30 / 54
第30話 一触即発
しおりを挟む
俺は横のソルスに向かって言った。
「来栖を守ってくれ」
ソルスはすかさず唇をめくり上げて歯をむき出しにし、死んだ魚のような目をして、俺を見た。
俺はそのあまりにも嫌そうな顔を見て舌打ちをすると、さらに言った。
「いいから守れよ。絶対に殺させるなよ」
ソルスが心底嫌そうな顔のまま返す。
「守るのは趣味じゃない。俺、死神だし」
「うるさい。お前の趣味なんかどうだっていい。とにかく守れ。わかったな」
俺の念押しに、ソルスはなにか得体のしれないエクトプラズムを口の中から吐き出すかのようにうめき声を上げた。
「がはあああっ……」
「がはあって何だよ。ちゃんと返事しろや」
「ばあぁぁ……」
ちっ、この野郎。
「おい、次はちゃんとした言葉で返事しろ。でないと契約発動するぞ」
この俺の脅しに、ソルスは恨めしそうな顔をしつつも、ようやく意味のある言葉を発した。
「……わーがっだあ……」
「まったく気持ちのこもっていない棒読みの返事をどうもありがとう」
こいつにやる気があろうがなかろうが関係ない。とにかく承知をした以上、来栖はもう問題ない。あ、いやひとつあった。
「そうそう、こいつらたぶん拳銃を持っているから気をつけろよ」
俺の忠告に、ソルスが興味津々で聞き返して来た。
「ケンジュウとは?」
「まあなんだ、魔法みたいなもんだ。いわゆる飛び道具だな」
「攻撃魔法と同じようなものか?」
「まあそうだ。あいつらが懐から取り出す金属製の武器から弾が放たれるんだ。速度的にはAクラスの攻撃魔法と同じくらいだ。一直線に飛んでくるから気をつけろよ」
するとソルスの目が爛々と輝き出した。
「ほう、それは楽しみだな」
やる気になってくれてよかったよ。だがこれで来栖の心配は、一億パーセント完全になくなった。
俺は意を決してヤクザたちに向き直る。
「よし、相手になってやる。どっからでもいいぜ。かかってこいよ」
月明かりの元、四度の怒声が四方八方から沸き上がる。
柴崎が、千弦に対して言う。
「若頭、やっちまっていいですね?さすがにこれだけコケにされたら、黙ってられません」
黙ってねえじゃん。俺が心の中でツッコミを入れるていると、千弦が鋭い眼差しでこくりとうなずいた。
「いいだろう。だが、気をつけろ。あいつらのあの自信は何か裏がありそうだ」
「そいつはさすがに買いかぶりすぎってもんですよ。あいつらは、ただ単に頭がイカレているだけの連中ですって」
千弦は相変わらず俺たちを計るような目つきで見つめながら、低く抑えた声で言った。
「だといいがな」
しかし柴崎は気にせず、後ろを振り返って大音声で号令を下した。
「おい、てめえら!若頭のお許しが出た!殺さねえ程度にぶちのめせ!」
柴崎の怒号に、組員たちが呼応した。
凄まじい怒声を上げながら、俺たちに向かって殺到する。
「おい、来栖を連れて下がれ」
「拳銃を見たいな」
ソルスは緊張感の欠片もない言い草をしつつも、来栖のお腹周りを片手で小脇に抱えて持ち上げた。
来栖が持ち上げられた振動で、叫び声を上げる。
俺はそれを無視して、ソルスに言う。
「そのうち出すさ。楽しみに待ってな」
「わかった。楽しみにしておこう」
ソルスはそう言い残すと、来栖の上げる叫びとともに、軽やかな足取りで素直にサッサと後ろに下がっていった。
「来栖を守ってくれ」
ソルスはすかさず唇をめくり上げて歯をむき出しにし、死んだ魚のような目をして、俺を見た。
俺はそのあまりにも嫌そうな顔を見て舌打ちをすると、さらに言った。
「いいから守れよ。絶対に殺させるなよ」
ソルスが心底嫌そうな顔のまま返す。
「守るのは趣味じゃない。俺、死神だし」
「うるさい。お前の趣味なんかどうだっていい。とにかく守れ。わかったな」
俺の念押しに、ソルスはなにか得体のしれないエクトプラズムを口の中から吐き出すかのようにうめき声を上げた。
「がはあああっ……」
「がはあって何だよ。ちゃんと返事しろや」
「ばあぁぁ……」
ちっ、この野郎。
「おい、次はちゃんとした言葉で返事しろ。でないと契約発動するぞ」
この俺の脅しに、ソルスは恨めしそうな顔をしつつも、ようやく意味のある言葉を発した。
「……わーがっだあ……」
「まったく気持ちのこもっていない棒読みの返事をどうもありがとう」
こいつにやる気があろうがなかろうが関係ない。とにかく承知をした以上、来栖はもう問題ない。あ、いやひとつあった。
「そうそう、こいつらたぶん拳銃を持っているから気をつけろよ」
