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5 剣技魔法
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俺は強く願った。
魔法を習得したいというその一心で。
すると俺の願い通りパラメーターが表示され、その中に『ブリーズ 習得』と確かに表記されたのだった。
俺は小躍りしたい気持ちを抑えて言った。
「習得できたよ!やってみる!」
俺はそう宣言すると、すかさず魔法名を口にした。
「ブリーズ!」
すると、夢にまで見た魔法が、俺の手から繰り出された。
青い氷の結晶が、幾重にも連なって遙か彼方まで飛んでいったのだ。
しかもその威力は凄まじく、ダンジョン内の大きな岩を砕くほどのものであった。
これにはネルヴァもレイナも大層驚き、大きく目を見開いたのだった。
「なんて威力だ!今の、ネルヴァより上じゃなかったか?」
するとネルヴァがにっこりと微笑んだ。
「ええ。間違いありません。わたしのブリーズよりも遙かに凄まじい威力でしたよ。しかも無詠唱。わたしの能力をコピーしたため当然なのかも知れませんが、これも驚きです」
「だよな!?凄いぞアリオン!お前とんでもない天才なんじゃないか!」
レイナがそう言って、喜びのあまり俺に抱きついてきた。
レイナの身長はおよそ175センチほどもあり、155センチほどの俺に抱きついたことで、俺の顔はレイナの豊満な胸に幸運にも埋もれた。
だがそこで俺は、柔らかな胸の感触に心躍らせながらも、もっと色々な魔法を習得したいという欲望の方が勝った。
「ネルヴァ、他の魔法も習得させてくれないかな?」
ネルヴァはにっこりと微笑み、俺に向かって優しげに言った。
「もちろんですよ。わたしが習得している魔法の全てをあなたに授けましょう」
俺は今度ばかりは小躍りするのを止められなかった。
それというのも魔法というものは、俺にとってあこがれの存在だったからだ。
無論ユニークスキルの『アイテムコピー』はこれまでも出来た。
だけどそれ以外の一般的な魔法はといえば、どんな簡単な子供でも使えるようなものですら、俺には扱えなかったのだ。
だから俺は魔法の使用に対して渇望するものがあった。
だが今、それが現実のものとなっている。
俺が小躍りしてしまうのも、当然のことと言えた。
それからかなりの長い時間をかけて、ネルヴァは俺に全ての魔法を教えてくれた。
主に回復や補助をする目的の白魔法に、攻撃魔法が主体の黒魔法。それに様々な神体や精霊などを呼び出す召喚魔法などである。
だがそれで終わりでは無かった。
「よし!では次はわたしの番だな!」
レイナが勇ましく腕を組み、胸を反らしながら力強く言った。
俺は大賢者であるネルヴァも使えないような魔法をレイナが使えるとは思えず、首を傾げた。
するとその意味を察知したのか、レイナが憤然とした表情を浮かべた。
「お前もしかして剣技魔法を知らないのか?」
「え、何それ?」
「文字通り剣技に魔法を乗せるんだよ。それこそ剣に炎や氷をまとわせたりな。それによって威力が格段に上がるんだ」
そうなのか。知らなかった。
すると俺の心の内を見透かしたように、ネルヴァが苦笑しつつ教えてくれた。
「知らなくても無理はありませんよ。剣技魔法を操る者などほとんどおりませんからね。レイナのような剣聖とは言わないまでも、相当熟練の剣士で無ければ扱えない代物ですから、一般的には知られていません」
「その剣技魔法は、神力を使うんだ?」
ネルヴァが引き続き答えた。
「ええ。ですが魔力でも扱えますよ。ただし、かなりの魔力量を必要としますがね」
「神力の方が扱いやすいってこと?」
「そうです。他にも例えば白魔法。これも神力の方が扱いやすいです。対して黒魔法は魔力の方が。そして召喚魔法に関してですが、これは召喚する相手によって変わってきます」
「召喚するのが神に近い者なら神力。そうでない者なら魔力って感じかな?」
「ええ、その通りです。あなたは理解力が高いので助かります」
またも褒められ、俺は思わず照れた。
そこでレイナが話しに割り込んできた。
「説明はそれくらいでいいだろ?そろそろ修行の時間だ」
俺はうなずいた。
異存がなかったからだ。
レイナは俺の同意を受け、満足げに微笑んだ。
そして踵を返して俺との距離をかなり取った。
「しっかり盾を持っておけよ。吹き飛ばされないようにな」
レイナはそう言うと、二本の剣を鞘から抜き放って腰をぐっとかがめた。
遠目にもレイナの身体に力が漲っていくのがわかる。
俺も盾を構えるとぐっと腰を下ろした。
するとその盾をネルヴァがしっかりと掴んだ。
「わたしも協力しましょう。レイナも当然最小威力で来るとは思いますが、それでも相手は剣聖ですからね。決して油断しないようにしてくださいね」
「ありがとう。助かるよ」
俺はそう言うと両腕だけでなく、全身に力を込めた。
レイナは俺の様子を確認したのか、ついに剣技魔法を発動させた。
「龍技・ドラゴネットストライク!」
レイナは猛り狂う大渦の如く、暴雨をまといながら高速回転して俺に迫ってきた。
俺はさらに腰を下ろして踏ん張り、衝突の際の衝撃に備えた。
ガギーン!!!
