のぞまぬ転生 暴国のパンドラ

夏カボチャ

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ベルクの少女・・・3

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 そこまでの話を聞き、私は一度、レイコに質問した。

「レイコ、ベルク・ルナ・カルメもしくは、ベルク・ルナの名を有する者が居たか分かるかしら?」

「パンドラ様より頂きました"鑑定""記憶者改"にて、支配後からは全ての未鑑定者を鑑定しておりますが、おりません」

「残念ながら、ミーナの母上も父上も、国境には、辿り着いて居ないみたいね」

 その言葉に驚く表情を浮かべるミーナとダン、それと同時にダンが質問を口にする。

「此処は国境なのか? ワシらが囚われていた鉱山から、どうやってそんな距離を」
 理解出来ない事実にダンは早口になって捲し立てる。

 するとクイーンが、鋭い視線をダンに向ける。
 殺気が僅かに混じるような視線にダンが言葉を飲み込む。

「はぁ、クイーン? 話の最中は良くあることよ、落ち着いて」
「はいです、でも、いえ、すみませんです」

 クイーンが落ち着いたのを確認して私は質問を口にする。

「ダン、アナタの質問は話が終わってから教えるわ、それより話の続きをお願いするわ」

 ダンは、静かに頷き、話を再開した。

 ルナ家の屋敷を後にした二人は、ケストア王国との国境を目指し馬を走らせる。
 馬で五日程の位置にある事から、ダンはミーナの疲れが限界に達しないように気を配りながら、移動していく。

 ミーナからすれば、初めての野宿となり、ダンからすれば、休まる事のない緊張の日々の始まりであった。

 一日が終わり、二日目が終わり、三日の夜がやって来る。
 この数日は、村や町などには近寄らず、屋敷から持参した食糧のみで過ごす。

 四日目、五日目は嫌でも国境に向かう為のルートに存在する街を抜けねばならない。
 その街は【リーデル】と言い、国境まで伸びる巨大な国境都市となっている。
 兵士の宿舎も多く、ケストア王国との国境である事からも、油断出来ない場所となっていた。

 そんな矢先に、サザル公国の大空船団が国境を超えて、ケストア王国(現エルピス)に向かって移動して行ったのだ。

「これは、もはや、ケストア王国は安全では無くなったか。お嬢様、身を隠しますぞ」
「え、でも、お母様、お父様が」
「今、ケストアに向かえば、本当に二度と奥様、旦那様と会えなくなってしまいます」

 ダンの言葉に、両目を一度瞑ると、ミーナは頷き、二人はリーデルの街から移動を決める。
 街を出て、広い一本道に差し掛かる。
 辺りは麦が刈られたばかりの麦畑で、見渡しがよく、ダンは周囲に警戒しながらも、馬を足早に進めて行く。
 しかし、突如として、馬が大きく声を上げて、その場に停止する。

 馬に振り落とされた二人、ダンは即座にミーナの傍に駆け寄る。

「大丈夫ですか、お嬢様! お怪我はありませんか!」

「私は大丈夫。私のユニークスキルが有れば、即死以外は何とかなりますから」と、笑みを作るミーナ。

 そんな二人に最悪の状況が襲い掛かる。

 二人の前に二人の男が姿を現す。

 一人は見るからに柄が悪く苛立っている細身の若い男。
 もう一人は、小太りでローブ姿の小柄な男だった。

「ケッ、やっと見つけたぜ」と、細身の見るからに柄の悪い男が声を出す。

 その横から、背の小さい小太りの男が「まあまあ」と声をかけている。

 男達の姿を確認するとダンは身構えた。

「貴様らは何者か!」
 拳を構えるダン。

「はぁ、ダリィ~、でも、ある意味ラッキーだわ、いや本当に良かったわ」
 柄の悪い男はそう口にしながら、片手を軽くあげる。

 全ての指にリングが嵌められており、その内の三つの指輪が輝き出す。
「本当に、オレ達が見つけてラッキー、他の奴らに見つかったら、最悪だったからな!」

 光ったリングから次々にコボルトが召喚されていく。
「驚いただろ? 俺さ、モンスターテイマーなんだわ、面倒だから大人しく捕まれよ」

 ダンがミーナに視線を一瞬向ける。
「お嬢様、大丈夫です。このダンが何とか致しますので」

 その発言を聞いた男達は笑い出す。
「あははっマジかよ。なら、やって貰おうじゃないか」
 更に指輪が輝くとコボルトが更に八体召喚され、その数が十六体になる。
 更に一体のコボルトチャンピオンが姿を現した。

「な、なんと」
「此奴らを何とかするんだよな? あぁ!」

 ダンは必死にコボルトを蹴散らすも、コボルトチャンピオンだけは、どんな攻撃も通用しなかった。

 そして、ミーナにコボルト達が標的を変えた瞬間、ダンの集中力が一瞬途切れ、僅かな隙が生まれる。

「やれ! コボルトチャンピオンッ!」

 ダンはその一瞬の隙に捕まり、滅多打ちにされる。
 その後、二人を捕らえた男達は、本来の目的であったベルク王国に引き渡す用意を開始する。

 捕らえられた二人はその場で、地面に座らされると小太りの男が徐ろに一枚の書簡を取り出し広げ、読みあげる。
 そこには、王家のみが使う事を許された魔力を含む印章いんしょうが押されており、ダンはその事実に絶望する。

「これはベルク王国が正式に我々に逃亡者、並びに王妃殿下、並びに王子殿下を殺害した罪人を捕らえる為に与えた権利である、つまり、貴様らは従うしかないのだよ」

 その後、ダンとミーナは、王家の印章に刻まれた魔力により、逆らう事は出来ず、男達はそれを楽しそうに笑う。

  しかし、すぐに状況が変化する。
 小太りの男がダンとミーナのスキルを鑑定し始めたのだ。

「おや、こいつは面白いじゃないか」
「あぁ? 何が面白いんだよ」
「この男のスキルは"砕く者クラッシャー"と言う鎧すら砕く力を与える物でな、付与もできるのよ」
「だから、なんなんだよ? そんなもんコボルトチャンピオンには通じなかっただろが?」
「まあな、女の方はユニークスキルで"癒す者オートヒーラー"、こいつは疲労回復と、体力回復、傷の回復ができるらしい。高く売れるぞ、ガハハ」
「で、直ぐに売っぱらうのか?」

 軽く悩む小太りの男
「いや、今すぐベルクから出すには、リスクが大きいからな、そこで此奴らには、穴掘りを手伝わせる」
「あぁ? 穴掘りって」
「この男のスキルと女のスキルがあれば、ミスリル鉱山の岩盤も簡単に掘れるからな」

 小太りの男は、ダンのスキルをコボルトに使わせ、更にコボルト達をミーナのスキルで無限に回復させる事を思いついたのだ。

 そして、幾つかの鉱山を二人は連れ回され、食事は三日に一度のみとなる。
 監視はコボルト達が行い、ダンもミーナを守りながら、逃げる事が困難な状況を理解して指示に従うようになっていた。

 そんな時、キングとセイナが鉱山のコボルトに攻撃を仕掛け、結果的に今に至ったのであった。

 現実に話は戻る。

「さて、アナタ達はどうしたいのかしら?」と、私は質問する。
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