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6章クーデルトルン奪還・その先にある景色

戦争の終わり。

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「全てに片を付けよう。やるだけだ」

コールは有りったけの爆薬と試作品を全てに取り出すとクスコ達に投げたのだ。

「お、おい!爆発したらどうする気だ!」
「全員が戦わなければ!もっと沢山の人が死ぬんだよね」

コールは蟲人目掛けバズーカを撃ち込むとザルバトランに向け走り出したのだ。

其れを合図に全員がザルバトランに向け移動した。

その頃ザルバトランの国境では、壮絶な防衛戦が繰り広げられていた。

押し寄せる蟲人に対して限られた兵力で必死に扉を死守していた。

其所に凄まじい爆音が鳴り響いたのだ。

国境部隊は全滅を覚悟した。
だが其れは思っていた物とは違ったのだ。

「俺達はこの場を死守する!早く国民の避難を!」

クスコ達は蟲人の追手から逃げ延び国境まで舞い戻ったのだ!

国境部隊は隊長にラッソを迎え入れていたことが幸いしその場を凌ぎきったのだ。

そしてクスコ達の元にラッソが数人の部下を連れて加勢するかたちとなったのだ。

クスコ隊の生存はコールの作戦に依るものであった。

コールは逃げながら爆薬を撒き散らしたのだ。其れを〔リトルフレイム〕を使い空中で起爆させたのだ。

それにより蟲人は走りながらに数を減らしていったのだ。

デンのスキルを使い沼を作ったのも撤退成功に大きく貢献した。

「さあ!此処からだ!ザルバトランまで好きにさせない」

デスポイズンは今までこれ程のダメージを受けたことは無かった。

何でこうなったのか、蟲人達は理解できなかった。

そして目の前に倒れた仲間達を見て、蟲人達は始めて恐怖を感じた。

そしてその銃口は今まさに自分に向けられていた。

「お願い……死にたくない……」

「お前達が食い潰してきた者達に宜しくな」

1発の銃声が森に鳴り響いた。
最後の蟲人の頭を撃ち抜いた。

ガルダ達は急ぎセルドレアの待つクーデルトルン城を目指したのだ。

ガルダを追いグレモンドもクーデルトルンへと到着した。

前線では、ミネルビー達が敵へ威力を減らしつつ進軍を続けていた。

だが其れを陸軍元帥ジュラン・ノームが立ちはだかった。

アバルとポールが足止めをしていたが既に二人は限界だった。

「おい、アバル!まだ行けるか」

「なめるな、私はガルダ殿の戦士になったのだから」

だがジャランは、そんな二人をまるで相手にしてはいなかった。

「貴様らの作戦は失敗する!俺が止める」

「此れは調度よいのである!むしゃくしゃしていたのだ!久々に竜狩りである!」

ジャラン・ノーム彼は、獣人のままをあえて選んだ。
其れは彼がコモドドラゴンの獣人だったからに他ならない。

「嬉しいね!俺をちゃんと竜と呼んでくれるなんてな」

グレモンドとジャランが対峙した。

ガルダ達は急ぎセルドレアを探したが城の中にセルドレアの姿は無かったのだ。

「此処までだな!」

ジャランがそう口にした。

「何の事である!」

ジャランは笑った。

その途端に黒い靄がジャランの身体を包み込んだのだ。

「次に逢うときは決着を付けよう!ダハハハ」

そのまま姿を消したのだ。

其れからはあっという間だった。

残存するクーデルトルン軍は全員が投降した。
軍上層はディボラアに乗りバルドリアに逃亡した。

最後に残ったのは、ボロボロのクーデルトルンの町と数多くの死者だけだった。

最後に虚しさと血生臭い戦場の残り香であった。

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