実験体×魔術師

如月

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6.学校?

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あれからはこいつのメンタルも安定してきて、やっとまともに研究できるようになった。

相変わらずあの机に乗せようとすると体がこわばるが、最初の時の様に嫌がる素振りは見せなくなった。

何度か体液やら髪やら爪やらを取っては解析して、わかったのはこいつの体がだいたい10歳程度の体ということ。身長がかなり低く、体も痩せて声も発せられなかった為幼く見えていたようだ。最近は病院で出てくるような栄養食は出していないが、それでもこの歳の男の子には少なかっただろう。もう少し量を増やせば相応の体格に育つだろう。

ふぅ……

「スキルがあればなぁ……」
あ、声に出た。

「スキル?」
「特殊能力の事さ。俺の使ってる魔法や錬金術と違って、理論が無いんだ。」
「なんでそれが欲しいの?」
「実は、人の情報を一発で見破るスキルがあるのさ。それを持ってたら、こんな時間をかけなくても一目でシンのことが何もかもわかったんだよ。」

へぇ!と目を輝かせるシン。
「ねえ、僕にも使える?」
「それはシン次第だな!勉強すれば、使えるようになることもあるぞ。」

嘘は吐いていない。適性がなければ難しいが、あればすんなり習得するだろう。
しかし、ここであがる問題は別のことだ。
「勉強……」


試しに文字を書かせてみたが、俺が手本として書いたものを写しているかのようだった。否、そうなんだろう。
「学校は知ってるか?」
「名前だけ……」

「大体の事はそこで教えて貰えるんだ。」


今、こいつはこの世界に存在しない事になっている。王都に届出を出さなければならない。……民の情報はそこまで厳密に管理されている訳ではないが、そういった届け出を出されていない者たちは学校に通うこともなく盗んだり独自の商いをしたりと過酷な生活を送っている。
しかし、こいつは俺の初めての子供だ……。俺と同じように良い教育を受けさせてやりたい。俺が教えても良いけど、いつまでもラボに閉じ込めていては良くないだろう。俺以外とも繋がりを持って欲しいし、学校に行けば将来の選択肢も広がる。



瞬きをして、目の前に意識を戻す。シンは俺の言葉を待っていたようだ。

「シンもそこに行かせる予定だが…………ちょっと事情があってな。直ぐにという訳にはいかないんだ。」

「それまではお兄ちゃんと一緒に文字の練習をしよう。」
「うん……。」
俺が濁したからか、シンは少し不安そうに返した。

しかし、どうしたものか……。俺は大罪を犯している身だし、親に相談しては迷惑をかけてしまうだろう。…………こういう時は、俺の頼れる兄貴だ。

頼りたくないけど!
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