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1章…生きる為に

成長の先にあるもの。1ー3

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ガルダはいつも思うのだ、3匹とも三つ子
だがお互いに何か違いがないと張り合いがないよな?

1匹目の我が息子【コール】意外にしっかりものだが急ぎすぎるのが危なっかしい。


2匹目の息子【バット】とにかく好奇心が大勢で興味をもつと突っ走り出す。


3匹目の息子【デン】こいつが一番分かりやすい!のんびり屋で食いしん坊で寝坊助だ、でもいざとなれば誰よりも勇敢だ。


ガルダはあることを考えました。

1匹1匹に目印を与えようとしたのです。


『コールちょっと来てくれ?』

『どうしたの?』

ガルダは赤色の木の実を持ってくるとそれをコールの額にあて一気に押し潰したのだった。

パチン!

木の実が弾けそして額に赤色印のような物がうっすら残りました。

『コール、水で額を見てきてみろ。カッコいいぞ!』

『うん!いってくる』

『次はバットこっちに来なさい』

『なに?なにするの?』

ガルダは次に青い木の実を取り出しました。

『じっとしてなさい』

パチン!

『うわ!何今の?』

『気になるなら?水で見てきなさい?』

『うん!そうする!』

バットは凄い勢いで水場に走り出した。

『次はデン!早くおいで』

『なあに?ごはん?』

『ごはんはさっき食べたろ?そうじゃなくて、ほら、頭をこっちに向けた』

パチン!

デンの額には緑色の印がついていました。

『おおお、ミドリ!』

3匹は楽しそうにお互いの額を見せあったりぐるぐるとじゃれあっていた。

マナカはそれを少し不思議そうに見ていた

『ガルダ?なぜ、わざわざあんなことを?ガルダは1度もあの子達のことを見間違えたことないわよね?』

『あぁ、ないな?匂いも違うしすぐにわかるよ』

マナカは首をかしげた?

ガルダはその姿を楽しそうに笑ったそして小さな声でマナカに理由を話したのだ。


『俺らバトルフェンリルの額には1体1体別の魔石がついているんだ、そして俺の魔石の色は、赤、青、緑、の3色だ』

『うん?それはわかるよ』

『俺はチビ達の親になると決めたんだ!だから見た目は違っても俺の大切な息子達だと示してやりたかったんだ。』

そんな話をしていると3匹はこちらにひょいと顔を出した

『パパとおんなじだよ?』

『見てみて同じ♪』

『ママも同じ♪』

『待て!デン!』

デンは余っていた木の実をマナカの額にぺちんとあてたのだ。

パチン!

マナカの額にはガルダと同じ3色の印がクッキリと残されていた。

『ガルダ、これ?落ちるよね?』

ガルダは無言で首を横にふった。

少しマナカは落ち込んでいたがすぐにいつものマナカに戻っていた

『マナカ?大丈夫か?』

『大丈夫よ。それによく考えたら!私ママだし。みんなお揃いだよ』

なんかホッとした

『さて、チビ達!今から狩りだいくぞ!』

『みんな気をつけててね』

『はーい!いってきます』


今日もまた1日が終わるうまい飯に可愛い子供達それに優しいママ、

明日も頑張れるな。


ーーバットとガルダーー


この日は朝から大量に獲物がとれたので狩りを午前中に終えたある昼下がり

バットがそわそわと回りにバレないように森に向かっていく姿が見えた

ガルダは少し気になったので、バットにバレないように気を使いながら後をつけた。


樹海を森に向かい下っていく、普段ガルダは使わないような道ばかりだ

『バットのやつ?いつの間にこんな道を覚えたんだ?』

そして森の一本道にたどり着くと少し開けた湖の側でバットを見つけた。

ガルダは気になり声をかけようとした時近くに別の生き物の匂いを感じた。

ガルダは直ぐに身構えた!バットの方に近づいているのか?

