のぞまぬ転生 暴国のパンドラ

夏カボチャ

文字の大きさ
52 / 118

ケストア王国・・・2

しおりを挟む
 イオルを交えた会話が始まり、私は求めていたダンジョンについての新たな情報を手に入れる。

 内心は、ベラムがダンジョンの情報を持っていたなら、虫を使って、無理矢理にでも、奪うべきだったと後悔しているわ、本当に思い通りにならない時の苛立ちは嫌になるわ。

 ここに来て、私はベラムの死に対しての怒りが生まれた。
 貴重な情報がどっかの馬鹿により、失われたのだから。

「ベラムは、何故、死んだのですか、直接、ダンジョンについてお聞きしたかったのに」

 私の言葉に、イオルが悩まずに返答する。

「ベラムをやったのは、多分だが、チャルドの野郎だ! ギルドマスターになってから、好き勝手してたからな」

「何故ですか、殺される理由には成らないじゃないですか?」

 イオルが口を閉ざすとデュバルが、キャロを見つめる。
 キャロは小さく頷くと口を開く。

「私を捕まえたのが、チャルドの手下だったんです。デュバル様にギルド崩壊事件の後に助けられましたが、チャルドは今も生きています」

 チャルドがまだ生きてる事実を聞き、私の中で潰したいという感情が生まれる。

「チャルドって方は今は、何処に?」

「分かりませんが、最後に聞いたのは、"地下水路に向かうぞ"と言う言葉でした」

 キャロはそう言うと頭を下げる。

 地下か、ガレルの町の地下に何かあるのか、調べさせる事に決める。

 念話を使い、ジャバとクイーンに地下の調査を命じる。
 当然だが、敵となるケストア王国騎士団やチャルドの手下に出会う事も考えられる。
 私はシンプルな命令を二人に与える。

『地下水路で出会った人間は、全員喰らい尽くしなさい。骨も残さないでいいわ、チャルドってやつがいたら、殺る前に報告して、頼んだわよ』

『了解です』
『御意』

 二人の返事を聞き、念話を終える。

 しかし、キャロが黙った後に、デュバルが喋り出す。

「つまり、チャルドのやつは、地下水路に存在するダンジョン【屍人の楽園】にわざわざ向かったと、何故そんな事を?」

 あら、私の知らない情報じゃないの、まあ、クイーンとジャバが向かってるから、どちらにしても、問題はないわね。

「なら、オレと【狼の牙】仲間で、地下水路を調べるぜ。ケストア王国騎士団も、直ぐに地下水路には入らない筈だからな」

「何故、直ぐに調べないと思われるので?」

 丁寧な口調で私はイオルに質問をする。

「ケストア王国騎士団が、もしチャルドの行き先を知ってても、ガレルの地下水路は広大なんだ。町一つ分全てが地下水路の真上に出来てるからな、地図がないと、出口が分からずに、無駄死になんてのも、最悪有り得るからだ」

 イオルもダンジョンについて知ってるなんて、意外に知られてる情報なのかしら?

「皆さん、ダンジョンについて知られてるんですね? 私は知らなかったので、勉強不足でしたね」

「いやいや、オレは、ベラムと長い付き合いだからな、ガキの頃から、ベラムに色んな話を聞かされてたしな。チャルドの馬鹿も、前はもう少しマシだったんだかな」

 古い友人か……私には理解できないわね、とりあえず、イオル達も地下水路に向かうとなると、少し厄介ね……クイーン達とぶつかる可能性もあるし、あぁ面倒臭いわ。

 それでも、イオルは地下に向かう事を辞めないだろう。

 最悪は、殺し合い、いや、一方通行の殺戮になるだろうと思う。

 ある程度の話が終わり、私はデュバル邸を後にする。

 イオル達が見送りをする為、玄関に移動してくると、私は軽く笑みを浮かべてから口を開く。

「ありがとう御座いました。地下水路にダンジョンがあるなら、私も、仲間と地下に向かいます。地下でお会いしたらよろしくお願いしますね」

「な、地下は危険なんだぞ! アナタみたいな人には無理だ!」

 イオルが慌ててそう口にするが、私は再度笑みを浮かべる。

「私の仲間は強いので安心してください。お互いに生き残るように頑張りましょうね。でわ、失礼致します」

 私は笑みを崩さぬまま、その場を後にする。

 地下水路か、ケストア王国の兵隊の動きも気になるなぁ。

 私は念話を行うとクイーンとジャバに私もそちらに向かうと伝える。

 クイーンが、私が向かうと伝えた瞬間、少し慌てる素振りがあり、可愛らしいと感じてしまう。

 私はデュバル邸を後にした足で、そのまま地下水路へと向かう。
 複数の入口が存在するようだが、私はスラムの外れに存在する小さな水路の出口から内部を向かって歩いて移動する。
 正式には、"影浮遊"となる。わざわざ、"影浮遊"を使う理由は、私の正体を今はあまり知られたくないからだ。

 私の背後にはキングとラクネ、更に後ろ側にはホーネットとガストが続く。

 私を含む五人でスラムの水路から地下に向けて移動し、地下水路へと向かう。
 道に関しては、ホーネットの力であっさりと把握出来たので、"地図作成マッピング"と、照らし合わせて何処が通れるかなどを知ることが出来た。

 地下水路の最深部には、確かにダンジョンらしき物が存在しているのが"地図作成マッピング"でも映し出されている。

 私の探していたダンジョンがこんな近くにあるなんて、本当に最高だわ。

 少し邪魔な存在が、うろちょろしてるけど……必要なら駆除も考えないとね。

 最近、なんだか……自分が自分じゃないみたいな感覚が酷くなるわね……疲れてるのかしら?



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

最強のチート『不死』は理想とはかけ離れていました ~ 人と関わりたくないので史上最強の家族と引きこもりを目指したいと思います

涅夢 - くろむ
ファンタジー
何をやってもうまくいかなかった前世。人間不信になってしまった超ネガティブ中年。そんなおっさんが転生時に見つけてしまった「不死」という能力。これで悠々自適なスローライフが確実なものに……。だがしかし、最強のチート能力であるはずの「不死」は理想とはかけ離れていた。 『え!?なんでワカメ!?』 うっかり人外に身を落としてしまった主人公。謎の海藻から始まる異世界生活。目的からかけ離れた波乱万丈の毎日が始まる……。 いくら強くなっても不安で仕方ない。完璧なスローライフには憂いがあってはならないのだ!「創造魔法」や「寄生」を駆使して生き残れ! なるべく人と関わりたくない主人公が目指すは「史上最強の引きこもり」 と、その道連れに史上最強になっていく家族の心温まるほっこり生活もお送りします。 いや、そっちがメインのはず…… (小説家になろうでも同時掲載中です)

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

処理中です...