黒坊主は今日も、客をもてなす。

夏カボチャ

文字の大きさ
5 / 10

お弁当はお好きですか?

しおりを挟む
「本日もよく要らしていただかした」

本日のメニューはお客様次第で何でも作れる範囲でお作りいたします。

そう庵慈の前に書かれた紙が貼ってあった

「冥案さん?」

「はい?」

「見てみて」

ヨミが紙を剥がして冥案の元にもっていく。

「おやおや?イタズラですかね?」

「イタズラだね?」

「とりあえず?捨てますか?」

「はぁい」

そして夜になり

カランカラン 

『すみません?外の貼り紙を見たのですが?お願いしたら?何でも作れるのかしら?』

そう言って入ってきたのは70過ぎのお婆さんだった。

「はて?貼り紙ですか?」

「冥案さんまた貼ってあった!」

「おやおや、またですか?」

『あ、あの?』

「あの貼り紙イタズラなのお婆さん」

『そうですか、それは残念です』

そう言うとお婆さんは帰ろうとしたが

「冥案さん?」

ヨミが冥案をじっと見つめる。

「そうですね、お婆さん?話だけでも聞きましょう、これも何かのえんですし?」

お婆さんの話では高校生の孫がいてその孫に毎日お弁当を作るのだが、

『もっと旨いのがくいたい』とか『煮物とかマジいらない』などと言われてしまい

それでも孫に喜んで貰いたいと思い何が食べたいかと聞いた所色々言われたが分からずそんな所に貼り紙を見つけたのだ言う。

『お肉に卵が入ったハンバーグとかエビのピラフとか言われて本でみて作ったんだけど、美味しくなかったのか、余り食べてなくてね』

「ならば?作りましょう、明日また要らしていただけますか?」

『はい、ではまた明日越させていただきます』

そして次の日

先ずは卵入りのハンバーグですが、これは多分【ポーチドエッグ】

茹で玉子の挽き肉でツツミ焼いた料理ですね。
茹で玉子に軽く切れ目を入れてあげればレンジでも温められますし。
挽き肉に蜂蜜と卵黄を混ぜてあげれば味は引き立ちます。
ソースは余った肉汁と醤油、砂糖、みりんで大丈夫です。
一煮立ちさせたらとろみをつけてあげて出来上がったポーチドエッグに絡ませます。それをアルミホイルに包んであげれば保温もできますし、ソースが余りくっつかないでしょう。
もし出来るならそれを冷蔵庫で一晩寝かせても美味しく食べれます。

次にピラフですか?これはご飯を炊く際に予めチキンストックを入れてたくと美味しくなります。
水は少し少なめの方が良いでしょう、出来るならベトナム米などがおすすめです。
日本の米は粒がデカイのに比べてベトナム米はその半分なので炒めるのならそちらがいいでしょう。

チキンストックは簡単にできますし冷凍すれば一ヶ月は持ちますからね。
そしてエビは冷凍ではなく生の物を手早く綿抜きをします。

綿抜きの仕方はエビの背中からお尻にかけてある黒い糸のような物に爪楊枝などでしたら上に抜けば簡単にとれます。

最後は炒めるのですが火力は強めでバターを引き、千切りにした玉ねぎとニンジンにニンニクそれから鶏肉の細切れを手早く炒め塩コショウでアクセントをつけます。
そしてエビを加えて手早く炒めながらご飯を入れるあとは米がくっつかないように炒める!ご飯を入れてからはスピードが勝負になりますので!

「此方をお持ち帰りくださいませ」

『あの?お代はいかほどで?』

「此方の気まぐれですのでお代は結構でございます、それより、喜んで貰えるように貴女も練習してくださいね」

『ありがとう、本当にありがとうございます』


次の日お婆さんは孫のお弁当にそれを持たせた。

『またお前?弁当かよ?』
『それより売店いこうぜ?』
 
『いや、今日はやめとくよ』

『こいよ?俺らの財布なんだからさ!』

お婆さんの孫は苛められていた、お婆さんの家は早くに娘夫婦を事故で亡くしお婆さんと孫の二人暮らしだ。
年金と僅かな貯えで生活しているのを知ったクラスメイトに苛めのターゲットにされていたのだ。

「おやおや、味付けの反応を見に来たのですが?これは少々スパイスがききすぎてますね?」

お婆さんが悲しそうな顔で庵慈にやって来た。

『すみません、もうお弁当は要らないと言われてしまいました。』

『やっぱりお弁当なんて古臭いのですかね、』

「そんな事はございません!お弁当箱は見ましたか?」

『いえ、まだ、もう要らないと言われたのがショックで』

「そうでしたか、それはお辛いですな」

そんな話をしていると

カランカラン!

『バアちゃん!はぁはぁ、こんなとこにいたのかよ』

『あら?どうしたの?』

『バアちゃんいきなり飛び出すから探してたんだよ!此処に最近来てるって隣のおばさんに聞いたから迎えにきたんだよ!』

「とりあえず?落ち着いてください」

「せっかくなので此方をお召し上がりください」

そう言うと冥案はご飯と漬物に味噌汁そして魚の煮付けを二人に出した。

『あ、あの?』

「とりあえず?食べてみてください」

二人は言われるままに食べた。

『懐かし味』

『うまい!なんでこんなに普通なのに?』

「普通が一番難しいのです、普通を普通に作るとこんなにも旨くなるのです」

「あなたの?普通はどうですか?学生さん?」

そう言われ箸がとまる。

「今を大切にしてあげてください」

そんな話をしながら二人は全て完食した。

『バアちゃん、やっぱり弁当明日もよろしく頼むよ、俺バアちゃんの普通の弁当結構好きだからさ』

『うん、明日も頑張って作るからね』

そう言って二人は冥案に頭を下げて帰っていった。

「冥案さん?今日は鈴なしだね?」

「いえいえ?ちゃんと鳴らしますよ?」

ちりりりりん

「今日から毎晩苛めを楽しんだ方々は夢で苦しむのです、ゆっくりとね」

ちりりりりん


「苛める側と苛められる側とどちらも何かが足りないのかもしれません、自分で止める力と相手を思う気持ちどちらも必要なものですよね?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

義務ですもの。

あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

処理中です...