29 / 46
第29話 (真里伊の目線)リミッターとは
しおりを挟む
———真里伊の目線———
まだ昼に届かない時間帯。
見上げると澄み切った青空に、『HERMIT_VICTORY』の文字が大きく表示されていた。
千年戦争において9種族が8種族に勝利した結果が、地上世界に暮らしている全ての者へ告知されているのだ。
10年前に自我に目覚める前の状態にあったうちを破壊した課長を殺し、ようやく復讐を果たした。
気温、湿度共に正常。
機械人形が活動する最適な環境だ。
要塞都市の中心にある官庁機関が集まる敷地に建っている治安局建物の外壁をSKILL『壁歩』の効果にて気配を消しながら歩いていた。
下を見ると、『ホーミング爆撃』により芝生を植えていた場所の地面がめくれ、焼け焦げた課長の死骸に人が集まり始めている。
3階にある課長室へは人が押しかけているようで、課長を殺した犯人を捜そうと割られた窓ガラスから頭を出し周囲を確認しているが、SKILL『隠密』を発動させながら外壁を歩いているうちの存在に気が付く者はいない。
下を見ると、集まってきている者達が騒ぎを広げ、官庁機関が集まる敷地内が騒然としていく。
緊張感が漂っていたビジネス街の様子が一変していた。
8種族で最強である課長を軽く殺してしまったこの実績を考えると、完全体に成ったうちは人族ごとき雑魚達が勝てる相手ではないことが証明された。
あの19種族の剣聖だけが、人族でありながら異質な存在なのだろう。
安杏里との戦闘差を考えると、うちが千年戦争を単独で勝ち抜く事は不可能だと悟った。
4種族と13種族は、あの剣聖と対等な力を持っていると聞く。
種族間での戦力差が激し過ぎやろ。
千年戦争は、4種族と13種族、19種族、そして次ぐ力をもっているという15種族、16種族の中で勝者は決まんやろうな。
うちよりも格下の種族など、いてもいなくもいい空気のような存在なのではなかろうか。
うちのこれからであるが、この後、同盟関係にある安杏里とは地下1階層で落ち合う約束をしていた。
一応、同盟を結んでいる安杏里のサポートにまわる立場にいるのだが、この先はどの陣営に付くべきなのか見定める必要があるのやろう。
空を見上げると、9種族であるうちが勝利していた文字が既に消えていた。
その時である。
―――――――突然立っていた地面が歪んだ感覚に陥った。
頭の中がドロっとし、量子AIが溶けていく気がする。
危険な状態に陥っていることを理解した。
誰かがうちに何かを仕掛けてきたのだと理解できるものの、その圧倒的な存在に抗えない。
恐怖さへも感じる猶予がなく、気がつくと視覚的情報がまるっきり変わっていた。
見えている景色がいきなり切り替わってしまっていたのだ。
—————正面から蜘蛛の大群がうねりをあげて迫ってきている。
気持ちは追い付いていないものの、視覚的情報は正確に取得出来ている。
これは幻覚のような類いではない。
蜘蛛から殺気と迫力を感じる。
憶単位の数がいそうだ。
空気感が違うこと、獲得した視覚的情報を分析したところ地下1階層へ転送してきたことを理解していたが、そんなことはどうでもいい。
このままやと、うちは蜘蛛の大群に飲み込まれてしまい、絶滅まで一直線や。
つまり転送されてしまい絶対絶命になってしもうていた。
蜘蛛の大群がうねりをあげて押し寄せてくる姿がスローモーションのように見えていた。
本能が逃げろと告げているのだが、どこに逃げたらええねん。
逃げたとしても、すぐに要塞都市中がこいつ等に埋め尽くされてしまうやろ。
生命の危険に陥り反射的に発動していたSKILL『戦術眼』からの指示が、脳内に流れてくる。
―――――――戦術眼が安杏里に従えと告げてきた。
安杏里やと?
そや。それや!
うちには無敵の剣聖という心強い友がおることを忘れていたわ。
あの非常識魔人なら、こんな出鱈目な状況でもなんとか出来るはずや。
ほいで、あいつは一体どこにおるんや。
その時、頭上から安杏里が真横に着地をしてきた。
キタァァァァァ。
うちの絶体絶命のピンチに助けに、無敵の剣聖が現れてくれた!
