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14.街の散策①
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こんにちは。
なぜか、街の多くの人々の視線に晒されているリーリエです。恐怖です。
視線を集めまくっている生徒会役員の面々は、安物の服を纏っていても、その輝きを隠すことができていません。
なんでこんな美形グループの連れが、メガネを掛けた冴えない女なのかという嫉妬混じりの視線が痛いです。
もちろん、レオナルドさんの他にも、それぞれに護衛がいるので、何かをされることはないとは思いますが…
パティはライハート殿下と手を繋いでいて、頬を染めながら微笑みあっている図は宗教画のように神々しく美しいので、見つめてしまうのは仕方ないことだとは思いますが、二人のデートに利用されたのでは?という疑念が湧いてきます。
わたしたちは必要だったのでしょうか?
あっ、あっちのお店から漂ってくる焼き菓子の匂いがとても美味しそうです。
スルスルっとキラキラ集団を抜けて、こっそりそのお店に近づいてみようと思います。
「リーリエちゃん、勝手に離れたら迷子になるよ」
目当ての菓子店を目指して、そっと離れようとしていたところ、即見つかりアンドリューに手を掴まれた。
「迷子になんてなりませんよ。これでもこの街で暮らしていたんですから」
リーリエは不満そうに頬を膨らませるが、ハハハと笑われる。
「学院の庭で迷子になるくらいの方向音痴なのに…うん、分かった。じゃあ、逸れるからってことで」
入学式の日の黒歴史を蒸し返すアンドリューを睨むと、仕方ないから一応といった感じで、言い直した。
「それで、この菓子店が気になるの?」
「えっと、まぁ」
美味しそうな匂いの菓子店も気にはなるが、このキラキラ集団から離れたかったのが一番大きな理由なので、つい歯切れが悪くなる。
「ライ!ちょっとここに寄る」
アンドリューはライハートに一言告げると、リーリエの手を掴んだまま、件の菓子店にさっさと入って行く。
お店の中は明るい雰囲気で、クッキーやマドレーヌの他、苺のショートケーキやチーズケーキ、フルーツののったタルトなどが並んでいる。
「うわー…」
その光景に思わず声が漏れた。
リーリエはずっと、母娘二人で生活するだけで精一杯だったので、気になっていても菓子店に入ったことがなかったのだ。
前世振りのケーキ屋さん!
チョコレートもいいけど、ケーキはまた別格よね。
アンドリューは目をキラキラさせて、お菓子を見つめるリーリエをしばらく微笑ましそうに見ていたが、お店の人と一言二言言葉を交わして、何かを注文した。
「何か食べたい物がある?」
ケーキに釘付けになっているリーリエの顔を覗き込んだ。
「ん!?」
突然目の前に現れたルビーのように綺麗な瞳と目が合って、声にならない叫びを上げ、思わず反射的に仰け反る。
仰け反り過ぎて倒れそうになったのを、ぽわんと柔らかい弾力に受け止められた。
「お店の中で二人とも何やってるの」
いつの間にか店の中に入って来ていたパトリシアが呆れたように言って、リーリエの身体を元の位置に戻す。
「ごっごめん。ありがとう。ちょっとびっくりしちゃって。あのケーキ!美味しそうだと思って」
赤くなっているであろう顔を誤魔化すように、早口で喋る。
「あら、本当、美味しそうね」
リーリエの赤い顔を見て、何事かを察したパトリシアは敢えてそれには触れず、にっこり微笑んだ。
「わたくしも食べてみたいわ。ここはカフェも併設されてるから、ちょっと食べて行きましょうか」
「じゃあ、そうするか」
パトリシアはライハートたちの同意を得ると、楽しそうにリーリエとカフェの方の入り口へと向かっていった。
なぜか、街の多くの人々の視線に晒されているリーリエです。恐怖です。
視線を集めまくっている生徒会役員の面々は、安物の服を纏っていても、その輝きを隠すことができていません。
なんでこんな美形グループの連れが、メガネを掛けた冴えない女なのかという嫉妬混じりの視線が痛いです。
もちろん、レオナルドさんの他にも、それぞれに護衛がいるので、何かをされることはないとは思いますが…
パティはライハート殿下と手を繋いでいて、頬を染めながら微笑みあっている図は宗教画のように神々しく美しいので、見つめてしまうのは仕方ないことだとは思いますが、二人のデートに利用されたのでは?という疑念が湧いてきます。
わたしたちは必要だったのでしょうか?
あっ、あっちのお店から漂ってくる焼き菓子の匂いがとても美味しそうです。
スルスルっとキラキラ集団を抜けて、こっそりそのお店に近づいてみようと思います。
「リーリエちゃん、勝手に離れたら迷子になるよ」
目当ての菓子店を目指して、そっと離れようとしていたところ、即見つかりアンドリューに手を掴まれた。
「迷子になんてなりませんよ。これでもこの街で暮らしていたんですから」
リーリエは不満そうに頬を膨らませるが、ハハハと笑われる。
「学院の庭で迷子になるくらいの方向音痴なのに…うん、分かった。じゃあ、逸れるからってことで」
入学式の日の黒歴史を蒸し返すアンドリューを睨むと、仕方ないから一応といった感じで、言い直した。
「それで、この菓子店が気になるの?」
「えっと、まぁ」
美味しそうな匂いの菓子店も気にはなるが、このキラキラ集団から離れたかったのが一番大きな理由なので、つい歯切れが悪くなる。
「ライ!ちょっとここに寄る」
アンドリューはライハートに一言告げると、リーリエの手を掴んだまま、件の菓子店にさっさと入って行く。
お店の中は明るい雰囲気で、クッキーやマドレーヌの他、苺のショートケーキやチーズケーキ、フルーツののったタルトなどが並んでいる。
「うわー…」
その光景に思わず声が漏れた。
リーリエはずっと、母娘二人で生活するだけで精一杯だったので、気になっていても菓子店に入ったことがなかったのだ。
前世振りのケーキ屋さん!
チョコレートもいいけど、ケーキはまた別格よね。
アンドリューは目をキラキラさせて、お菓子を見つめるリーリエをしばらく微笑ましそうに見ていたが、お店の人と一言二言言葉を交わして、何かを注文した。
「何か食べたい物がある?」
ケーキに釘付けになっているリーリエの顔を覗き込んだ。
「ん!?」
突然目の前に現れたルビーのように綺麗な瞳と目が合って、声にならない叫びを上げ、思わず反射的に仰け反る。
仰け反り過ぎて倒れそうになったのを、ぽわんと柔らかい弾力に受け止められた。
「お店の中で二人とも何やってるの」
いつの間にか店の中に入って来ていたパトリシアが呆れたように言って、リーリエの身体を元の位置に戻す。
「ごっごめん。ありがとう。ちょっとびっくりしちゃって。あのケーキ!美味しそうだと思って」
赤くなっているであろう顔を誤魔化すように、早口で喋る。
「あら、本当、美味しそうね」
リーリエの赤い顔を見て、何事かを察したパトリシアは敢えてそれには触れず、にっこり微笑んだ。
「わたくしも食べてみたいわ。ここはカフェも併設されてるから、ちょっと食べて行きましょうか」
「じゃあ、そうするか」
パトリシアはライハートたちの同意を得ると、楽しそうにリーリエとカフェの方の入り口へと向かっていった。
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