凄まじい音が響き、両腕に衝撃が走る。
次いで荒れ狂う水飛沫が盾を越えて襲って来た。
俺は水流に呑まれないよう息を止めて耐えた。
するとしばらくしてまたもパラメーターが表示されたのだった。
『龍技・ドラゴネットストライク 習得』
俺はほっと一息吐き、レイナたちに報告した。
「どうやら習得出来たみたいだ。早速やってみるよ」
俺は盾をネルヴァに渡し、代わりに渡された剣を受け取って構えた。
見よう見まねであったが、中々に様になっていたんじゃないかと思う。
俺はその気になって技名を唱えた。
「龍技・ドラゴネットストライク!」
唱えるや、剣の周りに凄まじい勢いの水が吹き出し、大きな渦を巻いた。
だが俺は非力なため、その水の勢いに抗えなかった。
そのためわずかな時間で思わず剣を手放してしまった。
すると剣が、凄まじい勢いでもって水をまき散らしながら飛んでいってしまった。
俺は慌てて飛び去る剣を目で追った。
するとその荒れ狂う剣を、レイナが飛び上がって掴んだ。
レイナはにんまりと笑みを見せると、俺に向かって歩いて近付きながら言ったのだった。
「どうやら剣技魔法を使いこなすには筋力が足りないようだな」
俺は悔しい思いを胸に抱きながらも、同意せざるを得ないのであった。
魔法を習得したいというその一心で。
すると俺の願い通りパラメーターが表示され、その中に『ブリーズ 習得』と確かに表記されたのだった。
俺は小躍りしたい気持ちを抑えて言った。
「習得できたよ!やってみる!」
俺はそう宣言すると、すかさず魔法名を口にした。
「ブリーズ!」
すると、夢にまで見た魔法が、俺の手から繰り出された。
青い氷の結晶が、幾重にも連なって遙か彼方まで飛んでいったのだ。
しかもその威力は凄まじく、ダンジョン内の大きな岩を砕くほどのものであった。
これにはネルヴァもレイナも大層驚き、大きく目を見開いたのだった。
「なんて威力だ!今の、ネルヴァより上じゃなかったか?」
するとネルヴァがにっこりと微笑んだ。
「ええ。間違いありません。わたしのブリーズよりも遙かに凄まじい威力でしたよ。しかも無詠唱。わたしの能力をコピーしたため当然なのかも知れませんが、これも驚きです」
「だよな!?凄いぞアリオン!お前とんでもない天才なんじゃないか!」
レイナがそう言って、喜びのあまり俺に抱きついてきた。
レイナの身長はおよそ175センチほどもあり、155センチほどの俺に抱きついたことで、俺の顔はレイナの豊満な胸に幸運にも埋もれた。
だがそこで俺は、柔らかな胸の感触に心躍らせながらも、もっと色々な魔法を習得したいという欲望の方が勝った。
「ネルヴァ、他の魔法も習得させてくれないかな?」
ネルヴァはにっこりと微笑み、俺に向かって優しげに言った。
「もちろんですよ。わたしが習得している魔法の全てをあなたに授けましょう」
俺は今度ばかりは小躍りするのを止められなかった。
それというのも魔法というものは、俺にとってあこがれの存在だったからだ。
無論ユニークスキルの『アイテムコピー』はこれまでも出来た。
だけどそれ以外の一般的な魔法はといえば、どんな簡単な子供でも使えるようなものですら、俺には扱えなかったのだ。
だから俺は魔法の使用に対して渇望するものがあった。
だが今、それが現実のものとなっている。
俺が小躍りしてしまうのも、当然のことと言えた。
それからかなりの長い時間をかけて、ネルヴァは俺に全ての魔法を教えてくれた。
主に回復や補助をする目的の白魔法に、攻撃魔法が主体の黒魔法。それに様々な神体や精霊などを呼び出す召喚魔法などである。
だがそれで終わりでは無かった。
「よし!では次はわたしの番だな!」
レイナが勇ましく腕を組み、胸を反らしながら力強く言った。
俺は大賢者であるネルヴァも使えないような魔法をレイナが使えるとは思えず、首を傾げた。
