僕の父は宇宙人

パニ

文字の大きさ
1 / 4

お風呂場から父の叫び声が。。。

しおりを挟む
これは、今でも続いている父の奇っ怪な行動の一つである。

僕が幼少時代から今もなお、父のその行動はずっと続いている。

僕が小さい頃はこの行動が当たり前だと思っていて、あまり気にはしていなかった。

しかし、歳を重ねるごとに何か分からない違和感を覚えるようになった。

父は大の風呂好きで、いつも熱い湯船につかることが大好きだ。

普通の親父は鼻歌なんかを歌ったりするのだろうが、僕の父は熱い湯船につかると、

「うわー、うあわー、うあああわー!」

と周り近所中に聞こえるくらいの大声で叫び始める。

そこからどんどんどん興奮の度合いが上がっていき、

「がんばれ!がんばれ!がんばれ!ジャイアンツ!」

なぜか?いつもジャイアンツを応援する。

野球好きは野球好きだが、ジャイアンツが好きっていう事は一言も聞いた事はないし、テレビを見ていても違うチームを応援していたのに…。

父はなぜ、風呂に入ってる時だけジャイアンツを応援するのか???

全く意味がわからない。。。

家族中の謎である。

さらに、、、

「万歳!!万歳!!万歳~!!」

と近所中に丸聞こえなるほどの大声で、叫ぶ時もあった。

3つ目は、近所中に聞こえるほどの大声で、

「この!くそ野郎!」

と叫ぶ始末。。。

一体誰の事なのか??

近所の人たちはどう思ってたのだろうか。。。僕には全く理解できなかった。

だいたいバリエーションはこの3つ。

いったいどんな使い分けをしているのかも謎である。

ところで母は父のこの奇っ怪な雄叫びをどう思っていたのだろう?

ますます謎は深まるばかりである。

僕の友達が僕の家を通りすがった時に風呂場から聞こえてきた父の雄叫びを聞いて、

「お前の親父、風呂中に何か叫んでるよねー」

て言われて…はっっ!これはやっぱりみんなに丸聞こえだったんだと分かり、持っていたジュースの缶の中に入りたい気分だった。

風呂場の父は何かストレスが溜まっていたのだろうか?

興奮して叫んでしまう星人なのだろうか?

僕は子供ながら意味がわからず、どう解釈していいかもわからなかった。

そんな毎日が続き、僕も家から独り立ちをし、20歳位になったころ、

ある時、友達の車が途中で止まってしまったらしいので、ちょっと助けに来てくれと言われ、みんなで車を後ろから押すことになった。

1人が運転席に乗りハンドル操作をし、友達4人が車の後からせっせと押すことになった。

代わりばんこで1人が運転手、後の人は車をせっせと押して…

そして、僕がハンドルを握る番が来たときに、友達が車を一生懸命押している姿をバックミラーで見た僕は思わず気がつけば大声で、

「がんばれ!がんばれ!ファイト!ファイト~!」

と信じられないくらい大声で叫んでいた。

みんな黙々と汗を流しながら車を押しているのに、こんな風に叫んだのは僕1人だけで。

「お前親父そっくりじゃん!」

それを言われたときに僕は、

はっ!と気付いてしまった。

僕は父と同じ奇っ怪な大声を出してしまっていた事に。。。

僕は愕然とした。

この時、僕が確かにあの奇っ怪な行動をとる宇宙の父と同じ血を引く息子であると言うことがはっきりとわかった。

そしてあまりのショックに声が出なかった。

あの父を少し軽蔑したような目で見ていた僕は僕自身も同じ惑星の人種であったんだと。

僕たち家族は父のあまりの意味のわからない数々の行動から、宇宙のお父さんと心の中で呼んでいたのに。。。

僕も実は周りから見れば意味のわからない宇宙の僕なのかもしれない。。。

僕は同じにはなりたくないが、どうしても無意識に出てしまう。。。

カエルの子はカエル。。。

やめて~、同じになりたくない~!

最近になって母から聞いた話だが、どうやら風呂場の「クソ野郎」は、30年前に喧嘩したタクシーのおじさんの文句をずっと言っているらしい。

「あのタクシーの運転手のクソ野郎!」

どんだけ恨むのか。

30年前の話。

そこまで普通恨めない。

ある意味立派である。

この父の奇っ怪な行動はまだまだ思い出せば、いくらでも出てくる。

マジで似たくない!!!

心と身体は裏腹なわけで…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...