転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第百四十三話 魔法のドーム

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「どうやら、全員いるみたいだな」

 アルベルトは点呼を終え、四クラスの生徒全員がそろっていることにとりあえず安堵した。

 ジョディーはそれに同意しつつ、現在自分たちが置かれている立場について説明をする。

「とりあえず、全員無事なのはいいことだ。だが困ったことに、この建物の中には入ることは出来ても、出ることは出来ないみたいなんだよ」

「そうなのか?」

 アルベルトの問いに、今度はマックスが答えた。

「一応みんなが入ってくる前に、いろいろ試したんだけどな。出口が見当たらないんだよ。誰かが室内に入ってくるときは壁が突然、むにゅって変形して人が入ってくるんだけど、その後でそこを調べてみても、ただの壁でさ。叩いても、何をしても駄目なんだよ」

「そうなのか。そういえばジョディーが入っていった時、外から大声で叫んでも、返事もなにもなかったな。どうやら特殊な造りの建物のようだ」

 するとバランスが、難しい顔をして言った。

「もしかすると、これは魔法で作られた建物なのではないか?」

「どういうことだ?バランス」

 アルベルトの問いに、バランスは静かに深く考え込みながら訥々と答えた。

「いや、確証はないんだが。この部屋に入ろうと手を壁に当てた時、なにかに手を引っ張られるように中へ引きずり込まれただろう?だからもしかしてだけど、このドームは我々を捕らえるために造られた物なんじゃないかって、そう思ったんだよ」

「それが、なんで魔法なんだ?」

「いや、だってこの世界自体が造り物だとガイウスは言っていた。なら、このドームも造り物ということになる。そしてこんな世界を造れるとしたらそれは、魔法だけだろう」

「まあたしかにそうだな。でも僕らを捕らえるためだけに、こんな手の込んだことするかな?」

「それは確かにそうだな。僕らを捕らえるだけならば、こんな大掛かりな手は使わないか」

 アルベルトの素朴な疑問に、バランスは腕を組んで考え込んだ。

 すると突然、反対側の壁がにゅるっと奇妙に変形した。

 硬質だった壁が、ゼリーのように柔らかな材質に瞬時に変わり、人の形にもっこりと盛り上がった。

 次の瞬間、ゼリー状の壁からぬるんと人が姿を現し、壁は元の状態へと瞬時に戻った。

 アルベルトは驚き、まじまじと突如現れたその人間を見た。


 その者は、老人であった。


 その顔に深く刻まれた皺は、遥か長い年月を想起させ、その落ち窪んだ瞳は、この世の森羅万象を覗いてきたかのような印象を彼らに与えた。

 アルベルトは、他のリーダーたちと共に、クラスメイトたちを押しのけて前へ出た。

 そしてその老人の目の前へと躍り出ると、アルベルトは皆を代表して声をかけた。

「あなたが、このドームの所有者ですか?」

 老人は、口角を上げてにやりと笑った。

「ふむ、まあそうさな。このドームを造ったのは、このわしだ」

「そうですか。勝手に入ってきてすみません。実は僕ら魔獣に追われていまして」

 そこでバランスが割って入った。

「いやアルベルト、謝る必要はない。この建物だけでなく、この世界は造り物だとさっき言ったろう?ならこの建物を造ったのがこの老人ならば、この世界を造ったのもこの老人ってことになる」

 バランスはそこで一度言葉を区切り、深呼吸をしてから言葉を継いだ。

「つまり今回の異常事態の、こいつが黒幕ってことだ!」
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