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大和の国
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『フレイ!喧嘩売ってんの!?買うよ!?ユシルもユシルで!普通気付くでしょ!?間違いが起きてからじゃ遅いのよ!?』
『私は間違い大歓迎だったけどにゃ?』
『ぶっ飛ばすぞ、コノヤロー!!』
それはつい30分前に遡る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
30分前
ピッ!ピュィ~!!
・・・
ピチュ?
・・・
ピ~~!!
「…んぁ?」
まだ眠い目を擦り、ゆっくり目を開けると…
『…おはよ…ユー君♪』
何故か俺の寝ているベッドにフレイがいた。
(…朝チュン?…朝ピチュ?…ん?)
・・・・・
「…って、オイッ!何で俺のベッドで寝てるんだよ!?」
『…成りゆき?』
コンコン…
『ユシル~、そろそろ起きないと着いちゃうよ~』
リーシュの声だ。起こしに来たらしい。
「え!?リーシュ!?ち、ちょっと待って!」
『そんな慌てなくても見せつけちゃえばいいじゃん?』
「何をだよっ!」
『…誰かいるの?入るよ~』
「ちょ、待っ…」
ガチャ…
『おはよー♪リーちゃん♪』
『…え!?フレイ!?』
『…』
『どうしたの?』
固まるリーシュ…全く気にしていないフレイ。
『…ユシル、どうゆうことか説明してくれる?』
リーシュが俯いたまま言う。
「あ…っと、俺もよくわからないんだ!フェニに起こされたかと思ったらフレイが目の前にいて!」
『…そう。フレイ、説明』
いきなり声のトーンが落ちた。
『ん?大和に着く日だったから、ユー君と親交を深めておこうと思って♪ユー君…昨日スゴかったね』
バンッ!!
ドアが吹き飛んだ。
「フレイ!変なこと言うなよっ!俺、起きたばっかで状況飲み込めてねぇんだから!」
『とりあえずベッドから出よっか?てか、出ろ!』
久々のオラオラ系リーシュだ。
『リーちゃん、怒ってる?』
『…当たり前だぁ!!』
ドゴーンッ!
俺とフレイはベッドごと吹き飛ばされ…現在に至る。
『あんたたち暇ね。上から大和の景色を見られるのに、正座させられてるなんて…』
「俺だって見たいわっ!何、この巻き添え感。俺、何もしてないのに」
『ユシル…フレイと寝てた事は事実だよね?』
「…おっしゃる通りでございます」
そしてスキーブブラズニルは大和の国の高天原の港へ到着した。
『着いたわね!さぁ、行くわよ!』
ロキが1番張り切っているようだ。デッキから飛び降りていった。この高層ビルより高いであろうデッキから次いで飛び降りたのは
『さぁ、ユシル!行こっ!』
すっかり機嫌を直したリーシュだった。機嫌が直ったきっかけは俺が正座中に告げたひと言だった。
「大和の国着いたら、リーシュのご飯食べれるかな…」
『ん?ユシルはあたしのご飯食べたいの?』
「食べたい。この船のコース料理も美味しいけど、もっと家庭的な感じのが食べたいかな」
『仕方ないなぁ…♪じゃあ、大和の国で落ち着いたらまた作ってあげるね♪』
(本当に人に料理を作るのが好きなんだなぁ)
…これがリーシュが機嫌を直したきっかけである。
ともあれ、大和の国…高天原の景色はアースガルドとは全然違う景色だった。
アースガルドが中世ヨーロッパ風なら、こちらは完全に和である。まぁ、それも当然。俺のいた日本の真上にあるのだ。特徴としては、家が1つ1つ大きいというか神社である。家すべて社なのだ。家が神社なのか神社が家なのか…それはどっちでもいいとして、大半が神社なので高い建造物などなく、所々に林や池があるので親しみやすい気がした。ただ、奥の方にシメ縄をされた巨大な岩がいくつか浮いていて、その真ん中を階段が見えないところまで続いていた。
(まぁ、偉い人がいるんだろうなぁ)
来る途中にロキに聞いたのだが、大和の国というのは上の高天原、下の黄泉の国、間の葦原中国の3つを総じて表す言葉らしい。神界という括りだと高天原だけで、アースガルドでいうミドガルドが葦原中国、ニヴルヘイムが黄泉の国にあたるという。つまり、今見ているのは大和の国の高天原だけという事になる。
「なんか修学旅行みたいだな…さて、俺も降りるか」
そう思い、飛べない俺が最下層にある出口から出ると
