ダンジョンチケット

１６章 人間界にて

ダンジョンチケット２０９

モシュネの操る凄まじい風を拓武がメビウスの弓の形状を平べったく伸ばし風が地面を四方八方に飛ぶように変化させる。
まるで地面に蓋がされたようになる。
そして風は所々に拓武がイメージした空気穴から地上に吹き出す。
其れは一瞬で広範囲の霧を吹き飛ばす事に成功した。
「よし！モシュネ、直ぐに皆を捜そう」
拓武が目に入ってきたのは、悲惨な光景であった。
そして霧がなくなり自分達を襲っていた魔族が姿を現していた。

しかし、敵の姿を確認したリザードマン達は次々に敵を討ち倒していく。
姿さえ見えたなら、リザードマン達に負けはない。
霧が晴れ、太陽の光がリザードマン達の体温を上げる。
本来は、リザードマン達は、６０パーセント程の力しかだしていない。
しかし太陽の熱で普段以上に体温が上がり身体能力と攻撃力を格段にあげた。

そこからは圧倒的な勢いで戦闘には勝利したが、かなりの数の戦士達がやられた。

しかし、ギルガデムが戦闘で討ち取った魔族の中に霧を作り出していた者がいたらしく。
かなり苦戦したようだが討ち取る事に成功していた。

犠牲者を並べ祈りを捧げると拓武達は直ぐにベルゼを討ち取る為に歩みを進める。
その途中に大きな下り坂があり、拓武の表情が変わる。
その先にある筈の住宅街は拓武が住んでいた街だ。
しかし、拓武の自宅は既に崩壊し火が引火したのだろうか、周りの風景も全てが焼け落ち黒い世界になっていたのだ。

皆が拓武の気持ちに同情しようとするも拓武は顔をあげ頬を自分で強く叩いた。

「よし、いこう」

 そこからの拓武は向かってくる魔族に対して、優しさを完全に捨てさったかのような鬼神の様な戦いぶり、皆が驚く程の戦いぶりにであった。

そんな拓武の姿を離れた場所から見る車椅子の女とプレマディウス。

「まるで獣ね？あんな猛犬みたいな人が冥界の王で違いないのかしら？プレマディウス」

「はい、マスター」

プレマディウスはそう言うと女と姿を消したのであった。

自分達を見る視線が消えたことに気づいた拓武はそれから少し移動するがそれでも視線が感じないことを確かめると皆に休息するように声をかけていく。

「皆、今は、短い時間でも休んで欲しい。この先に魔界の王がいる、そして俺は魔王ベルゼを討ち取るつもりだ！」

「主様、私達は何処までも一緒です。考えるのは勝ったあとにしましょう」