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第19章 自衛しながら生きていこう
幕間の物語184.道楽息子は耕してもらった
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クレストラ大陸の中央に広がる『魔の山』と呼ばれる魔境の南にはファルニルという国がある。
クレストラ大陸には大小さまざまな国があるが、内陸国はファルニルを含めて四ヵ国しかない。
海がないという事で塩の入手方法が少なく、問題となっていた。
ただ、水は魔の山から流れてくる川のおかげで豊富だった。時折氾濫したり魔物が山から流れて来たりと問題もあったが、農業が盛んな国だった。
ギュスタン・ド・アリーズはファルニルの侯爵家の下に生まれた青年だった。
ギュスタンの弟や妹は加護を授かっていたが、彼には何もない。剣術や魔術の才能もなく、交渉も下手だった。
性格は温厚で相手を思いやる優しい青年だったが、それだけでは貴族家の当主としてやっていけないだろうと彼自身幼い頃から感じていたし、社交界に出る度に自分と考え方が異なる貴族たちと関わるのが苦痛だった。
唯一の楽しみと言えば、社交界で出る豪華な食事や、御用商人が持ってくる珍しい食べ物の数々だった。
最初は調理場に行って仲良くなった料理人から賄いを貰うだけだったが、次第に自分でも作り、それだけでは飽き足らず材料から作ろうと自分の畑も作ってしまった。
両親には弟に家督を譲るように進言し、自分は悠々自適な生活を送っていた彼だったが、ある日父が病気で倒れて状況が一変した。
「俺の代わりにフソーへ行け」
そう言われたギュスタンはとても焦ったが、幸いな事に相手に失礼のないように最低限の教養は身に着けていた。
体はだらしなく太ってしまっていたが、食事目当ての社交界に出るために身なりにも気を付けていたので清潔感もあった。
「……分かりました」
「交渉はその場でしなくてよい。印象は悪くなるかもしれんが、慎重に交渉をする必要がある相手だ。細かい駆け引きはお前に求めておらん。誠実に対応する事を心掛けよ。相手にもよるが、料理人共と関わるような気さくな感じでもいいかもしれん」
「はい」
次期党首であるギュスタンの弟は父の代わりに他国へ外交中で、妹はそっち系はからっきしだった。
ヤマトと緊張状態が続いている中、国王が国を離れる訳も行かず、他の外交を担当していた貴族たちも出払ってしまっていたので任された大役だったが、無事に終える事ができた。
結果だけを見ると今回の外交は成功だった。
異大陸からやってきたという世界樹を育てる力を持つ転移者の配偶者と良好な関係を築く事ができ、引き続き関係を築いていきたいという手紙を受け取っていた。
「まさか僕の趣味が上手くいく要因になるとは誰も思わんよなぁ」
ギュスタンはポケットマネーで先に購入しておいた『魔動耕耘機』を押しながらぽつりと呟く。
彼は今、アリーズ侯爵領の領都の使われていなかった一画を耕している最中だ。
今回の報酬として父から賜った場所に何を植えようか、と考えながら歩いていたのだが、だるさを感じ始めた。
「……まあ、魔力とは無縁の生活をしていたからなぁ」
加護で魔力を使う事もなく、魔法の才能も全くなかったため魔力は殆ど持っていなかった。
土地のほんの少ししか耕す事ができていなかったためどうしようかと悩んでいたが、ふと視線を感じて顔をあげた。
遠くで街の者たちが自分を見ている事に気付いた。
下民たちが食べる物にも興味を示し、屋敷から出てはいろいろな物を食べ歩きする彼は平民たちと交流する機会もあり、親しまれていた。
街を歩けば気楽に話しかけられる事もしばしばあるが、近づいて来ないのは立て看板を見たからだろう。
「入ってきていいぞー」
ギュスタンが大きな声で呼びかけると、彼を遠くから見ていた街の者たちが近づいて来る。
最初に駆け寄ってきたのは薄汚れた格好の子どもたちだ。時折食事を上げていたら懐かれていた。
「おい太っちょ。なにしてんだ?」
「お父様から土地を貰ったから耕してんだよ」
「……その変なのでか?」
「そうだよ。魔動耕耘機っていって、ちょっとの力でさくさく耕す事ができるんだよ。ただ僕には魔力がほとんどなくてあんまり耕す事ができんくってね」
「ふーん……」
「そんな事よりなんか食べにいこーよ!」
「美味しそうなお店がまた増えてたよ!」
「それは楽しみだなぁ。でもできれば早めにここを全面畑にしたいからなぁ……」
「じゃあ私が手伝ってあげるよ!」
「太っちょはそこら辺で座って休んでろよ」
「……どうやって使うの?」