うちのために有難う。
ホンマ、ええ奴なんやな。
理解不能な行動をする不思議ちゃんやけど、正真正銘の天使に見えてきたわ。
その安杏里が、うちの感情を逆撫でするクソ外道な言葉を言い放ってきた。
「真里伊。今すぐに正面の物体を掃討しなければなりません。転送してきて早々ではあり状況が飲み込めていないかもしれませんが、とりあえず何も考えることなく押し寄せてくるあの蜘蛛の大群へ『ホーミング爆撃』を命が続く限りぶっ放してやって下さい。」
おい、こら、待たんかい!
ここはお前が何とかするところやぞ!
お前の方が遥かに強いはずやろ。
そう。お前がうちを守らんかい!
マジでブチ切れるぞ!
そもそもやけどなぁ、『ホーミング爆撃』を撃てと言われても、ここからやと届かへんねん。
「安杏里。よう聞け。『ホーミング爆撃』の水平飛行距離の限界は10mなんや。その名のとおり、このスキルは基本として上から投下する攻撃や。ここからやとあの大群までは届かないっちゅうことや。」
「なるほど。標的の真上から爆撃すればよいわけですね。」
「その通りや。真上からなら爆撃をし放題や!」
安杏里の手が伸びてくる映像が、スローモーションのように見えていた。
ヤバい。これは絶対に駄目なパターンや。
今、うちはあかん言葉をゆうてしもうた。
心臓の鼓動が、加速して速くなっていく。
安杏里が何をしようとしているのか分かる。
————————この魔人。うちを蜘蛛の頭上へ放り投げ、そこから爆撃させるつもりやな。
無理、無理。
こんな大群、ホーミング爆撃ごときで滅ぼすことなど出来るはずがない。
安杏里から逃げなければならない状況であるが、蛇に睨まれた蛙のように動く事が出来ない。
うわぁぁぁぁぁ。
やめろぉぉぉぉ。
うちの襟が、安杏里に捕まれた。
抵抗することなく捕獲されてしまったのだ。
うちを放り投げないでくれ。
ここはうちを連れて逃げるのがベストの選択やぞ。
スローモーションのように放り投げられる映像が見えていた。
「うちを投げるんじゃない!」
抗議した時は、既に上へ放り投げられた後の状態であった。
何て酷いことをするんだ。
つい先ほど、絶体絶命のピンチに助けに来てくれた安杏里が天使の姿に見えてしまった自身に腹がたつ。
人生をやり直しできるなら、その記憶を無かったことにしたい。
クソォォォ。あいつ絶対に魔王だろ。
高さ20m程度ある地下1階層の天井ギリギリまで放り投げられたそこから見る景色は、まさに地獄絵図であった。
とんでもない量の蜘蛛の大群が、商店街を埋め尽くし、安杏里を飲み込もうとしている。
このままやと、うちはあの蜘蛛の渦に飲み込まれて終わってしまうだろう。
いいだろう。どうせ死ぬんや。お望みどおり『ホーミング爆撃』を撃ちまくってやろう。
―――――――うちはSKILL『ホーミング爆撃』を無限に連射する!
宣言と同時に全長10cm程度のミサイルが数百単位の数ほど現れた。
何や、この数は!
安杏里に太陽炉を復活してもらい完全体になって行った課長戦では、同時に10個体までしか『ホーミングミサイル』を精製する事が出来なかったはず。
生命の危険を感じとり、かけられていたリミッターが外れたんやろうか。
これは、うちが覚醒したってことなんか!
安杏里に放り投げられてしもうた時は死を覚悟したが、覚醒した今のうちなら生き残れるかもしれんぞ。
そうや。
今のうちなら出来る!
数百単位にうごめく蜘蛛達へ『ホーミング爆撃』が自由落下していく。
あの大群を焼き尽くせぇぇ!
