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１３章 王の戦い

ダンジョンチケット１４７

ハデスの声は拓武の中に響かなかった。
代わりに拓武の中に溢れ出てきていたのは、悲しみだった。

オクシードもリュトルも傷付けあって欲しくない……

「なら？どうするべきか教えてやろう、幼き王よ！簡単だ二人が傷付け合わないようにすればいい」
拓武の中に響くその冷たい声は次第に拓武の精神を侵食していく。

ハデスは急ぎ拓武の精神に入ろうとしたが既に遅かったのだ。

拓武の精神は闇に包まれていた。

拓武の体から吹き出したら黒い炎は直ぐに拓武を包み込むと拓武は目を開きリュトルとオクシードに目線をあわせた。

二人はその凄まじい殺気を感じると直ぐに拓武から距離をあけたのだ。

オクシード「どういうつもりだ！冥界の王よ！」

リュトルはオクシードの言葉に耳を疑った。
リュトル「拓武が冥界の王だと！そんな筈はない！冥界の王は、今やグランガイムの筈だ！」

オクシード「情報がカビ臭いんだよ。お前ら竜人族はいつの話だ！既に一月以上前にグランガイムは死んでいる！その後あの拓武が冥界の王になったんだよ！」

リュトルの顔つきはさっきまでの血走ったモノとは、違い悲しそうな顔を浮かべていた。

リュトル「すまないが、頼みがあるオクシード王よ」

リュトルの態度が一変したのだ。

オクシード「いきなりなんだ！気色悪い竜人の王が俺きに何を頼む気だ？」

リュトル「俺の首をくれてやる、拓武を止めるのを手伝ってほしい、頼む」

リュトルの言葉にオクシードは耳を疑った。竜人族が他人のために命を賭けるなど聞いたことがないからだ。

オクシード「ふあはははは！正気か？竜人の王よ、何故そんな事を言い出した」

リュトル「拓武が俺の唯一の親友だからだ！」

オクシードは笑うのをやめた。
そしてリュトルに対して頷いた。
其れは条件を飲んだことを意味していた。

オクシード「貴様の首などもう要らん！だが、代価は支払ってもらうぞ」
リュトル「何が望みだ！」

オクシード「決まっている！アインの首だ！貴様の事を信用したわけではない！だが拓武を親友と言った貴様の言葉に偽りを感じなかった！ならば命を取るわけにもいかぬ！」

リュトル「無茶苦茶な理由だな！だが助かるぞオクシード王」

二人は黒く染まった拓武に対して真っ向から突っ込んだのだ！