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第三十二話 クラリス
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偽書の入手ルートについてカリウスから詳しく聞き出した後、カルラは最後の一人を事情聴取するため、ロデムルに指示を下した。
ロデムルはその指示に従い、聴取を終えたカリウスを連れて部屋を出て行った。
しばらくすると、ロデムルがシュトラウス公爵を伴い、戻ってきた。
シュトラウスはカリウス同様おびえた表情を見せながら、恐々室内に足を踏み入れると、先制攻撃とばかりにカルラが怒鳴り声を発した。
「そこへ座りな!」
シュトラウスはその声にビクリと身体を上下させて驚き、言われるがままにそそくさと椅子に座った。
「ふん!公爵の地位を盾にふんぞり返るかと思いきや、ずいぶんとおとなしいじゃないか?」
「………………」
「なんとかいったらどうなんだい?」
「まさか、あのような恐ろしげな悪魔が出てくるとは……」
「あれでも中級なんだがね」
「………………」
シュトラウスは、その恐ろしげな悪魔を簡単に葬り去ったカルラに対して心底恐れを抱いているようで、終始目をそらし続けていた。
「ふん!黒幕がこれじゃあ、面白くもなんともないね!」
カルラはそう言うと、つまらなそうにぷいっと横を向いてしまった。
そのため、仕方なくガイウスが代わりに尋問することにした。
「まあ、なんだね。一応反省しているのかな?それとも単にカルラを怖がっているだけで、ユリアを拉致監禁の上、人身御供にしようとしたことは後悔していないのかな?」
「馬鹿なことをしたと、今は思っておる」
「本当に?疑っちゃうな~」
「本当だ。カリウスのような男を信用し、重用した私が愚かであった。今は心底、そう思っておる」
「また随分と急に反省しちゃったみたいだけど、なんで?」
「それは……」
その時、部屋の扉が突然開いた。
そして可愛らしい顔立ちのメイドに手を引かれた、これまたさらに可愛らしい顔立ちの寝巻き姿の少女が、少々荒い息遣いで部屋の中へと入ってきた。
ガイウスは振り返り、その少女の姿を認めて言った。
「ユリア、じゃなくて、クラリスの方かな?」
ガイウスの呼びかけに、少女がゆっくり息を整えて応じた。
「ええ。わたしはクラリスよ」
「そっか。それじゃあ、まあ、とりあえずそこへ座って。なんだかとてもつらそうだし」
ガイウスは扉のすぐ横に置かれた、優美な曲線で形作られた華麗なソファーを指差した。
「ありがとう」
クラリスはメイドの手を借りながらも、優雅な仕草でソファーにゆったりと腰掛けた。
「あなたとは以前、なにかのパーティーでお会いしたことがあるんだけど、覚えているかな?」
ガイウスは、まずは話の取っ掛かりにと思い、軽い気持ちで尋ねた。
クラリスは、間髪を入れずに答えた。
「いいえ。まったく記憶にないわ」
ガイウスは軽く頬をピクピクと引きつらせつつ、思った。
(うわ~、やっぱこいつ高慢ちきで嫌いだわ~。だけど病人だから、あんまり強いこと言えないし、やりづれえなあ~)
ガイウスは心中で、たんまりとうんざりした。
ロデムルはその指示に従い、聴取を終えたカリウスを連れて部屋を出て行った。
しばらくすると、ロデムルがシュトラウス公爵を伴い、戻ってきた。
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「そこへ座りな!」
シュトラウスはその声にビクリと身体を上下させて驚き、言われるがままにそそくさと椅子に座った。
「ふん!公爵の地位を盾にふんぞり返るかと思いきや、ずいぶんとおとなしいじゃないか?」
「………………」
「なんとかいったらどうなんだい?」
「まさか、あのような恐ろしげな悪魔が出てくるとは……」
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「………………」
シュトラウスは、その恐ろしげな悪魔を簡単に葬り去ったカルラに対して心底恐れを抱いているようで、終始目をそらし続けていた。
「ふん!黒幕がこれじゃあ、面白くもなんともないね!」
カルラはそう言うと、つまらなそうにぷいっと横を向いてしまった。
そのため、仕方なくガイウスが代わりに尋問することにした。
「まあ、なんだね。一応反省しているのかな?それとも単にカルラを怖がっているだけで、ユリアを拉致監禁の上、人身御供にしようとしたことは後悔していないのかな?」
「馬鹿なことをしたと、今は思っておる」
「本当に?疑っちゃうな~」
「本当だ。カリウスのような男を信用し、重用した私が愚かであった。今は心底、そう思っておる」
「また随分と急に反省しちゃったみたいだけど、なんで?」
「それは……」
その時、部屋の扉が突然開いた。
そして可愛らしい顔立ちのメイドに手を引かれた、これまたさらに可愛らしい顔立ちの寝巻き姿の少女が、少々荒い息遣いで部屋の中へと入ってきた。
ガイウスは振り返り、その少女の姿を認めて言った。
「ユリア、じゃなくて、クラリスの方かな?」
ガイウスの呼びかけに、少女がゆっくり息を整えて応じた。
「ええ。わたしはクラリスよ」
「そっか。それじゃあ、まあ、とりあえずそこへ座って。なんだかとてもつらそうだし」
ガイウスは扉のすぐ横に置かれた、優美な曲線で形作られた華麗なソファーを指差した。
「ありがとう」
クラリスはメイドの手を借りながらも、優雅な仕草でソファーにゆったりと腰掛けた。
「あなたとは以前、なにかのパーティーでお会いしたことがあるんだけど、覚えているかな?」
ガイウスは、まずは話の取っ掛かりにと思い、軽い気持ちで尋ねた。
クラリスは、間髪を入れずに答えた。
「いいえ。まったく記憶にないわ」
ガイウスは軽く頬をピクピクと引きつらせつつ、思った。
(うわ~、やっぱこいつ高慢ちきで嫌いだわ~。だけど病人だから、あんまり強いこと言えないし、やりづれえなあ~)
ガイウスは心中で、たんまりとうんざりした。
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