転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第八十五話 機密

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「な、なに?君たち……」

 誰もいないはずの地下資料室に突如現れた集団に、ナスリは大層怯えながら後ずさりした。

「怪しい者じゃないよ。僕の名はガイウス、この子はアベルで、後ろの大きいのはロデムル。そしてこのおばあさんがカルラさ」

 ガイウスはカルラに任せていては、ナスリが怯えてしまって話しにならないと思い、取って代わって自己紹介をした。

 だがそれでも、恐怖に震えて言葉にならないナスリに対して、ガイウスはさらに優しく語りかけた。

「ちょっと聞きたいことがあってきただけで、危害を加えるつもりとかはまったくないから、そうあまり怯えないでよ」

 すると相手が小さい子供に代わったためか、ようやく落ち着きを取り戻したナスリは、ゆっくりと語りだした。

「君は、えっと、ガイウス君、だっけ?」

「うん。そうだよ」

 ガイウスはナスリを落ち着かせるために、ことさら子供らしい元気で明るい口調で返事をした。

「君たちは、僕に聞きたいことがあって、ここへ来たと?」

「うん。そう」

「そうか。びっくりした。急に現れたから……」

「だよね。びっくりさせてごめんね」

「い、いや、いいんだ。それで、僕に聞きたいことって、なにかな?」

 ここでガイウスは、一度カルラと顔を見合わせた。

 本当にバース村の名前を出してもいいものかどうか、迷ったためであった。

 だがガイウスは、顔を見合わせたカルラが力強くうなづいたこともあり、思い切って単刀直入に切り出すこととした。

「バース村の生き残りについて、なんだけど」

 するとナスリは途端にギョッとした顔つきとなり、再び怯えた様子で辺りをキョロキョロと激しく見渡した。

「バ、バース村の、君たち、それを一体どこで……」

「噂を聞いたんだ。消失したバース村の生き残りが、この病院に運ばれたって」

「き、君たち一体、どうしてそんなことが知りたいんだい?」


 ガイウスは、アベルのことやこれまでの経緯について包み隠さず、全てを正直にナスリに話した。


 するとナスリはアベルの境遇について最初は驚き、次いであわれみの表情を浮かべると、終いには涙ぐんだ。

「ひ、ひどい、せっかく村に帰れることになったのに。そんなひどいことって……」

 そう言った途端、ナスリの頬を一筋の涙がつたった。

「そういうわけでこの病院へたどり着いたわけだけど、いろいろ探ってみた結果、やはりバース村消失事件は、機密情報になっていることがわかったんだ」


 ガイウスたちは病院にたどり着いてから、バース村の件についてそれぞれに探りを入れていたが、その結果、バース村が現在なんらかの機密情報となっていることがすでに判明していた。


「うん。あの事件は機密だよ。それもこの病院にとっての機密じゃない……」

「じゃあ、やっぱり――」

「バース村消失事件は、ダロス王国によって、最重要国家機密に指定されているんだ」
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