ガルダは〔無音走り〕と〔無臭〕を使い相手に近づいた!だが同じようにバットもそれに近づいて来たのだった。


バットに見つからないように急ぎその正体を確かめるとそこにはフレイムフォックスの子供がいた、相手はまだガルダには気づいていなかったので、すぐにガルダは姿を隠した。

バットはフレイムフォックスに気づくと楽しそうに近づいていったのだ。

『やあ?待ったかい?』

「いまきたばかりだよ」

2匹は何度か会ったことがあるようだったので一安心した

『あはは、そうか、そうか』

ガルダは自分も親バカと言うものになったのだと少し自覚した。

ガルダは黙ってその場を離れました。

バットは好奇心が強いためどんな相手にも向かっていってしまうため3匹の中では一番危なっかしいと思っていたが誰よりもバットは社交的でもあったのだ。

家に帰るとマナカがコールとデンと一緒にうとうと、していたのでガルダも一緒にうとうと、昼寝をすることにした。

『ガルダ?なんか寂しそうね?なんかあった?』

『なんでもない、ただな、なんでもないんだよ』

『ガルダ?失恋?外に可愛いバトルフェンリルでもいたの?』

マナカの質問する顔は笑っていたが声はけして笑っていない

『違うよ、それに浮気なんかするか』

『あはは、冗談よ♪冗談♪さて晩御飯の支度し始めよ。』

雌と言うのは雄には分からないことで浮かれたり泣いたり喜んだりと?忙しい生き物だなと改めてガルダは感じていたが、ガルダはただの鈍感なのである。

日がくれ始め辺りが暗くなり始める

『ガルダ?バットがまだ帰らないの』

夜になれば厄介な奴等も出てくる!


だが、日が完全に落ちようと言うのに、バットは帰って来なかった。

ガルダは急ぎバットを探しにいったのだ

『マナカすまん!チビ達を頼む!』

『待ってガルダ!これを持っていって!』

マナカに渡されたのは日のみの入った皮袋だった。

『すまん!いってくる』

『〔絶対嗅覚〕〔風神の追い風〕』

〔風神の追い風〕自分の回りに風の幕を作り随時、追い風が吹くようになる

ガルダは風の幕を足を包むように発動させる事により空を駆け抜け移動速度したのだ。
匂いを頼りにバットの居る方角に向かったのだ!

『バットーーー!』

『え?ガルダ』

バットはあの湖にポツンと座っていた。

バットは怒られると思ったのか黙ったまま下を向いていた。

ガルダは皮袋から日の実を取り出すとそれをバットの前に置いた。

ガルダは何も言わずバットの横に座った

『なんで、なにもいわないの?』

『なら?何を言われたいんだ?』

『ガルダ、怒らないの?』

『バットは怒られたいのか?』

バットは首を横にふった。

『なら?教えてくれるか?なんで、帰って来ないんだい?』

バットは下を向いたまま答えた。

『あのね、ここでね、僕友達ができたの』

『そうなのか?その子はどうしたんだい?』

『でね、お母さんが迎えにきて、帰ったの…』

『そっか、なら?次からママに来てもらうか?』

バットは首を横にふった

『なあ、バット?俺達は家族なんだもう少し甘えても許されると思うぞ?』

バットは黙ったままガルダの身体に頭を擦り付けた。

もう少しだけこのままでいてやるかとガルダがそう思った夜だった。


その頃マナカ達は家で2体の帰りを心配して待っていた。

そしてガルダとバットが家に帰ると既にマナカ達は既に待ちつかれて眠っていた。

後日二人して怒られたのは言うまでもない。

だが、ガルダは貴重な時間をバットと過ごしたのも、また事実である。



ーー男の子の強さは力では決まらないーー


ルーデンヤードに雪解けの季節がやって来た。

この時期のルーデンヤードの気候はとても変わりやすいのだ。

その日は朝から雨でチビ達は大人しく家の中で過ごしていた。

『暇だね?バット…』

『暇すぎるね、何か無いかな?』

コールとバットは外に出れないのが余りに退屈で仕方なかったのだ。

フレイムフォックスは雨が大の苦手でありこの時期はとても辛いものになるらしい、

『よし!なら今から特訓だ!』

バットは大きな声でそういい放った!

