【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

文字の大きさ
1,303 / 1,480
後日譚

後日譚491.事なかれ主義者は余計な事を知った

 相手の思惑が分からない以上は慎重に動く必要がある。
 レヴィさんたちとかに相談したい気持ちもあるけれど、最近レヴィさんたちの妊娠が発覚した。
 そりゃあれだけの頻度でやっていたらその内誰かは妊娠するだろう。むしろよく今まで妊娠しなかったなと思ったくらいだ。
 今回妊娠したのはレヴィさん、ルウさん、エミリー、シンシーラのとても夜の営みに意欲的な四人だ。妊娠している彼女たちには特に余計な心配はかけたくないのでいつも通り過ごしてほしい。
 そうなると自分で解決する必要が出てくるわけだけど……下手したらチャム様の悪評が広まってしまうと考えると慎重に動いた方が良いのかなぁ。

「と、考えたので相談に来ました」
「はぁ。僕も忙しいんだけどねぇ」

 久しぶりに見る真っ白な空間の中で佇む僕の前にいるのが僕に新しい加護を授けてくれたチャム様だ。
 僕が加護を失うきっかけである邪神と呼ばれる存在だけど今は『まじないの神』として売り出し中の彼は、未だに外見に変化はないようで、下半身は蛇のままだった。

「忙しいと言いつつもちゃんとこっちまで呼んでくれるんですね」
「あれだけしつこく祈っておいてよくいうな」
「反応がなかったので祈りが届いていなかったのかな、って」
「届いていたけど無視してたんだよ。……はぁ。つい独り言が漏れなかったらあいつらもうるさくならなかったのになぁ」
「あいつら?」
「お前に前の加護を授けた奴らだよ。お前からの祈りに反応して独り言を呟いたのが運の尽きさ。早く応じてやれって後をついて回ってきて面倒だったんだからな」
「祈った僕も悪いのかもしれませんけど、チャム様が独り言を呟かなければバレなかったんじゃ? だって、僕の存在は他の神々には感じ取れないんでしょ?」
「そうだけど……長い年月、真っ暗闇の中で一人で過ごしてたら癖になっちゃったんだよ。仕方ないだろ?」

 一人で暮らすようになったら独り言が増えるとかそういう感じだろうか? 一人暮らしをした事ないから本当に増えるのか知らないけど。

「どうでもいい事考えてないでさっさと用件話してくれる?」

 余計な話をする事になったのはチャム様が余計な一言を言ったから……あ、はい。サクサク話します。
 蛇のような目でじろりと睨まれた僕は思考を切り替えて口を開いた。

「こっちに来てすぐに説明した通りの状況なんだけど、どうすればいい?」
「別に好きにすればいいんじゃない? 他の奴らを黙らせるためなら異常気象でもなんでも起こせばいい。お前なら魔力的にも余裕だろ?」
「余裕、とまではいかないけど、まあできるよ。ただ、その後信仰が歪まない?」
「噂を流された時点で今更さ。むしろ、こっちの言う通りにしないと噂を皿に広めるぞ、って悪意を感じるねぇ。最悪、間違った信仰が広まってどうしようもなくなったらその時こそあのジジイに言って他の神の一部にでもしてもらうさ」
「一部にしてもらうって……?」
「僕が担っている物を同化する事でそいつに任せるんだよ。筆頭候補は占いの神だね。力の内容が似てるし」
「同化したらチャム様は消えたりするんじゃないの?」
「そりゃ消えるだろうさ。元々、下界で好き勝手暴れてた時からその内存在ごと消されるだろうと思ってたし。……結果的にはこうして存在してるわけだけど、いつでも消えてなくなる覚悟はできてるんだよ」

 …………姿形が変わるの、そこまで嫌なんだ。じゃあやっぱり慎重に行動しないとなぁ。
 どうしたものかなぁ。
 実践した所で、最近の異常気象の原因が僕じゃないって証明できないし……。

「いや、異常気象が続いている原因はお前だよ」
「…………へ?」
「お前って言うか、僕たちって言うか……ああ、僕たちの中にはもちろんあいつらも含まれてるからな」
「あいつらって?」
「お前に加護を授けた奴らだよ」
「エント様たちも原因って…………」
「この面子なら心当たりしかないだろ?」
「……神降ろしが原因って事?」
「そういう事。まあ、直接的な原因じゃなくて副次的な効果なんだけど……。あのジジイが力を振るわないのは影響力が大きすぎるからだけど、それは他の神々にも言える事なんだ。下界に膨大な神力が流れ込むと歪みが生まれ、それが時として異常気象の原因にもなるし、他の空間と繋がってしまってトラブルになる事もある。神降ろしは術者の魔力で神力の代用をするとはいえ、多少神の残滓が残るみたいなんだよ。しかも、あの時神降ろしをしたのは一柱じゃなくて三柱だ。世界に多大な負荷がかかっていてもおかしくない。その影響が出始めた、ってだけだろうさ」
「……………………なるほど」

 知りたくなかった事実を知ってしまった。
 これで嘘を見破る魔法や魔道具の前で原因を知らないか聞かれたら知っていると答えるしかなくなってしまったじゃん。

「知ったこっちゃないよ。お前が聞いてきたんだろ」
「いや、聞いてないから! 思っただけだから!」
「うるさいなぁ。……とにかく、加護をどう使おうがお前の好きにしろ。その後どうなろうとお前の責任で何とかしろよ」

 チャム様は言いたい事だけ言うと、僕を元の場所に戻したようだ。周りの喧騒と温もり、それから花のようないい匂いを感じた。
 目を開くと世界樹ファマリーが聳え立っていて、僕の周りには大勢のドライアドたちが密集していた。
 僕がそのまま体を倒して横になると、ドライアドたちが「日向ぼっこするの?」「ここはあんまりなところだよー」等と話し始めたけど放っておいた。
感想 4

あなたにおすすめの小説

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》

盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。  ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……  始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。    さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

予言の時《ブラック会社員が世界を救う》

盾乃あに
ファンタジー
 時雨涼都は2030年8の月、誰かが言った予言通りに災難に巻き込まれ、第一討伐者になる。  異世界と地球が合わさり始め、2神からの話で7匹の竜を封印するため奔走する。  地球と異世界との架け橋になりながらも自身はイクシードと言う進化を遂げ、これからの世界を救っていく。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。