——————蜘蛛の大群へ着弾を開始した。
蜘蛛達がその熱に簡単に焼け焦げ灰になる姿が見えていた。
蜘蛛を焼き尽くす未来を確信した。
だが、同時に死も予感した。
凄まじい熱量の爆風が舞い上がり迫ってきていたのだ。
やばい、予想外や。
ちょっと考えれば分かった事やったけど、このままやと熱風で、機械人形のうちはオーバーヒートしてしまう。
襲ってくる爆風をそのまま受けても天井に全身を叩きつけられ、木っ端微塵や。
自分で撃ったホーミング爆撃の爆風で死んでしまうって、一番駄目なやつやろ。
10個体までしかホーミング爆撃を精製出来ないようにリミッターが掛けられていたのは、うち自身を守るためやったんか。
死を悟り情報処理能力が飛躍的に上がっているせいか、スローモーションで炎が迫ってくる姿が見える。
生き延びる事を放棄した時である。
――――――――――――うちを殺そうと舞い上がってくる炎がパックリと割れた。
炎が切断されたのだ。
今度は何が起きたんや。
視界の端に入っている安杏里が何かをしとようだ。
19種族の剣聖が音速の遠距離斬撃を繰り出し、炎を斬り裂いたってことなんか。
YES。YES。YES。
あの遠距離斬撃で爆風を斬り裂くって、お前、どれだけ強いねん!
涼しい顔をしているようやでど、お前にとってこれくらい朝飯前のお茶の子さいさいなんか。
最高過ぎるやろ!
斬撃の走る線上に炎が続いて伸びていく。
ほぉう。
熱エネルギーさえも斬撃により飛ばしてくれたわけか。
更に安杏里から同時とも思えるタイミングで遠距離斬撃が繰り出されており、地下1階層に火柱が無数に走っていた。
まさに神技とはこのことやな。
気がつくと体が自由落下し始めていた。
落下地点では蜘蛛の軍団が燃える景色が見える。
あそこに落ちたら不味くないか。
気が付くと、そのうちを安杏里が空中でキャッチし、お姫様抱っこをしてくれていた。
助かった。
「真里伊。蜘蛛を焼き尽くして頂き、まいどおおきにです。」
「その下手くそな物真似はやめろや。」
お前。ホンマにどこまでも非常識な存在なんやな。
まだ昼に届かない時間帯。
見上げると澄み切った青空に、『HERMIT_VICTORY』の文字が大きく表示されていた。
千年戦争において9種族が8種族に勝利した結果が、地上世界に暮らしている全ての者へ告知されているのだ。
10年前に自我に目覚める前の状態にあったうちを破壊した課長を殺し、ようやく復讐を果たした。
気温、湿度共に正常。
機械人形が活動する最適な環境だ。
要塞都市の中心にある官庁機関が集まる敷地に建っている治安局建物の外壁をSKILL『壁歩』の効果にて気配を消しながら歩いていた。
下を見ると、『ホーミング爆撃』により芝生を植えていた場所の地面がめくれ、焼け焦げた課長の死骸に人が集まり始めている。
3階にある課長室へは人が押しかけているようで、課長を殺した犯人を捜そうと割られた窓ガラスから頭を出し周囲を確認しているが、SKILL『隠密』を発動させながら外壁を歩いているうちの存在に気が付く者はいない。
下を見ると、集まってきている者達が騒ぎを広げ、官庁機関が集まる敷地内が騒然としていく。
緊張感が漂っていたビジネス街の様子が一変していた。
8種族で最強である課長を軽く殺してしまったこの実績を考えると、完全体に成ったうちは人族ごとき雑魚達が勝てる相手ではないことが証明された。
あの19種族の剣聖だけが、人族でありながら異質な存在なのだろう。
安杏里との戦闘差を考えると、うちが千年戦争を単独で勝ち抜く事は不可能だと悟った。
4種族と13種族は、あの剣聖と対等な力を持っていると聞く。
種族間での戦力差が激し過ぎやろ。
千年戦争は、4種族と13種族、19種族、そして次ぐ力をもっているという15種族、16種族の中で勝者は決まんやろうな。
うちよりも格下の種族など、いてもいなくもいい空気のような存在なのではなかろうか。
うちのこれからであるが、この後、同盟関係にある安杏里とは地下1階層で落ち合う約束をしていた。
一応、同盟を結んでいる安杏里のサポートにまわる立場にいるのだが、この先はどの陣営に付くべきなのか見定める必要があるのやろう。
空を見上げると、9種族であるうちが勝利していた文字が既に消えていた。
その時である。
―――――――突然立っていた地面が歪んだ感覚に陥った。
頭の中がドロっとし、量子AIが溶けていく気がする。
危険な状態に陥っていることを理解した。