「この持ち手を持って魔力を流すと、ここが回るから押してくんだよ」
「へー……」
説明を聞き終えると子どもたちは魔動耕耘機を使って耕し始めた。
お手伝いのお礼は何にしようかな、なんて考えていると大人たちも近寄ってくる。
次にやってきたのは近所のおばちゃんたちだった。
「ここに畑を作るって書いてあったけど、できた物を盗まれるんじゃないかい?」
「ギュスタン様は珍しい物も育てるらしいじゃない」
「珍しい物じゃなくても浮浪児たちが盗みを働くと思うけどね」
「そこら辺は仲のいい子たちに見張りをお願いしようと思ってるよ」
「子どもだけじゃ危なくないかい?」
「そこら辺で酔っ払ってる男どもに任せたらどうだい?」
「どーせ寝て過ごすだけだから期待するだけ無駄さね」
「違いない」
そう言って明るく笑う女性たちに遅れて、千鳥足で歩いていた男たちがギュスタンの下へやってきた。
一人がそのままギュスタンに寄り掛かる。
「おいギュスタ~ン。酒飲みにいこーぜ~」
「ちょっと昼から飲み過ぎじゃない?」
「今日は休みだからいいんだよ!」
「明日も明後日も休みだろ~」
「うっせーお前に言われたくねーわ!」
呑んだくれている男たちは日雇いの土木作業をしている者たちだったが、最近は仕事が少なくあぶれたものが昼間から酒を飲んでいた。
公共工事も発注していた父が床に伏せてからそのような状態になり始めている事を知っていたギュスタンは、帰ったら父に相談しようと心に決めた。
だが、一先ずは今日の酒代だけでも稼がせようと思い、巾着袋の中身を確認して頷く。
「暇なら仕事をお願いしてもいいかな。あの魔道具を交代で使って耕してくれたら報酬をあげる。今日中にすべてを耕せたら追加でボーナスもあげるよ」
「……この広さを耕すのか? 無理じゃねぇか?」
「んー、これを買い取った時に使ってた少女はこのくらいの広さは簡単に耕してたよ」
「それはアタイらも参加したら貰えるのかね?」
「もちろんさ。僕が耕した部分を基準として報酬を渡してくね。もちろん、子どもたちもね!」
ギュスタンは聞き耳を澄ませて立ち止まっていた浮浪児たちにも届くように大きな声で言うと、子どもたちからも歓声が上がった。
その後、ギュスタンはお金が必要そうな人から順番に魔道具を使うように指示を出して日が暮れる前にすべてを耕す事ができたのだった。
魔道具を使わずに一人で耕そうと思ったら何日かかるか分からない広さだったので、しっかりと報酬を支払い、子どもたちと一緒にいろいろな物を食べ歩きしつつ、男たちと一緒に酒を飲んで夜を過ごすのだった。
クレストラ大陸には大小さまざまな国があるが、内陸国はファルニルを含めて四ヵ国しかない。
海がないという事で塩の入手方法が少なく、問題となっていた。
ただ、水は魔の山から流れてくる川のおかげで豊富だった。時折氾濫したり魔物が山から流れて来たりと問題もあったが、農業が盛んな国だった。
ギュスタン・ド・アリーズはファルニルの侯爵家の下に生まれた青年だった。
ギュスタンの弟や妹は加護を授かっていたが、彼には何もない。剣術や魔術の才能もなく、交渉も下手だった。
性格は温厚で相手を思いやる優しい青年だったが、それだけでは貴族家の当主としてやっていけないだろうと彼自身幼い頃から感じていたし、社交界に出る度に自分と考え方が異なる貴族たちと関わるのが苦痛だった。
唯一の楽しみと言えば、社交界で出る豪華な食事や、御用商人が持ってくる珍しい食べ物の数々だった。
最初は調理場に行って仲良くなった料理人から賄いを貰うだけだったが、次第に自分でも作り、それだけでは飽き足らず材料から作ろうと自分の畑も作ってしまった。
両親には弟に家督を譲るように進言し、自分は悠々自適な生活を送っていた彼だったが、ある日父が病気で倒れて状況が一変した。
「俺の代わりにフソーへ行け」
そう言われたギュスタンはとても焦ったが、幸いな事に相手に失礼のないように最低限の教養は身に着けていた。
体はだらしなく太ってしまっていたが、食事目当ての社交界に出るために身なりにも気を付けていたので清潔感もあった。
「……分かりました」
「交渉はその場でしなくてよい。印象は悪くなるかもしれんが、慎重に交渉をする必要がある相手だ。細かい駆け引きはお前に求めておらん。誠実に対応する事を心掛けよ。相手にもよるが、料理人共と関わるような気さくな感じでもいいかもしれん」
「はい」
次期党首であるギュスタンの弟は父の代わりに他国へ外交中で、妹はそっち系はからっきしだった。
ヤマトと緊張状態が続いている中、国王が国を離れる訳も行かず、他の外交を担当していた貴族たちも出払ってしまっていたので任された大役だったが、無事に終える事ができた。
結果だけを見ると今回の外交は成功だった。
異大陸からやってきたという世界樹を育てる力を持つ転移者の配偶者と良好な関係を築く事ができ、引き続き関係を築いていきたいという手紙を受け取っていた。
「まさか僕の趣味が上手くいく要因になるとは誰も思わんよなぁ」
ギュスタンはポケットマネーで先に購入しておいた『魔動耕耘機』を押しながらぽつりと呟く。
彼は今、アリーズ侯爵領の領都の使われていなかった一画を耕している最中だ。
今回の報酬として父から賜った場所に何を植えようか、と考えながら歩いていたのだが、だるさを感じ始めた。
「……まあ、魔力とは無縁の生活をしていたからなぁ」
加護で魔力を使う事もなく、魔法の才能も全くなかったため魔力は殆ど持っていなかった。
土地のほんの少ししか耕す事ができていなかったためどうしようかと悩んでいたが、ふと視線を感じて顔をあげた。
遠くで街の者たちが自分を見ている事に気付いた。
下民たちが食べる物にも興味を示し、屋敷から出てはいろいろな物を食べ歩きする彼は平民たちと交流する機会もあり、親しまれていた。
街を歩けば気楽に話しかけられる事もしばしばあるが、近づいて来ないのは立て看板を見たからだろう。
「入ってきていいぞー」
ギュスタンが大きな声で呼びかけると、彼を遠くから見ていた街の者たちが近づいて来る。
最初に駆け寄ってきたのは薄汚れた格好の子どもたちだ。時折食事を上げていたら懐かれていた。
「おい太っちょ。なにしてんだ?」
「お父様から土地を貰ったから耕してんだよ」
「……その変なのでか?」
「そうだよ。魔動耕耘機っていって、ちょっとの力でさくさく耕す事ができるんだよ。ただ僕には魔力がほとんどなくてあんまり耕す事ができんくってね」
「ふーん……」
「そんな事よりなんか食べにいこーよ!」
「美味しそうなお店がまた増えてたよ!」
「それは楽しみだなぁ。でもできれば早めにここを全面畑にしたいからなぁ……」
「じゃあ私が手伝ってあげるよ!」
「太っちょはそこら辺で座って休んでろよ」
「……どうやって使うの?」
「この持ち手を持って魔力を流すと、ここが回るから押してくんだよ」
「へー……」
説明を聞き終えると子どもたちは魔動耕耘機を使って耕し始めた。
お手伝いのお礼は何にしようかな、なんて考えていると大人たちも近寄ってくる。
次にやってきたのは近所のおばちゃんたちだった。
「ここに畑を作るって書いてあったけど、できた物を盗まれるんじゃないかい?」
「ギュスタン様は珍しい物も育てるらしいじゃない」
「珍しい物じゃなくても浮浪児たちが盗みを働くと思うけどね」
「そこら辺は仲のいい子たちに見張りをお願いしようと思ってるよ」
「子どもだけじゃ危なくないかい?」
「そこら辺で酔っ払ってる男どもに任せたらどうだい?」
「どーせ寝て過ごすだけだから期待するだけ無駄さね」
「違いない」
そう言って明るく笑う女性たちに遅れて、千鳥足で歩いていた男たちがギュスタンの下へやってきた。
一人がそのままギュスタンに寄り掛かる。
「おいギュスタ~ン。酒飲みにいこーぜ~」
「ちょっと昼から飲み過ぎじゃない?」
「今日は休みだからいいんだよ!」
「明日も明後日も休みだろ~」
「うっせーお前に言われたくねーわ!」
呑んだくれている男たちは日雇いの土木作業をしている者たちだったが、最近は仕事が少なくあぶれたものが昼間から酒を飲んでいた。
公共工事も発注していた父が床に伏せてからそのような状態になり始めている事を知っていたギュスタンは、帰ったら父に相談しようと心に決めた。
だが、一先ずは今日の酒代だけでも稼がせようと思い、巾着袋の中身を確認して頷く。
「暇なら仕事をお願いしてもいいかな。あの魔道具を交代で使って耕してくれたら報酬をあげる。今日中にすべてを耕せたら追加でボーナスもあげるよ」
「……この広さを耕すのか? 無理じゃねぇか?」
「んー、これを買い取った時に使ってた少女はこのくらいの広さは簡単に耕してたよ」
「それはアタイらも参加したら貰えるのかね?」
「もちろんさ。僕が耕した部分を基準として報酬を渡してくね。もちろん、子どもたちもね!」
ギュスタンは聞き耳を澄ませて立ち止まっていた浮浪児たちにも届くように大きな声で言うと、子どもたちからも歓声が上がった。
その後、ギュスタンはお金が必要そうな人から順番に魔道具を使うように指示を出して日が暮れる前にすべてを耕す事ができたのだった。
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