしい。
不本意だ。大いに不本意だ。
俺は正気のこいつをぶちのめしたかったのに。
ああ、腹立たしい。
その時、俺の左手側から、突然声が上がった。
「勝者、ジーク=テスター!」
え?
俺が左を向くと、裁定者が高々と右手を挙げて、俺の勝利を宣言していた。
裁定者……まだいたんだ。
「ええと……どうも」
俺はなんとも言えない気分だったため、うまく言葉が出なかった。
すると裁定者がゆっくりと俺に歩み寄ってきた。
「お見事でした」
「ああ、どうも。ていうか、よく逃げずにいましたね?」
「ええ。こう見えてもわたし、Sランク冒険者ですので」
Sランク。こりゃ驚いた。
なるほど、だったら逃げずにいられるか。
「お名前伺ってもいいですか?」
「もちろん!わたしはルードと申します」
ルード!暁のルードか!
俺でも知っている、世界最強クラスの冒険者だ。
俺が驚き、言葉を紡げないで居ると、先にルードが口を開いた。
「驚きましたよ。レベル千を超えているとか」
しまった。陛下に隠せって言われてたのに。
「あ……いや、それは……」
だがルードは笑みを浮かべて、さらに言ったのだった。
「それならわたしよりも強いですね」
「いやあ……それは……どうでしょう……」
するとルードが大きく口を開けて、大いに笑った。
「大丈夫ですよ、心配しなくても。国王陛下から能力を隠せと言われているのでしょう?そのことは陛下からわたしも聞いています」
なんだ~。それならそうと、早く言ってよ~。
焦っちゃったじゃないか。
するとまたも俺より先にルードが言った。
「何はともあれ、陛下の元へ参りましょう。それは聞いてますよね?」
「あ、はい。闘いが終わったら参内するようにと言われています」
「はい。では参りましょう」
ルードはそう言うと、さっと踵を返して歩き出した。
俺は思わずそこで、ぐしゃっとつぶれて寝ているルビノに一瞥をくれた。
ふん、どうせまた俺にちょっかいかけてくるだろうけど、その時こそは思う存分ぶちのめしてやるぜ。
俺はフンッと鼻息荒く首を振ると、暁のルードの後を追って闘技場を後にするのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる