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１８章 霊界と天界

ダンジョンチケット２６７

　拓武達の乗る空クジラの大部隊が天界に向かう最中、ヴァサゴが拓武に笑いながら話しかけた。

「王よ、此度の戦は、我等の勝利ですぞ。被害は多少成りとありますが、紛れもなく未来は揺るがない物です」

　ヴァサゴは、拓武に天界と幻想界についてを語り始めた。

　本来、幻想界は天界と肩を並べる程の強力な世界であった事、スルトが、クリュメノスに加担した理由、更に何故、かぐやがスルト達の力を封印したのかであった。

　クリュメノスとゼウスの戦いは、ゼウスの圧倒的な力を前に勝敗は明らかになろうとしていた。
　其処に加勢したのがスルト達、巨兵族を含む巨人族であった。
　ギガンテスは神力の効かぬ体を有しており、クリュメノス達の盾となった。
　更にスルト達はその巨大な拳を縦横無尽に振り回し、天兵を次々に薙ぎ倒して言ったのだ。

　天界にも緊張が走る程の激戦の中、姿を現した、かぐやは、その手でスルト達を拘束したのだ。

　ゼウスは怒り、全ての巨人を世界から一掃すると口にしたが、かぐやが其れを止めたのだ。

　かぐやの言葉にしぶしぶ従うゼウスはクリュメノスとの戦いに口を挟まない事を条件にかぐやの申し入れを受け入れたのだ。

　その後、クリュメノスは、ゼウスの手で全てを奪われる事になり、肉体を失う事になる。

　本来ならば、ゼウス達は、巨人に勝つ術はなかった事実、更に言うならば、かぐやが加勢した結果もたらされた今の現状に拓武は苛立ちすら感じていた。

「ありがとう、ヴァサゴ。そう言われたら自信が確信に変わったよ！　この戦いは俺達が勝つ！　クリュメノスの無念は俺の代で果たす！」

　拓武はそう語ると直ぐにスルト達と共に前線に向かうことを決めるのであった。

　拓武に取って、運命の歯車の一つとなる存在ゼウス、そして全てを動かす存在となった。かぐや。

　全てを元に戻す為の戦いの幕があげる。