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4、狙われたのは
Ⅰ
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レオンの後ろについてきているのは四人。その後ろから、村人の勇士がついてきているが、その前に確認すべきことがあると足を止めた。村人たちは先行の軍人たちを無視して思い思いの農具を手に村の中に雪崩れていく。
「止まれ」
「どうされた?」
「君たちの命令の内容を確認したい。俺を守ることか、それとも彼女を守ることか?」
「……どちらもです」
「俺の命は俺で守る。彼女と村人を」
彼らを指揮して犠牲者が少なるように立ち回れ、と指示するレオンに軍人たちは眉を寄せた。
「しかし」
「俺にそう脅されたと兄に言えばあの人はわかる。自分から死地へ向かおうとするのを阻止したい。という兄の考えもわかる」
「では」
「それでは時間稼ぎができない。いいか、軍人の務めは一つだ。国民を守ること。それを忘れていないか? 貴様らは。……俺たちは何としてでも教会へ行かないように仕向けなければならない」
「それは……」
「無論俺もそのために動くつもりだ。この少人数の中、死にに出ていくほど死に急いでいるわけじゃない。務めを忘れて死ねば、あっちで少将にどやされる。いいか、連中の頭数を減らすこととひっかきまわすことを考えろ」
「……」
ちらりと四人で目配せをしたのを確認して、レオンは眼前で燃え盛る村を見おろす。正確には、村人をあぶりだすために村の外に仕込まれた飼葉が燃えているのだが、一部村の建物にも火が回っている箇所がある。
「こんなこと許しちゃあいけねえよ」
そう言って手に持っていた銃で、遠くで女を犯していた盗賊の一人の後頭部を打ち抜いたレオンは熱風に目を細めて横に潜んでいた盗賊を二人打ち抜いた。
「素っ裸にして着こんで潜入してひっかきまわせ」
「御意」
一人がまず動き出す。あっという間に盗賊の臭い服を身に付けて火にまみれている村の中に入っていく。そして、もう一人は後ろからついてきている村人を押しとどめて隊を編成していく。
「少佐」
「……お前は街道に」
「でもっ」
「自分の適性みろ。殺せねえなら案内係だ」
「……っ」
かつての部下に言い放って教会へ散らせると、もう一人はレオンの隣に立った。
「で、俺を選んでくれた理由は?」
「食えなそうだから」
にやりと笑った男はレオンの答えにくつくつと笑った。
「御兄弟で同じことをおっしゃる」
「どうせあの人のことだ。俺と気が合いそうな人選をしているんだろう」
「奇遇ですね。俺も思いましたよ。貴方とは気が合いそうだ」
そんなとぼけたやり取りをしながら徐々に混乱していく中を見て、目を見合わせる。
「潮時か」
「ええそうですね。どっちから行きます?」
「俺はあっちだな」
「じゃあ俺はあっち」
と二人挟み撃ちになるように逆方向から中心部を目指すことにして、村へ走っていく。
「軍人だ!」
「くそっ、駐留してない村じゃなかったのかっ!」
村に入ったとたん、レオンの姿を見た盗賊たちがののしりながらレオンにかかっていく。走りながらそれを見たレオンがすらりと剣を抜いてとびかかってくる敵を一振りで無力化し、もう一人は蹴とばして足を止めることなく逃げ遅れた村人の道を作っていく。後ろから編成された村人の男たちが来るのを見ながら、武器を持っている盗賊を切り伏せていく。
「呆けている暇があるなら走れ!」
と、石畳の村の道に座りこんでいる若い女に怒鳴り上げ立たせると教会へ走らせ、煙を吸って動けないでいる老婆を救助していく。
「止まれ」
「どうされた?」
「君たちの命令の内容を確認したい。俺を守ることか、それとも彼女を守ることか?」
「……どちらもです」
「俺の命は俺で守る。彼女と村人を」
彼らを指揮して犠牲者が少なるように立ち回れ、と指示するレオンに軍人たちは眉を寄せた。
「しかし」
「俺にそう脅されたと兄に言えばあの人はわかる。自分から死地へ向かおうとするのを阻止したい。という兄の考えもわかる」
「では」
「それでは時間稼ぎができない。いいか、軍人の務めは一つだ。国民を守ること。それを忘れていないか? 貴様らは。……俺たちは何としてでも教会へ行かないように仕向けなければならない」
「それは……」
「無論俺もそのために動くつもりだ。この少人数の中、死にに出ていくほど死に急いでいるわけじゃない。務めを忘れて死ねば、あっちで少将にどやされる。いいか、連中の頭数を減らすこととひっかきまわすことを考えろ」
「……」
ちらりと四人で目配せをしたのを確認して、レオンは眼前で燃え盛る村を見おろす。正確には、村人をあぶりだすために村の外に仕込まれた飼葉が燃えているのだが、一部村の建物にも火が回っている箇所がある。
「こんなこと許しちゃあいけねえよ」
そう言って手に持っていた銃で、遠くで女を犯していた盗賊の一人の後頭部を打ち抜いたレオンは熱風に目を細めて横に潜んでいた盗賊を二人打ち抜いた。
「素っ裸にして着こんで潜入してひっかきまわせ」
「御意」
一人がまず動き出す。あっという間に盗賊の臭い服を身に付けて火にまみれている村の中に入っていく。そして、もう一人は後ろからついてきている村人を押しとどめて隊を編成していく。
「少佐」
「……お前は街道に」
「でもっ」
「自分の適性みろ。殺せねえなら案内係だ」
「……っ」
かつての部下に言い放って教会へ散らせると、もう一人はレオンの隣に立った。
「で、俺を選んでくれた理由は?」
「食えなそうだから」
にやりと笑った男はレオンの答えにくつくつと笑った。
「御兄弟で同じことをおっしゃる」
「どうせあの人のことだ。俺と気が合いそうな人選をしているんだろう」
「奇遇ですね。俺も思いましたよ。貴方とは気が合いそうだ」
そんなとぼけたやり取りをしながら徐々に混乱していく中を見て、目を見合わせる。
「潮時か」
「ええそうですね。どっちから行きます?」
「俺はあっちだな」
「じゃあ俺はあっち」
と二人挟み撃ちになるように逆方向から中心部を目指すことにして、村へ走っていく。
「軍人だ!」
「くそっ、駐留してない村じゃなかったのかっ!」
村に入ったとたん、レオンの姿を見た盗賊たちがののしりながらレオンにかかっていく。走りながらそれを見たレオンがすらりと剣を抜いてとびかかってくる敵を一振りで無力化し、もう一人は蹴とばして足を止めることなく逃げ遅れた村人の道を作っていく。後ろから編成された村人の男たちが来るのを見ながら、武器を持っている盗賊を切り伏せていく。
「呆けている暇があるなら走れ!」
と、石畳の村の道に座りこんでいる若い女に怒鳴り上げ立たせると教会へ走らせ、煙を吸って動けないでいる老婆を救助していく。
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