「ユシル君、大和の国でも怪我には気を付けるんだよ?」
出口で送り出してくれたのはバルドルだった。それともう一人
『私も見送りはここまで♪楽しそうだから私も行きたかったなぁ。もっと早くにユー君に会えてればなぁ…』
口を尖らせスネるフレイ
「バルドルさん、見送りありがとうございました。色々心配していただいてありがとうございます。
あとフレイ、たった3日と少しだったけど、何だかんだで楽しかったぞ!アースガルド帰る時はお前にもお土産買っていくから楽しみにしててな!」
『お土産はいらないからユー君をちょうだいっ♪』
「やらんわっ!お土産と同格にするなよ。まぁ、そうゆうムードメーカーっぽいとこお前らしくていいよ」
『ユー君っ!』
わざとらしく泣いた振りをしながら俺に抱きついてくる。
ロキとリーシュは反応しない。いや、正確には少し前のめりのリーシュをロキが必死で抑えている。
それを俺の肩越しに確認していたフレイが不意に…
…チュッ♪
俺の頬に柔らかい感触を残し、フレイは俺から離れた。
『…今回は、友達って事で引き下がってあげる♪でも、次はもっとグイグイ行くから覚悟してね♪ユー君っ♪』
そう言いパチッとウインクしてくるフレイ…
(やっぱ、可愛いなぁ…)
そう思いボーっとしていると後ろから声が聞こえた。
『ちょ、リーシュ!落ち着いて!フレイは今日で帰るから!あっ!ちょ、私を引きずらないで…』
『ローちゃん、止めないで…アイツは私達に宣戦布告したのよ?戦争よ、戦争!』
ロキをズルズル引きずりながら少しずつ進んでくるリーシュがいた。
(怖っ…)
『やっば~、逃げよっと!じゃね♪』
すぐにスキーズブラズニルは港から離れていった。
「まぁ、いい奴だったよな。あいつの分も色んなとこ見て回って土産話でも聞かせてやるか!ほらっ、リーシュ、ロキ行こうぜ!案内の人が待ってるから!」
そう言って俺たちは大和の国[高天原]に入るのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ユシル達が大和の国[高天原]に到着して数日後
アースガルドのある一室にて
「お呼びでしょうか!」
ひざを付き頭を下げている男が一人。
『来たかジークフリード、大した用事ではない。最近、気になる噂を聞いてな…』
机に座って書類をめくりながら、目もくれずに話し続ける。
『何でも、アンドヴァリナウトが見つかったらしい。街の噂だが』
男が過剰に反応する。
「アンドヴァリナウト!?アレが見つかったと!?アンドヴァリナウトはどこかに保管されているのですよね!?」
『いや、一人の男が装着して歩いているのを街の住民が見たらしい。封印されているかはわからん』
「なんと!!あの呪いの腕輪をつけていると!?我が父や兄のように、いつ呪いで殺戮を始めるかわかりませぬぞ!?いったい誰が!?」
『最近転生したユシルという男らしいぞ?ロキも一緒にいるらしい。確か今は…高天原に行っているはずだ』
「…主《あるじ》様、少し私に暇をいただけないでしょうか」
『ん?別にかまわんが、どうしたのだ急に』
「私の人生はあの腕輪ですべて狂わされました。もうないと思っていたのに…またあの腕輪をつける者が現れたと知ってしまった以上…あの腕輪を放置できません。それにロキも一緒なら何か企んでいるはず」
『だが噂だぞ?』
「噂でもでございます!」
『わかった。ならば好きにするがいい。腕輪を回収してきたら、私が直接封印して保管してやろう』
「は!ありがとうございます!では、私は急ぎますので、失礼いたします!」
ジークフリードと呼ばれた男は部屋をあとにした。
「…あれでよかったので?正式な命令ではないのですね」
部屋の暗闇から男が現れる。
『私がそう仕向けさせたように言うのだな?私は好きにしろと言っただけだが?』
「ハハハ…仕向けていたではないですか。ジークフリードのタブーであるアンドヴァリナウトが見つかったと」
『フフ…向こうがアンドヴァリナウトだと言い張っているのだ。問題なかろう』
「全く…怖い人だ」
そう言い残し、男はまた暗闇へと消えていった。
『私は間違い大歓迎だったけどにゃ?』
『ぶっ飛ばすぞ、コノヤロー!!』
それはつい30分前に遡る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
30分前
ピッ!ピュィ~!!