コールも乗り気のようでそれに賛成した。

二人はスキルの発動をうまく行うために簡単なスキルから順に発動していった。

『先ずは〔パンプアップ〕』

〔パンプアップ〕体力筋力を上げ攻撃と防御両方を上げるスキルである。
しかしその分スピードが若干落ちる。

『次に〔脚力倍増〕』

〔脚力倍増〕自身の脚力を2倍に高めるスキルで〔パンプアップ〕などと一緒に発動することで下がったスピードなどを補う役割によく使われている。

『更に〔一撃強化〕』

〔一撃強化〕このスキルは攻撃際に相手にクリティカルを与えやすくするスキルである。

『よし!あ、デンこっち来て!』

『なあに?どしたの?』

デンがゆっくりと此方にくるとバットがまた大きな声でスキルを唱えた!

『トリプルスキル〔3×1の奇跡〕&〔皆は1人の1人は皆を〕』

〔皆は1人の1人は皆を〕3匹の能力を一定にする事ができ1匹だけに掛けられたスキルを3匹全員に受けることができるのだ。

『なら、ボクもやる!〔二人の物は俺のもの〕』

〔二人の物は俺のもの〕3匹の内1匹に二人の力を集め能力を一気に上げるスキルである。

デンに2匹の力が流れ込んだ。

『やった。ボクも強い』

デンがはしゃいでいると足を滑らせたのだ

『うわーあ!』

ズドオォォォォォォン

凄く巨大な音がしてマナカは焦り3匹のいる部屋に向かった!

『みんな大丈夫!?』

マナカは言葉を失った……

壁には巨大な大穴が開いていてその先に3匹が仲良く倒れて雨にうたれていたのだ

ハッと我にかえりすぐに3匹の元に向かった。

『だ、大丈夫!みんな!?』

3匹をすぐに暖炉の前に運び暖めながら傷がないかを調べたが掠り傷1つなかったのだ

そして雨の中狩りに出ていたガルダが異変に気づき急いで帰ってきた。

マナカはガルダに有りのままを話した。

『取りあえず、その穴を見てくるよ』

ガルダはそう言いと大穴の開いた部屋に向かった。

だがすぐに戻って来たのだ。

『お、ま、え、た、ち!……起きろー』

3匹はびくっと飛び起きた!

『ガルダ落ち着いて、ビックリした』

マナカは余りの大声にビックリした

ガルダは3匹を前に一言口を開いた。

『何か言う事があるな?』

ガルダがそう言いと3匹は各々に誤りだした。

『勝手にスキルの練習をして穴を開けてごめんなさい』

『違うのコールじゃなくてボクが開けたのごめんなさい』

『違うのデンを呼んだのは俺でだから、デンは悪くなくて、ただ、転んだら穴が開いちゃって、本当にごめん…なさい』

3匹とも泣きそうな顔で謝っていただが、ガルダは呆れていた、  

『お前たち?今一番謝らないといけないのはパパにじゃない!ママにだろ、ママはお前達に何かあったんじゃないかと心配していたんだぞ?』

マナカの服は雨に濡れた3匹をすぐに中に入れた時のままだった、3匹が目を覚ました時に側にいてやりたいと、ずぶ濡れになり冷えた服をずっと着たままだったのだ


『うわーん』

『本当にごめんなさい……』

『心配かけてごめんなさい』

チビ達は1匹が泣き出すとみんなして泣き出した。

そしてマナカにだ抱き付いて泣いていた

『こらこら、濡れちゃうよ!風邪引いちゃうよ!』

『うわーんうわーん』

マナカの声は泣き声にかき消されてしまい3匹には届いてないらしい。

ガルダは大穴を見ながら何となく思った事は?

ちゃんと謝るのは勇気がいるだろうし、それに皆が誰かのせいにするんじゃなく、お互いを庇いあっていた。

やってしまった事は仕方ないがそれを後悔するという大切な事をちゃんと理解していた事が少し誇らしかた

『さてと?こりゃ引っ越しかな?』

ガルダは今日はいい夢を見れないなと思いながら穴をまた見つめていた。

力だけの成長は危険でしかないが、心も少しは成長しているのをガルダは感じ何とも言えないなと、月を眺めるのであった。
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