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第11話 死神変化
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「出た出た出た出た!やっぱりかよ、お前!」
うわあ~、嫌なこと言いやがる。目ん玉なんて喰われたくはないぜ、まったく。
でもなあ、背に腹は代えられないかもなあ。
何せ他に方法を思いつかないし。かといってこいつを引っ込めたら、追跡できないし。
一応聞いてみる。
「それって、痛いよな?」
「安心しろ。右目だけだ。すぐに終わる」
「おいおいおいおい!右目だけだからって、安心しろとは何事だ!お前、俺の眼を喰うって言ってんだぞ。安心できるわけねえだろ。ていうか俺は痛いかどうかを聞いたんだ。そのことについては一切答えてねえぞお前。それになあ、さすがに片目がないと周りから不気味がられるわ!」
「大丈夫だ。代わりの眼を嵌めればいい」
代わりの眼ねえ。ぞっとする話だねえ。
「そいつは義眼ってことか?だがそれだと遠近感がおかしくなって、まともに戦闘ができなくなっちまう」
人間の眼というのは、左右両方の眼で物を見ることによってそれぞれの眼で見る映像の差異を脳が処理し、遠近感や立体感を感じている。そのため片方の眼が見えなくなってしまうと、そもそも片方の映像しかないため差異は生まれず、遠近感も立体感も感じ取れなくなってしまうのだ。
「問題ない。義眼ではない。これまでと同等の機能は保証する」
「そうなのか?」
「さらに俺の姿も見えるし、言葉を発さずとも会話もできる」
そいつはお得かもしれねえな。
あ、いやいやいやいや、ふう~あぶねえ。つい乗ってしまうところだったぜ。
目を喰われるんだぜ?お得なはずはないだろう。
でもなあ、そうしないとこっちの世界じゃ不都合だよなあ。
「痛くないのか?」
「安心しろ。すぐに終わると言っている」
さっきと同じ答えだ。
俺は声に怒気を孕ませる。
「いやだからお前さ、俺は喰われている間の時間を聞いているんじゃないんだよ。痛いかどうかを聞いているんだよ!」
ソルスが無感情に言う。
「痛いに決まっているだろう」
「やっぱりかい!それを早く言えよ、お前!それを言うと俺が躊躇するから誤魔化していたんだろうが」
「そんなことはない」
「ある!」
「ない」
くそ。堂々巡りだ。
だがそこで、ふと思いついた。
「他の方法はないのか?例えば、お前が人間の姿になるとかさ」
ソルスはこれまでと異なり、黙り込んだ。
その様子に、俺はピンときた。
「なれるんだな?」
俺の追及に、ソルスが仕方なさげに答えた。
「なれないこともない」
「やっぱりなれんのかい!お前、人間の姿になれるんじゃねえか。ふう~、危ないところだったぜ」
俺は額の汗を右手で拭うと、きっぱりとした口調で言った。
「それにする。とっとと人間の姿に変われ」
ソルスは、顔に不満をおもいっきり現している。
だがこいつは、或る理由で俺に対して決して抗えない。
案の定、不承不承といった様子ながらも、受け入れたようだ。
「仕方がない」
ソルスは言うなり、中空でくるっと半回転して後ろを向いた。
見ると、徐々に蒼黒いマントが下に向かって伸びていく。
そして地面すれすれまで伸びきると、マント全体が風もないのに突然揺らめき、その背後から後光が射すかのように朝の陽光が目に飛び込んできた。
一瞬の輝きに、俺は思わず瞼を閉じて顔をそむけた。
次にわずかに横に移動し、陽光を再びソルスの陰にする。
そうして俺は改めてソルスを見た。
するとそこには、明らかに人間の姿をした男が背中を向けて立っていた。
男が、ゆっくりと踵を返す。
蒼黒く艶めかしい髪。流麗な眉に切れ長の目。スッと一直線に通った鼻筋。厚過ぎず薄すぎない丁度いい大きさの口。耳から顎にかけてのシャープな曲線。広い肩幅にスラッと伸びた腕と足。ウエストはキュッと締まっている。
