転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第六十一話 グラシャ=ラボラス

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 1


 ガイウス達は広い貯水池を抜け、隘路あいろへと入った。

「うん?この壁、焦げている?」

 よく目を凝らして見ると、壁だけではなく天井までもが黒く焼け焦げていた。

 ロデムルは壁に自らの指を押し当てて、こすった。

「どうやら、ごく最近のもののようです。となれば――」

「カルラ?」

「恐らく」

「急ごう!」

 ガイウスは急いで駆け出した。だが身体が小さいために、移動速度は遅かった。そのため彼は走るのを諦め、中空へ跳び上がった。だがすぐに引力は、彼の身体を床に引き寄せようとする。しかし次の瞬間、ガイウスの身体は中空にふわっと浮かび上がった。

「よし、行くぞ!」

 ガイウスは言うなり、高速飛行を開始した。

 ロデムルも、早足でガイウスを追う。

 すると突然、前方から物凄い爆発音が聞こえた。

「きっとカルラだ!」

 ガイウスたちは急いで曲がりくねる隘路を駆けた。

 すると彼らの前方から、更なる大きな爆発音と共に、あふれんばかりの強烈な光が差し込んだ。

「あそこだ!」

 ついにガイウスは隘路を抜け、先ほどとは別の新たな地下貯水池へと躍り出た。

「いた!カルラだ!」

 そこでようやくガイウスたちは、カルラとの合流を果たすことが出来た。


 2


「なっ!?あの翼の生えた犬のような奴は一体!」

 ロデムルは遥か前方の空中で、カルラと対峙する黒く巨大な物体を、驚きの表情を浮かべて凝視した。

 ガイウスも、ロデムル同様驚愕の表情を浮かべつつ、答えた。

「あれは、もしかしてグラシャ=ラボラスか!?」

「坊ちゃま、そのグラシャ=ラボラスとは?」

「悪魔だよ!それもこいつはザンギと違って、本物の上級悪魔だ!」

「なんと!ん?坊ちゃま、あそこに人が!」

 ロデムルは、空中に浮かぶグラシャ=ラボラスの巨体の下の暗がりに、怪しく浮かぶ人影を指差して言った。

「恐らくあいつがグラシャ=ラボラスを呼び出した魔導師だ!よし!急ごう!」

「はっ!」

 ガイウスは再び高速飛行を開始し、カルラの元へと急いで向かう。

 途中、ガイウスはあらん限りの大声でカルラを呼んだ。

「カルラ!!」

 カルラは空中に浮かびながら、グラシャ=ラボラスに対して魔法の連撃を続けざまに放ちつつ、ガイウスの存在に気付いた。

 カルラは連撃を止め、右手に特大のエネルギー弾を溜め込み始める。

 次いで裂帛れっぱくの気合を込めて、そのエネルギー弾をグラシャ=ラボラス目掛けて放った。

 グラシャ=ラボラスは凄まじい勢いで向かってくる巨大なエネルギー弾に対し、俊敏な回避行動を取って、瞬時に真横に移動した。

 だがカルラはグラシャ=ラボラスの回避行動を見て取るなり、エネルギー弾を放った右手首をクイッと回避方向へと向けた。

 するとエネルギー弾は、糸で吊られた操り人形の如く方向を瞬時に転換し、見事にグラシャ=ラボラスの巨体に命中した。

 激しい轟音と閃光の中、カルラは猛スピードで空中を滑空し、ガイウス達の下へと飛んできた。

 そしてガイウスたちの近くに到達するなり、急ブレーキをかけたかの如くピタリと止まった。

「ふん!お前さんたち、よくここだって判ったね?」

「黒い柱が天に立ち昇ったのを見て探りに来たんだ。地上の建物には何も変わったところはなかったから、もしかして地下かなって思って」

「そうかい、そいつはよく気付いたね。まあなんにせよ良く来てくれた。さっきから二対一で苦労していたんだよ」

「カルラでも苦労することあるんだね?」

「ふん!戯言はいい!それよりもお前さん、あいつの名前は知ってるな?」

 ガイウスは少々ばつの悪そうな顔つきとなり、おずおずとした口調となった。

「はあ。たぶん、グラシャ=ラボラス?かなあって」

「ふん!やっぱり知ってたね。まあそれはいいさ。いいかい、あいつはあたしがやる!お前さんたちは、あっちの魔導師の方を頼む!」

「わかった!」

 ガイウスの返事を聞き終えるやいなや、カルラはグラシャ=ラボラス目掛けて猛スピードで飛んでいった。

 残されたガイウスはロデムルと向き合うと大きくうなづきあい、決意を固めて魔導師の元へと向かった。
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