ガルダ戦記、欲しい世界は俺が作る！

３部 望む世界 １章その先にある景色

キマイラ、復活の獣

「いくぞーー！」

ランゼが叫んだ瞬間、蟲人達がランゼの方を向き一斉に攻撃を開始する。
ランゼはそれを確実に交わしていく。

ランゼは梟フクロウの人獣であり、夜間の戦闘にたけていた。

次々に蟲人達を始末していく、その太刀筋はまさに武人の様であった。

しかし、蟲人達が次々に集まり出すと、ランゼは1度攻撃の手を休め、大食いの箱グラットンボックスから、一本の槍を取り出した。

そして、頭に着けていたサングラスをつけると、深く呼吸をして息を止めた。

次の瞬間、槍が炎に包まれ、ランゼは其のまま走り出す。

その槍は蟲人を一振りで５人、２振りで１０人と次々に灰に変えていく。

余りに圧倒的な転換にガルダ達は驚かされた。

しかし、蟲人達も距離を取り始めたのだ。

ランゼは、警戒しながらもその猛攻を止める事は無く、更に深く踏み込んだ。

「ぬわお！」
そんなランゼの足元が突如崩れ、ランゼが体制を崩した瞬間、蟲人達が一斉に攻撃を開始する。

「見物は此処までだ、俺達もいくぞ！」
ガルダの言葉に全員が武器を握り、一斉に走り出す。

「ウオリャアアア！」
ガルダが高く飛び上がり、ランゼの足元に刀を突き立てた。

「ギャアアア」
穴の下からランゼを引きづり込んでいた蟲人を仕留めると直ぐにガルダはランゼに手を貸した。

「立てるか？ランゼ」
「大丈夫でさぁ、旦那すんません、へまやらかしちゅいやしたね」
「確り見せてもらった。安心しろランゼ」

そこからは蟲人とガルダ達の乱戦になり、レジスタンスも次々に合流していく。

いつしかガルダ達は気持ちを１つにして背中を預けていた。

「あはは、旦那？やっぱりヤバイつよいですねぇ」
「俺よりグレモンドや、サンロの方が強いぞ、まるで別格だからな」

ガルダ達は蟲人達の包囲網をその力で捩じ伏せたのだ。

同時にグレモンド達も合流する。
被害を軽く確認し、直ぐにバルドリア城を目指す。

「よう、グレモンド？久々だな！逢いたかったぜ」
そう言うとガルダ達の前にジュランが姿を現したのだ。

「お主か、確かに会いたかったのである！この前の決着をつけるのである」

ジュランが現れた事実はバルドリアがセルドレアの手に落ちたと言う証明であった。

そして、ジュランの後ろから、ガルダ達の眼を疑いたくなるような者達の姿が現われたのだ。

ウルフィードと、アポストロであった。

「何でソイツ等が！確かにさっき倒した筈なのに」

ガルダの言葉にウルフィードが笑っていた。

「ガルダ？アンタ忘れてるよ！私達はキマイラ、合成体なのさ、何度でも作り出される！私が死んでも私達は死なないんだよ」

そう言うと後ろから次々にウルフィードとアポストロのコピーが姿を現す。

ガルダは覚悟を決めるが、アメリやコールの様な非戦闘員の事を気にかけていた。

「サンロ、すまないが怪我人や非戦闘員を直ぐに、この場から連れ出してくれ！守り切れるか五分五分だ」

サンロは頷き直ぐに移動を開始した。

ガルダはそれを確認すると、全身に力を込めるのだった。