・・・
ピチュ?
・・・
ピ~~!!
「…んぁ?」
まだ眠い目を擦り、ゆっくり目を開けると…
『…おはよ…ユー君♪』
何故か俺の寝ているベッドにフレイがいた。
(…朝チュン?…朝ピチュ?…ん?)
・・・・・
「…って、オイッ!何で俺のベッドで寝てるんだよ!?」
『…成りゆき?』
コンコン…
『ユシル~、そろそろ起きないと着いちゃうよ~』
リーシュの声だ。起こしに来たらしい。
「え!?リーシュ!?ち、ちょっと待って!」
『そんな慌てなくても見せつけちゃえばいいじゃん?』
「何をだよっ!」
『…誰かいるの?入るよ~』
「ちょ、待っ…」
ガチャ…
『おはよー♪リーちゃん♪』
『…え!?フレイ!?』
『…』
『どうしたの?』
固まるリーシュ…全く気にしていないフレイ。
『…ユシル、どうゆうことか説明してくれる?』
リーシュが俯いたまま言う。
「あ…っと、俺もよくわからないんだ!フェニに起こされたかと思ったらフレイが目の前にいて!」
『…そう。フレイ、説明』
いきなり声のトーンが落ちた。
『ん?大和に着く日だったから、ユー君と親交を深めておこうと思って♪ユー君…昨日スゴかったね』
バンッ!!
ドアが吹き飛んだ。
「フレイ!変なこと言うなよっ!俺、起きたばっかで状況飲み込めてねぇんだから!」
『とりあえずベッドから出よっか?てか、出ろ!』
久々のオラオラ系リーシュだ。
『リーちゃん、怒ってる?』
『…当たり前だぁ!!』
ドゴーンッ!
俺とフレイはベッドごと吹き飛ばされ…現在に至る。
『あんたたち暇ね。上から大和の景色を見られるのに、正座させられてるなんて…』
「俺だって見たいわっ!何、この巻き添え感。俺、何もしてないのに」
『ユシル…フレイと寝てた事は事実だよね?』
「…おっしゃる通りでございます」
そしてスキーブブラズニルは大和の国の高天原の港へ到着した。
『着いたわね!さぁ、行くわよ!』
ロキが1番張り切っているようだ。デッキから飛び降りていった。この高層ビルより高いであろうデッキから次いで飛び降りたのは
『さぁ、ユシル!行こっ!』
すっかり機嫌を直したリーシュだった。機嫌が直ったきっかけは俺が正座中に告げたひと言だった。
「大和の国着いたら、リーシュのご飯食べれるかな…」
『ん?ユシルはあたしのご飯食べたいの?』
「食べたい。この船のコース料理も美味しいけど、もっと家庭的な感じのが食べたいかな」
『仕方ないなぁ…♪じゃあ、大和の国で落ち着いたらまた作ってあげるね♪』
(本当に人に料理を作るのが好きなんだなぁ)
…これがリーシュが機嫌を直したきっかけである。
ともあれ、大和の国…高天原の景色はアースガルドとは全然違う景色だった。
アースガルドが中世ヨーロッパ風なら、こちらは完全に和である。まぁ、それも当然。俺のいた日本の真上にあるのだ。特徴としては、家が1つ1つ大きいというか神社である。家すべて社なのだ。家が神社なのか神社が家なのか…それはどっちでもいいとして、大半が神社なので高い建造物などなく、所々に林や池があるので親しみやすい気がした。ただ、奥の方にシメ縄をされた巨大な岩がいくつか浮いていて、その真ん中を階段が見えないところまで続いていた。
(まぁ、偉い人がいるんだろうなぁ)
来る途中にロキに聞いたのだが、大和の国というのは上の高天原、下の黄泉の国、間の葦原中国の3つを総じて表す言葉らしい。神界という括りだと高天原だけで、アースガルドでいうミドガルドが葦原中国、ニヴルヘイムが黄泉の国にあたるという。つまり、今見ているのは大和の国の高天原だけという事になる。
「なんか修学旅行みたいだな…さて、俺も降りるか」
そう思い、飛べない俺が最下層にある出口から出ると
「ユシル君、大和の国でも怪我には気を付けるんだよ?」
出口で送り出してくれたのはバルドルだった。それともう一人
『私も見送りはここまで♪楽しそうだから私も行きたかったなぁ。もっと早くにユー君に会えてればなぁ…』