誰かがうちに何かを仕掛けてきたのだと理解できるものの、その圧倒的な存在に抗えない。
恐怖さへも感じる猶予がなく、気がつくと視覚的情報がまるっきり変わっていた。
見えている景色がいきなり切り替わってしまっていたのだ。
—————正面から蜘蛛の大群がうねりをあげて迫ってきている。
気持ちは追い付いていないものの、視覚的情報は正確に取得出来ている。
これは幻覚のような類いではない。
蜘蛛から殺気と迫力を感じる。
憶単位の数がいそうだ。
空気感が違うこと、獲得した視覚的情報を分析したところ地下1階層へ転送してきたことを理解していたが、そんなことはどうでもいい。
このままやと、うちは蜘蛛の大群に飲み込まれてしまい、絶滅まで一直線や。
つまり転送されてしまい絶対絶命になってしもうていた。
蜘蛛の大群がうねりをあげて押し寄せてくる姿がスローモーションのように見えていた。
本能が逃げろと告げているのだが、どこに逃げたらええねん。
逃げたとしても、すぐに要塞都市中がこいつ等に埋め尽くされてしまうやろ。
生命の危険に陥り反射的に発動していたSKILL『戦術眼』からの指示が、脳内に流れてくる。
―――――――戦術眼が安杏里に従えと告げてきた。
安杏里やと?
そや。それや!
うちには無敵の剣聖という心強い友がおることを忘れていたわ。
あの非常識魔人なら、こんな出鱈目な状況でもなんとか出来るはずや。
ほいで、あいつは一体どこにおるんや。
その時、頭上から安杏里が真横に着地をしてきた。
キタァァァァァ。
うちの絶体絶命のピンチに助けに、無敵の剣聖が現れてくれた!
うちのために有難う。
ホンマ、ええ奴なんやな。
理解不能な行動をする不思議ちゃんやけど、正真正銘の天使に見えてきたわ。
その安杏里が、うちの感情を逆撫でするクソ外道な言葉を言い放ってきた。
「真里伊。今すぐに正面の物体を掃討しなければなりません。転送してきて早々ではあり状況が飲み込めていないかもしれませんが、とりあえず何も考えることなく押し寄せてくるあの蜘蛛の大群へ『ホーミング爆撃』を命が続く限りぶっ放してやって下さい。」
おい、こら、待たんかい!
ここはお前が何とかするところやぞ!
お前の方が遥かに強いはずやろ。
そう。お前がうちを守らんかい!
マジでブチ切れるぞ!
そもそもやけどなぁ、『ホーミング爆撃』を撃てと言われても、ここからやと届かへんねん。
「安杏里。よう聞け。『ホーミング爆撃』の水平飛行距離の限界は10mなんや。その名のとおり、このスキルは基本として上から投下する攻撃や。ここからやとあの大群までは届かないっちゅうことや。」
「なるほど。標的の真上から爆撃すればよいわけですね。」
「その通りや。真上からなら爆撃をし放題や!」
安杏里の手が伸びてくる映像が、スローモーションのように見えていた。
ヤバい。これは絶対に駄目なパターンや。
今、うちはあかん言葉をゆうてしもうた。
心臓の鼓動が、加速して速くなっていく。
安杏里が何をしようとしているのか分かる。
————————この魔人。うちを蜘蛛の頭上へ放り投げ、そこから爆撃させるつもりやな。
無理、無理。
こんな大群、ホーミング爆撃ごときで滅ぼすことなど出来るはずがない。
安杏里から逃げなければならない状況であるが、蛇に睨まれた蛙のように動く事が出来ない。
うわぁぁぁぁぁ。
やめろぉぉぉぉ。
うちの襟が、安杏里に捕まれた。
抵抗することなく捕獲されてしまったのだ。
うちを放り投げないでくれ。
ここはうちを連れて逃げるのがベストの選択やぞ。
スローモーションのように放り投げられる映像が見えていた。
「うちを投げるんじゃない!」
抗議した時は、既に上へ放り投げられた後の状態であった。
何て酷いことをするんだ。
つい先ほど、絶体絶命のピンチに助けに来てくれた安杏里が天使の姿に見えてしまった自身に腹がたつ。
人生をやり直しできるなら、その記憶を無かったことにしたい。
クソォォォ。あいつ絶対に魔王だろ。
高さ20m程度ある地下1階層の天井ギリギリまで放り投げられたそこから見る景色は、まさに地獄絵図であった。
とんでもない量の蜘蛛の大群が、商店街を埋め尽くし、安杏里を飲み込もうとしている。
このままやと、うちはあの蜘蛛の渦に飲み込まれて終わってしまうだろう。
いいだろう。どうせ死ぬんや。お望みどおり『ホーミング爆撃』を撃ちまくってやろう。
―――――――うちはSKILL『ホーミング爆撃』を無限に連射する!