俺の忠告に、ソルスが興味津々で聞き返して来た。
「ケンジュウとは?」
「まあなんだ、魔法みたいなもんだ。いわゆる飛び道具だな」
「攻撃魔法と同じようなものか?」
「まあそうだ。あいつらが懐から取り出す金属製の武器から弾が放たれるんだ。速度的にはAクラスの攻撃魔法と同じくらいだ。一直線に飛んでくるから気をつけろよ」
するとソルスの目が爛々と輝き出した。
「ほう、それは楽しみだな」
やる気になってくれてよかったよ。だがこれで来栖の心配は、一億パーセント完全になくなった。
俺は意を決してヤクザたちに向き直る。
「よし、相手になってやる。どっからでもいいぜ。かかってこいよ」
月明かりの元、四度の怒声が四方八方から沸き上がる。
柴崎が、千弦に対して言う。
「若頭、やっちまっていいですね?さすがにこれだけコケにされたら、黙ってられません」
黙ってねえじゃん。俺が心の中でツッコミを入れるていると、千弦が鋭い眼差しでこくりとうなずいた。
「いいだろう。だが、気をつけろ。あいつらのあの自信は何か裏がありそうだ」
「そいつはさすがに買いかぶりすぎってもんですよ。あいつらは、ただ単に頭がイカレているだけの連中ですって」
千弦は相変わらず俺たちを計るような目つきで見つめながら、低く抑えた声で言った。
「だといいがな」
しかし柴崎は気にせず、後ろを振り返って大音声で号令を下した。
「おい、てめえら!若頭のお許しが出た!殺さねえ程度にぶちのめせ!」
柴崎の怒号に、組員たちが呼応した。
凄まじい怒声を上げながら、俺たちに向かって殺到する。
「おい、来栖を連れて下がれ」
「拳銃を見たいな」
ソルスは緊張感の欠片もない言い草をしつつも、来栖のお腹周りを片手で小脇に抱えて持ち上げた。
来栖が持ち上げられた振動で、叫び声を上げる。
俺はそれを無視して、ソルスに言う。
「そのうち出すさ。楽しみに待ってな」
「わかった。楽しみにしておこう」
ソルスはそう言い残すと、来栖の上げる叫びとともに、軽やかな足取りで素直にサッサと後ろに下がっていった。
20
あなたにおすすめの小説
氷結の夜明けの果て (R16)
ウルフィー-UG6
ファンタジー
Edge of the Frozen Dawn(エッジ・オブ・ザ・フローズン・ドーン)
よくある異世界転生?
使い古されたテンプレート?
――そうかもしれない。
だが、これはダークファンタジーだ。
恐怖とは、姿を見せた瞬間よりも――
まだ見えぬまま、静かに忍び寄るもの。
穏やかな始まり。ほのかな優しさ。
だが、石の下には、眠る獣がいるかもしれない。
その時が来れば、闇は牙を剥く。
あらすじ
失われた魂――影に見つめられながら。
だが、英雄とは……本当に常に“光”のために戦う者なのか?
異国の大地で、記憶のないまま、見知らぬ身体で目を覚ます。
生き延びようとする本能だけが、彼を前へと突き動かす。
――英雄か、災厄か。それを分けるのは、ただ一つの選択。
冷たく、謎めいた女戦士アリニアと共に、
彼は武器を鍛え、輝く都市を訪れ、古の森を抜け、忘れられた遺跡へと踏み込んでいく。
だが、栄光へと近づく一歩ごとに、
痛みが、迷いが、そして見えない傷が刻まれていく。
光の道を歩んでいるかのように見えて――
その背後で、影は静かに育ち続けていた。
――これは、力と希望、そして自ら築き上げる運命の物語。
🔹 広大で容赦のない世界が、挑む者を待ち受ける。
🔹 試練と沈黙の中で絆を深めていく、二人の仲間。
🔹 「居場所」を探す旅路の果てに待つものとは――。
ヴェイルは進む。
その選択はやがて、一つの伝説を生み出すだろう。
それが光か、闇か。――決めるのは、あなた自身だ。
R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。
だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。凛人はその命令を、拒否する。
彼は、大地の女神により創造された星骸と呼ばれる伝説の六英雄の一人を従者とし、世界を知るため、そして残りの星骸を探すため旅に出る。
しかし一つ選択を誤れば世界が滅びる危うい存在……
女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。
これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる