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第17話 ちょろい女とは
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太陽が高い位置へ近づくにはまだ遠い時間帯、街は目覚め、人が忙しく行き来していた。
千年戦争にて同盟関係にある隠密の加護を持つ真里伊からの勧めで、冒険者登録をするためにギルド会館へ来たものの、そこでは圧倒的に可愛い過ぎる剣聖を茶化したり、喧嘩を売ってくるイベントが発生することは無かった。
何のためにここまできたのやら。
そんな時、真里伊から貰っていた紹介状を握りしめた親父が建物の奥から現れ、私の名を大きな声で呼んできた。
やはりあの都市伝説は存在していたのだ。
これはギルド会館で起きるという『私、何かをやっちゃいました。』という流れに乗ってしまったと考えて間違いない。
親父の雑な案内に従い、ギルド会館の2階に昇った廊下の1番奥にある部屋に入り、真ん中にある大きなソファーに深く座らされていた。
部屋の床にじゅうたんが敷かれ、壁に貼られている天然木からは落ち着く香りが漂ってくる。
正面の壁にある縦長の窓からは、陽光が燦々と入ってきており部屋の中はとても明るい。
腰にぶら下げていた神剣ソラスクラスは正面のセンターテーブルに置いていた。
そして私と向かい合うようにガタイのいい親父が前のめり気味にソファーに座っており、私を半笑いの表情で睨みつけている。
私を睨みつけているこの表情は、品定めをしているプロの目で間違いない。
私の半端ない可愛さを前にして動揺しないところは流石と言えるだろう。
そしてこの半笑いは、営業マンが獲物に狙いを定めた際に浮かべるものだ。
察するに、この親父は突き抜けて可愛い女の子を自身が経営するプロダクションに入れようといる可能性が高い。
張り詰めた空気の中、親父と視線が重なった。
親父が何を言いたいのかは予想がつく。
————安杏里の妄想————
『俺はこういう者です。』
『お名刺、頂きます。』
『是非、お嬢さんにはうちの専属モデルになってもらいたいと思っています。検討して頂けないでしょうか。』
『専属というところが引っかかりますが、でもまぁそうですね。考えてみてもいいでしょう。』
『それでは当社の専属モデルになった時のシステムについて、ご説明させてもらいます。まずお嬢さん側から供託金として、当方にお金を預けてもらうようになります。』
『お金を預けないといけないのですか。それで、いくら預けたらいいのですか?』
————その時、ミランダからの声が聞こえてきた。
『お金を預けては駄目だ。そのパターンの会話は詐欺で間違い無いぞ。というか、ここは芸能プロダクションではなくて冒険者ギルドだ。要するにだな、正面の親父はここのGM(ギルドマスター)であり、悪徳芸能プロダクションの社長ではない。』
言われてみれば、ミランダからの指摘のとおりここは冒険者ギルドであり、芸能プロダクションの者にエンカウントする確率は低い。
ミランダからの助言が無ければ、私は危うくチョロい女になるところだったかもしれなかったぜ。
それはそうと、もう一つミランダが気になる事を言っていた。
『ミランダに確認させて頂きたいのですが、向かいに座っている親父はここのGM(ギルマス)なのでしょうか。』
『そうだ。この者が冒険者ギルドのGMで、7種族最強の男だ。』
『真里伊からの話しによると、冒険者ギルドのギルドマスターは千年戦争の参加者だったと記憶していますが、この親父がそうなのですか。』
『うむ。この男が7種族から千年戦争に参加している者だ。』
―――冒険者ギルドマスター―――
種 族 : 7種族
加 護 : 戦車
JOB : ディフェンダー
装 備 : ???
スキル : ???
備考1 : 千年戦争の参加者
備考2 : 最強の楯と言われている種族
7種族は、全種族の中で最も防御力が高いと聞いていたが、私の見立てでは素手でも瞬殺できるくらいの相当な雑魚だ。
このGMが7種族最強とは程度が低すぎるだろ。
屑礼のようにトリッキーなスキルを使用してくる可能性もあるので油断はしない方がいいのかしら。
いやいや私の性格上、こんな雑魚に油断しないなんて無理の一言だろ。
さてそのGMであるが、神剣ソラスクラスが置かれているセンターテーブルに真里伊から渡されていた紹介状をバサリと広げ始めると、猛獣が威嚇をするような低い唸り声を出してきた。
「格下である11種族が7種族へS級冒険者を推薦するって、俺達も舐められたものだな。」
GMは半笑いの表情をしているが、その声からは怒りが感じられる。
どうやら私を威圧しているようだ。
クソ雑魚の親父が、最強に可愛い剣聖へ圧力をかけてくるとは、間抜け過ぎるとしか言いようがない。
紹介状を書いた真里伊は9種族であり、GMが言う11種族ではないはずだが、何故11種族の話しが出てきたのかしら。
雑な感じでセンターテーブルに広げられた紹介状に目をやると、次のように書かれていた。
【11種族のミラー家当主の名前で、安杏里をS級冒険者に推薦する。】
ふむふむ。
真里伊はGMを挑発する為に11種族が推薦する紹介状を偽造作成したのかしら。
そしてそのおかげで、千年戦争の対戦者に会う事が出来たわけであるが、こんな雑魚は放置しておいても何ら問題ないように思える。
さてそのGMの方はというと、延々と11種族が格下である話しを続けていた。
喋るほど怒りが増していく感じで、少しずつ声のトーンが強くなっていく。
「お嬢ちゃん。S級冒険者に相応しい者であるかは、ギルドマスターであり7種族最強の俺が判断をする。11種族がどうこう口を挟む事は許されない。こういった上下関係は憶えておいた方がいいぞ。」
「S級冒険者の件はもう結構です。付け加えて言いますと、説教をされるなら短くしないと駄目ですよ。ただ長くダラダラとしている説教は単なる自己満足でしかありません。」
何気なく言った言葉であったが、GMの顔つきが変わり一気に声が低くなった。
「その言葉遣いはいただけないな。お嬢ちゃんは目上に対する言葉つかいを知らないのかな?」
「他人から尊敬されたいのならば、年上だからといって威張り散らしても、誰からも尊敬などされませんよ。その上から目線の態度も全て改めるべきでしょう。」
このGMは、あれだ。
自分が教え説くことが絶対的に正しいと思っているタイプで、立場の弱い者に考えを押し付けて俺が偉いと思うタイプだ。
決め台詞は、馬鹿の一つ覚えである『お前のためを思って、言っているんだぞ!』が定番だろう。
—————————全くやる気はないが、社会的貢献の観点よりこの老害は処分させてもらいましょう。
ちなみにであるが、GMの説教はまだ続行中である。
これって、いつまで続くのかしら。
さすがに最後まで聞く胆力は私にはないので、「よろしいでしょうか。」と手を挙げてGMの話しを無理矢理切ってみた。
「紹介状の件であるとか、目上がどうのこうのな事はおいといてですね、私はこれからあなたをブチ倒したいと思います。」
私の宣言に、GMは驚いた表情を浮かべ豪快に笑い始めた。
「俺を誰だと思っているのだ。俺は7種族の代表として千年戦争に参加している男だぞ。お嬢ちゃんが勝てる相手ではない!」
「私は19種族から千年戦争に参加をしています。簡単にあなたを狩る事が出来ると思いますよ。」
「何、19種族だと?」
豪快に笑い転げていたGMが口を開けて言葉を失っている。
反応を待つ必要もないでしょう。
さっさと狩らせてもらいます。
ソファーから立ち上がり、センターテーブルの神剣に手を伸ばそうとした時、GMが座っている奥の窓の外に何かが見えた。
神剣をそのままにし、GMが座る横をすり抜けて窓に近づくと、要塞都市の空に千年戦争が開始されたメッセージが見える。
空には次の文字が書かれていた。
【CHARIOT vs THE SUN】
———————————READY GO
千年戦争にて同盟関係にある隠密の加護を持つ真里伊からの勧めで、冒険者登録をするためにギルド会館へ来たものの、そこでは圧倒的に可愛い過ぎる剣聖を茶化したり、喧嘩を売ってくるイベントが発生することは無かった。
何のためにここまできたのやら。
そんな時、真里伊から貰っていた紹介状を握りしめた親父が建物の奥から現れ、私の名を大きな声で呼んできた。
やはりあの都市伝説は存在していたのだ。
これはギルド会館で起きるという『私、何かをやっちゃいました。』という流れに乗ってしまったと考えて間違いない。
親父の雑な案内に従い、ギルド会館の2階に昇った廊下の1番奥にある部屋に入り、真ん中にある大きなソファーに深く座らされていた。
部屋の床にじゅうたんが敷かれ、壁に貼られている天然木からは落ち着く香りが漂ってくる。
正面の壁にある縦長の窓からは、陽光が燦々と入ってきており部屋の中はとても明るい。
腰にぶら下げていた神剣ソラスクラスは正面のセンターテーブルに置いていた。
そして私と向かい合うようにガタイのいい親父が前のめり気味にソファーに座っており、私を半笑いの表情で睨みつけている。
私を睨みつけているこの表情は、品定めをしているプロの目で間違いない。
私の半端ない可愛さを前にして動揺しないところは流石と言えるだろう。
そしてこの半笑いは、営業マンが獲物に狙いを定めた際に浮かべるものだ。
察するに、この親父は突き抜けて可愛い女の子を自身が経営するプロダクションに入れようといる可能性が高い。
張り詰めた空気の中、親父と視線が重なった。
親父が何を言いたいのかは予想がつく。
————安杏里の妄想————
『俺はこういう者です。』
『お名刺、頂きます。』
『是非、お嬢さんにはうちの専属モデルになってもらいたいと思っています。検討して頂けないでしょうか。』
『専属というところが引っかかりますが、でもまぁそうですね。考えてみてもいいでしょう。』
『それでは当社の専属モデルになった時のシステムについて、ご説明させてもらいます。まずお嬢さん側から供託金として、当方にお金を預けてもらうようになります。』
『お金を預けないといけないのですか。それで、いくら預けたらいいのですか?』
————その時、ミランダからの声が聞こえてきた。
『お金を預けては駄目だ。そのパターンの会話は詐欺で間違い無いぞ。というか、ここは芸能プロダクションではなくて冒険者ギルドだ。要するにだな、正面の親父はここのGM(ギルドマスター)であり、悪徳芸能プロダクションの社長ではない。』
言われてみれば、ミランダからの指摘のとおりここは冒険者ギルドであり、芸能プロダクションの者にエンカウントする確率は低い。
ミランダからの助言が無ければ、私は危うくチョロい女になるところだったかもしれなかったぜ。
それはそうと、もう一つミランダが気になる事を言っていた。
『ミランダに確認させて頂きたいのですが、向かいに座っている親父はここのGM(ギルマス)なのでしょうか。』
『そうだ。この者が冒険者ギルドのGMで、7種族最強の男だ。』
『真里伊からの話しによると、冒険者ギルドのギルドマスターは千年戦争の参加者だったと記憶していますが、この親父がそうなのですか。』
『うむ。この男が7種族から千年戦争に参加している者だ。』
―――冒険者ギルドマスター―――
種 族 : 7種族
加 護 : 戦車
JOB : ディフェンダー
装 備 : ???
スキル : ???
備考1 : 千年戦争の参加者
備考2 : 最強の楯と言われている種族
7種族は、全種族の中で最も防御力が高いと聞いていたが、私の見立てでは素手でも瞬殺できるくらいの相当な雑魚だ。
このGMが7種族最強とは程度が低すぎるだろ。
屑礼のようにトリッキーなスキルを使用してくる可能性もあるので油断はしない方がいいのかしら。
いやいや私の性格上、こんな雑魚に油断しないなんて無理の一言だろ。
さてそのGMであるが、神剣ソラスクラスが置かれているセンターテーブルに真里伊から渡されていた紹介状をバサリと広げ始めると、猛獣が威嚇をするような低い唸り声を出してきた。
「格下である11種族が7種族へS級冒険者を推薦するって、俺達も舐められたものだな。」
GMは半笑いの表情をしているが、その声からは怒りが感じられる。
どうやら私を威圧しているようだ。
クソ雑魚の親父が、最強に可愛い剣聖へ圧力をかけてくるとは、間抜け過ぎるとしか言いようがない。
紹介状を書いた真里伊は9種族であり、GMが言う11種族ではないはずだが、何故11種族の話しが出てきたのかしら。
雑な感じでセンターテーブルに広げられた紹介状に目をやると、次のように書かれていた。
【11種族のミラー家当主の名前で、安杏里をS級冒険者に推薦する。】
ふむふむ。
真里伊はGMを挑発する為に11種族が推薦する紹介状を偽造作成したのかしら。
そしてそのおかげで、千年戦争の対戦者に会う事が出来たわけであるが、こんな雑魚は放置しておいても何ら問題ないように思える。
さてそのGMの方はというと、延々と11種族が格下である話しを続けていた。
喋るほど怒りが増していく感じで、少しずつ声のトーンが強くなっていく。
「お嬢ちゃん。S級冒険者に相応しい者であるかは、ギルドマスターであり7種族最強の俺が判断をする。11種族がどうこう口を挟む事は許されない。こういった上下関係は憶えておいた方がいいぞ。」
「S級冒険者の件はもう結構です。付け加えて言いますと、説教をされるなら短くしないと駄目ですよ。ただ長くダラダラとしている説教は単なる自己満足でしかありません。」
何気なく言った言葉であったが、GMの顔つきが変わり一気に声が低くなった。
「その言葉遣いはいただけないな。お嬢ちゃんは目上に対する言葉つかいを知らないのかな?」
「他人から尊敬されたいのならば、年上だからといって威張り散らしても、誰からも尊敬などされませんよ。その上から目線の態度も全て改めるべきでしょう。」
このGMは、あれだ。
自分が教え説くことが絶対的に正しいと思っているタイプで、立場の弱い者に考えを押し付けて俺が偉いと思うタイプだ。
決め台詞は、馬鹿の一つ覚えである『お前のためを思って、言っているんだぞ!』が定番だろう。
—————————全くやる気はないが、社会的貢献の観点よりこの老害は処分させてもらいましょう。
ちなみにであるが、GMの説教はまだ続行中である。
これって、いつまで続くのかしら。
さすがに最後まで聞く胆力は私にはないので、「よろしいでしょうか。」と手を挙げてGMの話しを無理矢理切ってみた。
「紹介状の件であるとか、目上がどうのこうのな事はおいといてですね、私はこれからあなたをブチ倒したいと思います。」
私の宣言に、GMは驚いた表情を浮かべ豪快に笑い始めた。
「俺を誰だと思っているのだ。俺は7種族の代表として千年戦争に参加している男だぞ。お嬢ちゃんが勝てる相手ではない!」
「私は19種族から千年戦争に参加をしています。簡単にあなたを狩る事が出来ると思いますよ。」
「何、19種族だと?」
豪快に笑い転げていたGMが口を開けて言葉を失っている。
反応を待つ必要もないでしょう。
さっさと狩らせてもらいます。
ソファーから立ち上がり、センターテーブルの神剣に手を伸ばそうとした時、GMが座っている奥の窓の外に何かが見えた。
神剣をそのままにし、GMが座る横をすり抜けて窓に近づくと、要塞都市の空に千年戦争が開始されたメッセージが見える。
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