するとその意味を察知したのか、レイナが憤然とした表情を浮かべた。
「お前もしかして剣技魔法を知らないのか?」
「え、何それ?」
「文字通り剣技に魔法を乗せるんだよ。それこそ剣に炎や氷をまとわせたりな。それによって威力が格段に上がるんだ」
そうなのか。知らなかった。
すると俺の心の内を見透かしたように、ネルヴァが苦笑しつつ教えてくれた。
「知らなくても無理はありませんよ。剣技魔法を操る者などほとんどおりませんからね。レイナのような剣聖とは言わないまでも、相当熟練の剣士で無ければ扱えない代物ですから、一般的には知られていません」
「その剣技魔法は、神力を使うんだ?」
ネルヴァが引き続き答えた。
「ええ。ですが魔力でも扱えますよ。ただし、かなりの魔力量を必要としますがね」
「神力の方が扱いやすいってこと?」
「そうです。他にも例えば白魔法。これも神力の方が扱いやすいです。対して黒魔法は魔力の方が。そして召喚魔法に関してですが、これは召喚する相手によって変わってきます」
「召喚するのが神に近い者なら神力。そうでない者なら魔力って感じかな?」
「ええ、その通りです。あなたは理解力が高いので助かります」
またも褒められ、俺は思わず照れた。
そこでレイナが話しに割り込んできた。
「説明はそれくらいでいいだろ?そろそろ修行の時間だ」
俺はうなずいた。
異存がなかったからだ。
レイナは俺の同意を受け、満足げに微笑んだ。
そして踵を返して俺との距離をかなり取った。
「しっかり盾を持っておけよ。吹き飛ばされないようにな」
レイナはそう言うと、二本の剣を鞘から抜き放って腰をぐっとかがめた。
遠目にもレイナの身体に力が漲っていくのがわかる。
俺も盾を構えるとぐっと腰を下ろした。
するとその盾をネルヴァがしっかりと掴んだ。
「わたしも協力しましょう。レイナも当然最小威力で来るとは思いますが、それでも相手は剣聖ですからね。決して油断しないようにしてくださいね」
「ありがとう。助かるよ」
俺はそう言うと両腕だけでなく、全身に力を込めた。
レイナは俺の様子を確認したのか、ついに剣技魔法を発動させた。
「龍技・ドラゴネットストライク!」
レイナは猛り狂う大渦の如く、暴雨をまといながら高速回転して俺に迫ってきた。
俺はさらに腰を下ろして踏ん張り、衝突の際の衝撃に備えた。
ガギーン!!!
凄まじい音が響き、両腕に衝撃が走る。
次いで荒れ狂う水飛沫が盾を越えて襲って来た。
俺は水流に呑まれないよう息を止めて耐えた。
するとしばらくしてまたもパラメーターが表示されたのだった。
『龍技・ドラゴネットストライク 習得』
俺はほっと一息吐き、レイナたちに報告した。
「どうやら習得出来たみたいだ。早速やってみるよ」
俺は盾をネルヴァに渡し、代わりに渡された剣を受け取って構えた。
見よう見まねであったが、中々に様になっていたんじゃないかと思う。
俺はその気になって技名を唱えた。
「龍技・ドラゴネットストライク!」
唱えるや、剣の周りに凄まじい勢いの水が吹き出し、大きな渦を巻いた。
だが俺は非力なため、その水の勢いに抗えなかった。
そのためわずかな時間で思わず剣を手放してしまった。
すると剣が、凄まじい勢いでもって水をまき散らしながら飛んでいってしまった。
俺は慌てて飛び去る剣を目で追った。
するとその荒れ狂う剣を、レイナが飛び上がって掴んだ。
レイナはにんまりと笑みを見せると、俺に向かって歩いて近付きながら言ったのだった。
「どうやら剣技魔法を使いこなすには筋力が足りないようだな」
俺は悔しい思いを胸に抱きながらも、同意せざるを得ないのであった。
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