……ずいぶんと男前じゃねえか。ていうか絶世の美男子じゃねえかよ、クソがっ。
うわあ~、嫌なこと言いやがる。目ん玉なんて喰われたくはないぜ、まったく。
でもなあ、背に腹は代えられないかもなあ。
何せ他に方法を思いつかないし。かといってこいつを引っ込めたら、追跡できないし。
一応聞いてみる。
「それって、痛いよな?」
「安心しろ。右目だけだ。すぐに終わる」
「おいおいおいおい!右目だけだからって、安心しろとは何事だ!お前、俺の眼を喰うって言ってんだぞ。安心できるわけねえだろ。ていうか俺は痛いかどうかを聞いたんだ。そのことについては一切答えてねえぞお前。それになあ、さすがに片目がないと周りから不気味がられるわ!」
「大丈夫だ。代わりの眼を嵌めればいい」
代わりの眼ねえ。ぞっとする話だねえ。
「そいつは義眼ってことか?だがそれだと遠近感がおかしくなって、まともに戦闘ができなくなっちまう」
人間の眼というのは、左右両方の眼で物を見ることによってそれぞれの眼で見る映像の差異を脳が処理し、遠近感や立体感を感じている。そのため片方の眼が見えなくなってしまうと、そもそも片方の映像しかないため差異は生まれず、遠近感も立体感も感じ取れなくなってしまうのだ。
「問題ない。義眼ではない。これまでと同等の機能は保証する」
「そうなのか?」
「さらに俺の姿も見えるし、言葉を発さずとも会話もできる」
そいつはお得かもしれねえな。
あ、いやいやいやいや、ふう~あぶねえ。つい乗ってしまうところだったぜ。
目を喰われるんだぜ?お得なはずはないだろう。
でもなあ、そうしないとこっちの世界じゃ不都合だよなあ。
「痛くないのか?」
「安心しろ。すぐに終わると言っている」
さっきと同じ答えだ。
俺は声に怒気を孕ませる。
「いやだからお前さ、俺は喰われている間の時間を聞いているんじゃないんだよ。痛いかどうかを聞いているんだよ!」
ソルスが無感情に言う。
「痛いに決まっているだろう」
「やっぱりかい!それを早く言えよ、お前!それを言うと俺が躊躇するから誤魔化していたんだろうが」
「そんなことはない」
「ある!」
「ない」
くそ。堂々巡りだ。
だがそこで、ふと思いついた。
「他の方法はないのか?例えば、お前が人間の姿になるとかさ」
ソルスはこれまでと異なり、黙り込んだ。
その様子に、俺はピンときた。
「なれるんだな?」
俺の追及に、ソルスが仕方なさげに答えた。
「なれないこともない」
「やっぱりなれんのかい!お前、人間の姿になれるんじゃねえか。ふう~、危ないところだったぜ」
俺は額の汗を右手で拭うと、きっぱりとした口調で言った。
「それにする。とっとと人間の姿に変われ」
ソルスは、顔に不満をおもいっきり現している。
だがこいつは、或る理由で俺に対して決して抗えない。
案の定、不承不承といった様子ながらも、受け入れたようだ。
「仕方がない」
ソルスは言うなり、中空でくるっと半回転して後ろを向いた。
見ると、徐々に蒼黒いマントが下に向かって伸びていく。
そして地面すれすれまで伸びきると、マント全体が風もないのに突然揺らめき、その背後から後光が射すかのように朝の陽光が目に飛び込んできた。
一瞬の輝きに、俺は思わず瞼を閉じて顔をそむけた。
次にわずかに横に移動し、陽光を再びソルスの陰にする。
そうして俺は改めてソルスを見た。
するとそこには、明らかに人間の姿をした男が背中を向けて立っていた。
男が、ゆっくりと踵を返す。
蒼黒く艶めかしい髪。流麗な眉に切れ長の目。スッと一直線に通った鼻筋。厚過ぎず薄すぎない丁度いい大きさの口。耳から顎にかけてのシャープな曲線。広い肩幅にスラッと伸びた腕と足。ウエストはキュッと締まっている。
……ずいぶんと男前じゃねえか。ていうか絶世の美男子じゃねえかよ、クソがっ。
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