宣言と同時に全長10cm程度のミサイルが数百単位の数ほど現れた。
何や、この数は!
安杏里に太陽炉を復活してもらい完全体になって行った課長戦では、同時に10個体までしか『ホーミングミサイル』を精製する事が出来なかったはず。
生命の危険を感じとり、かけられていたリミッターが外れたんやろうか。
これは、うちが覚醒したってことなんか!
安杏里に放り投げられてしもうた時は死を覚悟したが、覚醒した今のうちなら生き残れるかもしれんぞ。
そうや。
今のうちなら出来る!
数百単位にうごめく蜘蛛達へ『ホーミング爆撃』が自由落下していく。
あの大群を焼き尽くせぇぇ!
——————蜘蛛の大群へ着弾を開始した。
蜘蛛達がその熱に簡単に焼け焦げ灰になる姿が見えていた。
蜘蛛を焼き尽くす未来を確信した。
だが、同時に死も予感した。
凄まじい熱量の爆風が舞い上がり迫ってきていたのだ。
やばい、予想外や。
ちょっと考えれば分かった事やったけど、このままやと熱風で、機械人形のうちはオーバーヒートしてしまう。
襲ってくる爆風をそのまま受けても天井に全身を叩きつけられ、木っ端微塵や。
自分で撃ったホーミング爆撃の爆風で死んでしまうって、一番駄目なやつやろ。
10個体までしかホーミング爆撃を精製出来ないようにリミッターが掛けられていたのは、うち自身を守るためやったんか。
死を悟り情報処理能力が飛躍的に上がっているせいか、スローモーションで炎が迫ってくる姿が見える。
生き延びる事を放棄した時である。
――――――――――――うちを殺そうと舞い上がってくる炎がパックリと割れた。
炎が切断されたのだ。
今度は何が起きたんや。
視界の端に入っている安杏里が何かをしとようだ。
19種族の剣聖が音速の遠距離斬撃を繰り出し、炎を斬り裂いたってことなんか。
YES。YES。YES。
あの遠距離斬撃で爆風を斬り裂くって、お前、どれだけ強いねん!
涼しい顔をしているようやでど、お前にとってこれくらい朝飯前のお茶の子さいさいなんか。
最高過ぎるやろ!
斬撃の走る線上に炎が続いて伸びていく。
ほぉう。
熱エネルギーさえも斬撃により飛ばしてくれたわけか。
更に安杏里から同時とも思えるタイミングで遠距離斬撃が繰り出されており、地下1階層に火柱が無数に走っていた。
まさに神技とはこのことやな。
気がつくと体が自由落下し始めていた。
落下地点では蜘蛛の軍団が燃える景色が見える。
あそこに落ちたら不味くないか。
気が付くと、そのうちを安杏里が空中でキャッチし、お姫様抱っこをしてくれていた。
助かった。
「真里伊。蜘蛛を焼き尽くして頂き、まいどおおきにです。」
「その下手くそな物真似はやめろや。」
お前。ホンマにどこまでも非常識な存在なんやな。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~
しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。
それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること!
8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。
どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ!
「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」
かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。
しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。
「今度こそ、私が世界を救って見せる!」
失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!
剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。
イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。
小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる