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10 これは嫉妬④
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「ダリア嬢、聞こえるかい? ダリア嬢」
耳の奥深いところに届くような低い声が意識を揺り動かした。ゆっくり瞼を持ち上げると、顔を覗きこむフェンネルの姿があった。
ダリアは怪我をした左肩を上にして、ベッドに寝かされていた。
「殿下……?」
「ああ、動かないで」
フェンネルの背のむこうに見慣れた自室の窓が見える。
こんな闇の深い時刻に、王城から公爵邸に駆けつけてくれたようだ。
「ごめんなさい……」
ダリアの謝罪にフェンネルは目を丸くする。そして困ったように笑った。
「言い訳と謝罪は元気になってから聞くよ。今から君の怪我を治すために、肩の止血布を外すよ。直接傷口に触れないと癒せないから少し我慢してほしい」
「宜しくお願いします……」
ダリアは朦朧としながら視線を動かすと、フェンネルの手がダリアの左肩に伸びる。
「殿下、手が汚れてしまいます。布を外すのは侍女に」
「人払いをしたから、この部屋はわたしとダリア嬢しかいないよ。だから大丈夫」
何が大丈夫なのだろう?
フェンネルは巻かれた布を器用に外し、形のいい眉を顰める。
「…………醜いものをお見せしてごめんなさい」
「そうじゃない。怪我が酷すぎて驚いているだけだ」
フェンネルの珍しく苛立ったような声音に、ダリアは戸惑った。そして彼は怪我に直接、手の平を乗せた。
「くっ!」
思わずダリアは固く瞼を閉じて枕に顔を押し付けた。触れられると痛みが増す。
フェンネルは空いた片手で、ダリアの頬を撫でた。
「知っていると思うけど、怪我を癒やす際に、痛みを紛らわすために心地よさを感じる。傷が深いから少しつらいかもしれない」
「しょ、承知しています!」
「じゃあ……始めるよ」
フェンネルの苦笑を横目で確認し、ダリアは再び瞼を閉じた。
昼間、同じ癒やしの力でバレリアンを弄んだ。
自分が同じ体験をすることになるとは思いもよらなかった。
むしろダリアに注がれる癒やしの力は、怪我が酷い分、チョーカーの比ではないはずだ。
ダリアは枕に顔を埋め、唇を固く噛みしめる。
怪我に触れた手から温もりが伝わってきた。
ちらりと左肩を見やると、フェンネルの手から淡く白い光が放たれている。
神々しさを感じる光だ。
鋭く突き刺さるような痛みが、じわじわと薄れてきた。そして体中を覆い始める心地よさ。
これが癒やしの能力。
能力持ちのダリアだからこそ分かる異能。この人は自分と同じだ。
フェンネルの横顔を見つめると、彼はダリアの視線に気づきこちらを見た。
「ダリア嬢、大丈夫かい? 傷が深いから、もう少し多く癒やしの力を使いたいんだけど……その、大丈夫かな?」
フェンネルの空色の瞳が躊躇いがちに泳いでいる。その姿がなんだかおもしろい。
「はい、大丈夫です」
確かに体がそわそわする熱を感じるが、耐えられないほどではない。ダリアはそう思い頷いた。
「じゃあ、もう少し多くするよ」
フェンネルは自身の手の平に視線を向けた。白い光が僅かに強くなった。
眩しさが増した、と思った瞬間。
「ぁん!」
頭を穿たれたような刺激に驚き、大きな声が出た。
自分でも驚いたが、フェンネルは目を剥いてダリアを見ている。
体が熱い。
痺れるような快感が背中を伝わり、下腹部が落ち着かない。無意識に太腿を擦り合わせ、もぞもぞと体を動かすと、怪我に触れていたフェンネルの手が僅かに離れた。
彼の手はすぐに傷口へ戻る。
「ダリア嬢、動かないで。つらいと思うが……」
フェンネルはベッドの脇に置かれた椅子に腰掛けていたが、手を肩から離さず、ベッドに直接座った。
ダリアは無意識に体を丸めてしまったので、彼は身を寄せることにしたらしい。
「ご、ごめんなさい……変な声がでてしまって……あ、んぅ」
言葉尻が消えて、ごまかすようにダリアは枕に顔を埋める。枕から荒い息遣いが漏れる。
「大丈夫だよ、ダリア嬢。想像はしていたから。それだけ君の感じている痛みが強い証拠だよ」
フェンネルはダリアの栗色の髪を優しく撫でた。
そろそろと視線を向けると、頬を染めたフェンネルが困ったように笑んでいる。
「ただ、少し驚いた。君の声が、その、あまりにも艶かしくて……ここにいるのが、わたしでよかった」
「こんな、声、婚約者様にしか聞かせられません……!」
ダリアはそう言いながらまた小さく痙攣した。
下腹部に集まる熱を感じながら、昼間バレリアンに対して酷いことをしてしまったと深く反省する。
「あっ、あ……あん、あぁ……やぁん」
フェンネルは声を必死に堪えるダリアを見て赤面してしまう。
「本当に、わたし以外には見せられない姿だね……こんな姿、他の男には見せたくない」
フェンネルは短く嘆息し、手の甲で口元を覆った。
動揺が顔に出ていたのだ。
誤魔化すようにダリアから視線を外す。
「……はぁ、あ……んん、で、殿下は経験豊富でしょうが、わたくしは初めてを……んっ、結婚相手に捧げるつもりなので、殿下以外が見ることはありません」
「わ、わたしは経験豊富などでは!」
「やぁ、あっ、あっ……はぁん、で、殿下ぁ!」
「え?」
自分でも想像以上に甘い吐息と声が出た。動揺するフェンネルがダリアを見つめる。
「ま……まだ、治りませんか! もう、つらく……て」
「あ、ああ! えっと」
フェンネルは慌てた様子で光を巻き散らかす手の平に意識を戻した。
「あと少しだ。筋が切れているから、時間がかかっているんだ。つらいなら、強めに力を注いで治そうか? 今なら一度強めに力を注げば治ると思う……いや、でもそうすると今より」
フェンネルは視線を彷徨わせた。言葉が続けられなくなり、耳まで赤くしてしまう。
「一度で治してください」
「い、いや、しかし」
「これ以上恥ずかしい姿を見せるくらいなら、短い時間の恥を選びます」
「どちらも恥なんだね」
フェンネルは苦笑したが、しばし思案して首肯した。
動揺はしているが、彼は気の切り替えが上手いのかもしれない。
「じゃあ。一度で」
左肩に触れた手から強く眩しい光が爆ぜた。
光はゆるゆると収まり始めるが、フェンネルの手はまだ肩から離れない。
「ああぁぁあっ!」
「ダリア嬢! 声が大きい……っ」
ダリアの腰が跳ねた。
甲高い嬌声が口から溢れ、フェンネルは慌てて顔を寄せ、そのまま唇を塞いだ。
フェンネルの唇がダリアの嬌声を漏らす唇を必死に塞ぎ、ずっと熱に浮かされていたダリアを刺激していく。
「ん、んふぅ、くちゅ、はぁ……」
貪るような口づけの音が室内に響く。
部屋に灯っていた癒やしの光はとっくに消え失せていた。
ダリアは両腕をフェンネルの首に絡める。肩の痛みはもう感じない。
「は……あん……んぅ」
息を吸うタイミングが分からず、小さな喘ぎが漏れる。
でも唇を離したくない。絡まる舌を必死に求めてしまう。
フェンネルは荒い息遣いのまま僅かに唇を離した。
「……はぁ……ダリア嬢、わたしは経験豊富ではないよ……だからこんなにも余裕がない」
切なげに言葉にして、また唇が塞がれた。
口内を蹂躙し、フェンネルは甘く低い声で囁く。
「名を呼んで……わたしの名を」
「ふぁ……ぁ、フェンネル、フェンネル……もっと」
「……ん、煽らないで、ダリア」
口づけがこんなに気持ちがいいなんて知らなかった。
既にフェンネルの癒やしの力は解けている。力の残滓が残っているのだとしても、それはフェンネルには関係ない。
ただ自らの意思でダリアと口づけている。そして、溶けている。
完璧な姿しか見たことのなかった王太子。
彼の欲に浮かされて、ダリアは我を忘れて口づけを貪った。
しばらくそうしていたが、どちらからともなく唇を離す。
お互いの唇から、つうっと名残惜しそうに唾液が糸を引いた。
フェンネルの空色の瞳はまだ興奮を宿していたが、瞬きを繰り返すうちに我を取り戻したようだ。
「も、もう、痛みはなさそうだね。怪我も……ないよね?」
ダリアは寝台に横になったまま短く息をしていた。フェンネルの言葉を受け、ゆるゆると体を持ち上げて左肩に触れてみる。
「はい、完全に治ってます」
そう告げてフェンネルに視線を向ける。しかし彼は慌てて顔を背けた。
「ふ、服を!」
焦るフェンネルの言葉に自らを見下ろす。
肩の怪我を隠すわけにもいかず、上半身は服を被せただけになっていたようだ。豊かな乳房が露わになっていた。
ダリアは慌ててブラウスに袖を通す。
衣擦れの音を聞いて、フェンネルは安心したように息をはく。
「人を呼んでくる」
彼は血のついた手を洗い、部屋の扉に向かう。
「フェンネル」
ダリアが名を呼ぶと、彼は驚いたように振り返った。
「また改めて我が家に招待してもいいかしら? わたくしの、お勧めの紅茶を用意するわ」
「喜んで応じるよ。その際に、今回のお説教もしないとね」
「まあ……」
ダリアの反応にフェンネルは愉快そうに笑い、そして目を細める。
「ダリア、名前を呼んでくれてありがとう」
彼は柔らかくはにかみ、そして部屋を出て行った。
耳の奥深いところに届くような低い声が意識を揺り動かした。ゆっくり瞼を持ち上げると、顔を覗きこむフェンネルの姿があった。
ダリアは怪我をした左肩を上にして、ベッドに寝かされていた。
「殿下……?」
「ああ、動かないで」
フェンネルの背のむこうに見慣れた自室の窓が見える。
こんな闇の深い時刻に、王城から公爵邸に駆けつけてくれたようだ。
「ごめんなさい……」
ダリアの謝罪にフェンネルは目を丸くする。そして困ったように笑った。
「言い訳と謝罪は元気になってから聞くよ。今から君の怪我を治すために、肩の止血布を外すよ。直接傷口に触れないと癒せないから少し我慢してほしい」
「宜しくお願いします……」
ダリアは朦朧としながら視線を動かすと、フェンネルの手がダリアの左肩に伸びる。
「殿下、手が汚れてしまいます。布を外すのは侍女に」
「人払いをしたから、この部屋はわたしとダリア嬢しかいないよ。だから大丈夫」
何が大丈夫なのだろう?
フェンネルは巻かれた布を器用に外し、形のいい眉を顰める。
「…………醜いものをお見せしてごめんなさい」
「そうじゃない。怪我が酷すぎて驚いているだけだ」
フェンネルの珍しく苛立ったような声音に、ダリアは戸惑った。そして彼は怪我に直接、手の平を乗せた。
「くっ!」
思わずダリアは固く瞼を閉じて枕に顔を押し付けた。触れられると痛みが増す。
フェンネルは空いた片手で、ダリアの頬を撫でた。
「知っていると思うけど、怪我を癒やす際に、痛みを紛らわすために心地よさを感じる。傷が深いから少しつらいかもしれない」
「しょ、承知しています!」
「じゃあ……始めるよ」
フェンネルの苦笑を横目で確認し、ダリアは再び瞼を閉じた。
昼間、同じ癒やしの力でバレリアンを弄んだ。
自分が同じ体験をすることになるとは思いもよらなかった。
むしろダリアに注がれる癒やしの力は、怪我が酷い分、チョーカーの比ではないはずだ。
ダリアは枕に顔を埋め、唇を固く噛みしめる。
怪我に触れた手から温もりが伝わってきた。
ちらりと左肩を見やると、フェンネルの手から淡く白い光が放たれている。
神々しさを感じる光だ。
鋭く突き刺さるような痛みが、じわじわと薄れてきた。そして体中を覆い始める心地よさ。
これが癒やしの能力。
能力持ちのダリアだからこそ分かる異能。この人は自分と同じだ。
フェンネルの横顔を見つめると、彼はダリアの視線に気づきこちらを見た。
「ダリア嬢、大丈夫かい? 傷が深いから、もう少し多く癒やしの力を使いたいんだけど……その、大丈夫かな?」
フェンネルの空色の瞳が躊躇いがちに泳いでいる。その姿がなんだかおもしろい。
「はい、大丈夫です」
確かに体がそわそわする熱を感じるが、耐えられないほどではない。ダリアはそう思い頷いた。
「じゃあ、もう少し多くするよ」
フェンネルは自身の手の平に視線を向けた。白い光が僅かに強くなった。
眩しさが増した、と思った瞬間。
「ぁん!」
頭を穿たれたような刺激に驚き、大きな声が出た。
自分でも驚いたが、フェンネルは目を剥いてダリアを見ている。
体が熱い。
痺れるような快感が背中を伝わり、下腹部が落ち着かない。無意識に太腿を擦り合わせ、もぞもぞと体を動かすと、怪我に触れていたフェンネルの手が僅かに離れた。
彼の手はすぐに傷口へ戻る。
「ダリア嬢、動かないで。つらいと思うが……」
フェンネルはベッドの脇に置かれた椅子に腰掛けていたが、手を肩から離さず、ベッドに直接座った。
ダリアは無意識に体を丸めてしまったので、彼は身を寄せることにしたらしい。
「ご、ごめんなさい……変な声がでてしまって……あ、んぅ」
言葉尻が消えて、ごまかすようにダリアは枕に顔を埋める。枕から荒い息遣いが漏れる。
「大丈夫だよ、ダリア嬢。想像はしていたから。それだけ君の感じている痛みが強い証拠だよ」
フェンネルはダリアの栗色の髪を優しく撫でた。
そろそろと視線を向けると、頬を染めたフェンネルが困ったように笑んでいる。
「ただ、少し驚いた。君の声が、その、あまりにも艶かしくて……ここにいるのが、わたしでよかった」
「こんな、声、婚約者様にしか聞かせられません……!」
ダリアはそう言いながらまた小さく痙攣した。
下腹部に集まる熱を感じながら、昼間バレリアンに対して酷いことをしてしまったと深く反省する。
「あっ、あ……あん、あぁ……やぁん」
フェンネルは声を必死に堪えるダリアを見て赤面してしまう。
「本当に、わたし以外には見せられない姿だね……こんな姿、他の男には見せたくない」
フェンネルは短く嘆息し、手の甲で口元を覆った。
動揺が顔に出ていたのだ。
誤魔化すようにダリアから視線を外す。
「……はぁ、あ……んん、で、殿下は経験豊富でしょうが、わたくしは初めてを……んっ、結婚相手に捧げるつもりなので、殿下以外が見ることはありません」
「わ、わたしは経験豊富などでは!」
「やぁ、あっ、あっ……はぁん、で、殿下ぁ!」
「え?」
自分でも想像以上に甘い吐息と声が出た。動揺するフェンネルがダリアを見つめる。
「ま……まだ、治りませんか! もう、つらく……て」
「あ、ああ! えっと」
フェンネルは慌てた様子で光を巻き散らかす手の平に意識を戻した。
「あと少しだ。筋が切れているから、時間がかかっているんだ。つらいなら、強めに力を注いで治そうか? 今なら一度強めに力を注げば治ると思う……いや、でもそうすると今より」
フェンネルは視線を彷徨わせた。言葉が続けられなくなり、耳まで赤くしてしまう。
「一度で治してください」
「い、いや、しかし」
「これ以上恥ずかしい姿を見せるくらいなら、短い時間の恥を選びます」
「どちらも恥なんだね」
フェンネルは苦笑したが、しばし思案して首肯した。
動揺はしているが、彼は気の切り替えが上手いのかもしれない。
「じゃあ。一度で」
左肩に触れた手から強く眩しい光が爆ぜた。
光はゆるゆると収まり始めるが、フェンネルの手はまだ肩から離れない。
「ああぁぁあっ!」
「ダリア嬢! 声が大きい……っ」
ダリアの腰が跳ねた。
甲高い嬌声が口から溢れ、フェンネルは慌てて顔を寄せ、そのまま唇を塞いだ。
フェンネルの唇がダリアの嬌声を漏らす唇を必死に塞ぎ、ずっと熱に浮かされていたダリアを刺激していく。
「ん、んふぅ、くちゅ、はぁ……」
貪るような口づけの音が室内に響く。
部屋に灯っていた癒やしの光はとっくに消え失せていた。
ダリアは両腕をフェンネルの首に絡める。肩の痛みはもう感じない。
「は……あん……んぅ」
息を吸うタイミングが分からず、小さな喘ぎが漏れる。
でも唇を離したくない。絡まる舌を必死に求めてしまう。
フェンネルは荒い息遣いのまま僅かに唇を離した。
「……はぁ……ダリア嬢、わたしは経験豊富ではないよ……だからこんなにも余裕がない」
切なげに言葉にして、また唇が塞がれた。
口内を蹂躙し、フェンネルは甘く低い声で囁く。
「名を呼んで……わたしの名を」
「ふぁ……ぁ、フェンネル、フェンネル……もっと」
「……ん、煽らないで、ダリア」
口づけがこんなに気持ちがいいなんて知らなかった。
既にフェンネルの癒やしの力は解けている。力の残滓が残っているのだとしても、それはフェンネルには関係ない。
ただ自らの意思でダリアと口づけている。そして、溶けている。
完璧な姿しか見たことのなかった王太子。
彼の欲に浮かされて、ダリアは我を忘れて口づけを貪った。
しばらくそうしていたが、どちらからともなく唇を離す。
お互いの唇から、つうっと名残惜しそうに唾液が糸を引いた。
フェンネルの空色の瞳はまだ興奮を宿していたが、瞬きを繰り返すうちに我を取り戻したようだ。
「も、もう、痛みはなさそうだね。怪我も……ないよね?」
ダリアは寝台に横になったまま短く息をしていた。フェンネルの言葉を受け、ゆるゆると体を持ち上げて左肩に触れてみる。
「はい、完全に治ってます」
そう告げてフェンネルに視線を向ける。しかし彼は慌てて顔を背けた。
「ふ、服を!」
焦るフェンネルの言葉に自らを見下ろす。
肩の怪我を隠すわけにもいかず、上半身は服を被せただけになっていたようだ。豊かな乳房が露わになっていた。
ダリアは慌ててブラウスに袖を通す。
衣擦れの音を聞いて、フェンネルは安心したように息をはく。
「人を呼んでくる」
彼は血のついた手を洗い、部屋の扉に向かう。
「フェンネル」
ダリアが名を呼ぶと、彼は驚いたように振り返った。
「また改めて我が家に招待してもいいかしら? わたくしの、お勧めの紅茶を用意するわ」
「喜んで応じるよ。その際に、今回のお説教もしないとね」
「まあ……」
ダリアの反応にフェンネルは愉快そうに笑い、そして目を細める。
「ダリア、名前を呼んでくれてありがとう」
彼は柔らかくはにかみ、そして部屋を出て行った。
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