ダンジョンチケット

１７章 魔王と冥王

ダンジョンチケット２３６

魔界についた拓武達を出迎えたのは黒雲に閉ざされた空と激しい稲光であった。

直ぐに空クジラを地上に降ろす準備をする拓武達、そんな中、何頭かの空クジラに落雷が襲い掛かったのだ。
それは一瞬の出来事であり、拓武達の横を飛行していた空クジラが一瞬で全身から煙を出し地上へと落下していったのだ。

ナノは直ぐに空に向かうと他の機械人達と供にシールドを空に向けて広げる。
 シールドを弾かれた稲妻は次々に地上に降り注ぎ、地上にも火の手が上がる。

「どうなってるんだ！バティーン」

「申し訳ありません、ですが亀裂の先がどうなっているかまでは、私にも分かりません」

オクシードが残った空クジラを地上に誘導し、其れを確認したナノ達も急ぎ空から地上へと降りていく。

被害は全体からすれば多くはなかったが、空クジラが四頭落雷により、絶命することになり多くの海王族の乗組員と戦士が命を落とす事になったのだ。

オクシードはその事実にバティーンを攻めたい気持ちを必死におさえ、拳を握り締めていた。
オクシードの強く握られた拳から伝い流れる血はオクシードの無念さを物語っていた。

海王族の死者達と空クジラに祈りを捧げた拓武達は一旦地上の偵察をするべく部隊を編集し、何人かに別れて探索を開始しする。

探索してわかったのは、この場所がベルゼの部下ベレトの支配する領地だと言う事であった。

バティーンはベレトの事を「忠実なる内向きの剣」っと口にした。

「バティーンそれはどういう意味なんだ？」

拓武の質問にバティーンは目を瞑りながらゆっくりと返答した。

「ベレトは、魔王に使える王騎士なのです、そしてベルゼが王になった際に今までを供に戦ってきた仲間達と供に前王を支持する者を根絶やしにしたのです、ベレトが前王をあっさりと捨て、ベルゼの元に忠誠を誓った裏切りの刃こそベレトなのです」

そんな拓武達の元に複数の影が近づいてきていた。
その反応に気づいたナノが直ぐに拓武に状況を知らせると、そして新たな運命が拓武を待ち構えるのであった。