黒坊主は今日も、客をもてなす。

夏カボチャ

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いらっしゃいませ、

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私はこの飯処【庵慈あんじ】を切り盛りしております。

皆は私を黒坊主くろぼうず等と呼んでおります。

カラン♪カラン♪

おやおや?お客様のようですので失礼いたします、よろしければごゆるりとお過ごしくださいませ。

店に入ってきたのは30代くらいの酔っ払ったサラリーマンだった。

『お客様、いらっしゃいませ、ようこそ庵慈へ』

『なんだ?ここ?飲み屋じゃないのか?紛らわしい、けっ!』

『お客様、当店は他では味わえない物をお出ししております、ですが?お帰りになられるのでしたら彼方から外へどうぞ』

そう言うと亭主は扉を開けようとした。

『まぁ、いいや!なら先ずは酒とツマミ何でもいいから出してくれ!』

『はい、只今、お酒は冷やにしますか?それとも熱燗にいたしますか?』

そんな普通の会話が行われるなかで男は亭主に愚痴をいいだした。

『アイツが居なければ!俺は…ちくしょう、アイツさえ居なければ、アイツさえ』

『お客様、ツマミと熱燗になります』

男はツマミを一口食べると旨い旨いと食べまくった。
『なんて旨いツマミなんだ?これはなんだい?』
『此方は企業秘密にございます』
『ケチケチすんなよ!まぁいいや、これおかわりな!』
男は出されるツマミをバクバク食べ始めた

鍋いっぱいの煮込み料理を男はペロリと食べきったのだ。

『おやおや?無くなってしまいましたね?』

そう亭主が言うと男は怒り狂った!

『俺は客だぞ!客が食べたいって言ってんだからつくれよ!』
『お客様はすぐに短気をおこされるようですね?』
『テメェそれが客に対する口調か!ぶっ殺すぞ!あぁ?』

亭主は笑った。

『貴方はそうやって上司も殴り殺したんでしたね?気分はどうでしたか?』
『な、なんの話だよ!くそ、もう二度と来ねえよ!こんな店金はここに置いてくからなちくしょう!』
男は1万円をカウンターに置き帰ろうとした

『足りません?全然足りませんね?』
男は怒り戻ってきた!
『一万で足りないならいくらだ!言ってみやがれ!』

『お客様のお代は人の人生1回分になります』
『はぁ?ふざけんな!』
そう言うと亭主は新しい鍋の蓋をあけたそこには人間がバラバラにされ煮込まれていた。

『うげぇ…うえ!』

『貴方が殺した上司の弥俣香葉胡みたまかよこさんです』

『テメェ、知っててやりやがったな!』
『貴方には彼女の人生分の代金をお支払い願います』

そう言うと黒坊主は手に鈴を持ちゆっくりならした、

ちりりりりん

男の足元がゆっくりと沼のようになっていく!

『やめろ!くそ、頼む助けてくる!頼む、何でもやるから頼む』
『いえ?お代は丁度頂きましたので』

ちりりりりん

鈴の音がなりやみ男は床の底に消えていった。

黒坊主、彼は人の怨みを喰らう、そして怨まれ物も喰らう、

『私は悪食あくじきにございます』


次回のお越しがあればまたどうぞ、御来店を心より御待ちしております。
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