ダンジョンチケット

１７章 魔王と冥王

ダンジョンチケット２５２

拓武に流れてきた記憶は明るく楽しいものであった。

敵でありながら互いを友として認め戦い抜いた記憶。

ベルゼブブ亡くなった際の悲しみと孤独感、新たな強敵達の登場と殲滅、凄まじい記憶の渦が拓武の頭の中に入り込んでいく。

全ての処理が間に合わないままに無造作に入り続ける情報と言う名の記憶の処理が終わったのは夕暮れであった。

その間誰一人として拓武を訪ねなかった訳ではない、モシュネやギルガデム達がネクロから追憶のオルゴールの話を聞き、拓武の部屋を中と外から警護していたのだ。

拓武が目覚めるタイミングはヴァサゴにより分かっていたので拓武に気付かれぬように皆は部屋を後にしていたのだ。

そんな拓武が目覚めると直ぐに部屋の扉を開き皆を集めた。

「今から話すことを確りと聞いてほしい！　今から過去の三大魔王の墓を探す」

拓武の言葉にバティーン達魔族が動揺する。

「其れは墓荒らしをしろと言う意味ですか魔王陛下？」

アスタロトが刺々しい物言いで拓武に尋ねると拓武は首を横に振った。

「墓に書かれた古代魔族文字をみたいんだ、そして其処に行かなくちゃならないんだ」

拓武の言葉に首を傾げる四魔小王に対して拓武が大魔王の記憶と共に蘇った魔力を露にすると皆の目の色がかわった。

拓武から湧き出るように勢いよく流れる魔力は、既に他の魔族と数段の差があったのだ。