口を尖らせスネるフレイ
「バルドルさん、見送りありがとうございました。色々心配していただいてありがとうございます。
あとフレイ、たった3日と少しだったけど、何だかんだで楽しかったぞ!アースガルド帰る時はお前にもお土産買っていくから楽しみにしててな!」
『お土産はいらないからユー君をちょうだいっ♪』
「やらんわっ!お土産と同格にするなよ。まぁ、そうゆうムードメーカーっぽいとこお前らしくていいよ」
『ユー君っ!』
わざとらしく泣いた振りをしながら俺に抱きついてくる。
ロキとリーシュは反応しない。いや、正確には少し前のめりのリーシュをロキが必死で抑えている。
それを俺の肩越しに確認していたフレイが不意に…
…チュッ♪
俺の頬に柔らかい感触を残し、フレイは俺から離れた。
『…今回は、友達って事で引き下がってあげる♪でも、次はもっとグイグイ行くから覚悟してね♪ユー君っ♪』
そう言いパチッとウインクしてくるフレイ…
(やっぱ、可愛いなぁ…)
そう思いボーっとしていると後ろから声が聞こえた。
『ちょ、リーシュ!落ち着いて!フレイは今日で帰るから!あっ!ちょ、私を引きずらないで…』
『ローちゃん、止めないで…アイツは私達に宣戦布告したのよ?戦争よ、戦争!』
ロキをズルズル引きずりながら少しずつ進んでくるリーシュがいた。
(怖っ…)
『やっば~、逃げよっと!じゃね♪』
すぐにスキーズブラズニルは港から離れていった。
「まぁ、いい奴だったよな。あいつの分も色んなとこ見て回って土産話でも聞かせてやるか!ほらっ、リーシュ、ロキ行こうぜ!案内の人が待ってるから!」
そう言って俺たちは大和の国[高天原]に入るのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ユシル達が大和の国[高天原]に到着して数日後
アースガルドのある一室にて
「お呼びでしょうか!」
ひざを付き頭を下げている男が一人。
『来たかジークフリード、大した用事ではない。最近、気になる噂を聞いてな…』
机に座って書類をめくりながら、目もくれずに話し続ける。
『何でも、アンドヴァリナウトが見つかったらしい。街の噂だが』
男が過剰に反応する。
「アンドヴァリナウト!?アレが見つかったと!?アンドヴァリナウトはどこかに保管されているのですよね!?」
『いや、一人の男が装着して歩いているのを街の住民が見たらしい。封印されているかはわからん』
「なんと!!あの呪いの腕輪をつけていると!?我が父や兄のように、いつ呪いで殺戮を始めるかわかりませぬぞ!?いったい誰が!?」
『最近転生したユシルという男らしいぞ?ロキも一緒にいるらしい。確か今は…高天原に行っているはずだ』
「…主《あるじ》様、少し私に暇をいただけないでしょうか」
『ん?別にかまわんが、どうしたのだ急に』
「私の人生はあの腕輪ですべて狂わされました。もうないと思っていたのに…またあの腕輪をつける者が現れたと知ってしまった以上…あの腕輪を放置できません。それにロキも一緒なら何か企んでいるはず」
『だが噂だぞ?』
「噂でもでございます!」
『わかった。ならば好きにするがいい。腕輪を回収してきたら、私が直接封印して保管してやろう』
「は!ありがとうございます!では、私は急ぎますので、失礼いたします!」
ジークフリードと呼ばれた男は部屋をあとにした。
「…あれでよかったので?正式な命令ではないのですね」
部屋の暗闇から男が現れる。
『私がそう仕向けさせたように言うのだな?私は好きにしろと言っただけだが?』
「ハハハ…仕向けていたではないですか。ジークフリードのタブーであるアンドヴァリナウトが見つかったと」
『フフ…向こうがアンドヴァリナウトだと言い張っているのだ。問題なかろう』
「全く…怖い人だ」
そう言い残し、男はまた暗闇へと消えていった。
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