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第41話 不死鳥の意思
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ここは要塞都市の衛星機能が集約された動力室。
体育館ほどある大きさのある密閉された空間の天井に大きなプロペラファンがまわり、壁にある照明が室内を昼間のように明るく照らしていた。
キングと差し違えるために特攻したフォルマルテは、上段から振り下ろされた刀で肩口から体を斬りさかれてしまい、戦いに敗北してしまった。
動力室の奥には、全身を真っ白なスーツに包んでいる悪魔の分身体が、顔を卑猥に歪め楽しそうに戦いを眺めており、テスタロッサは仰向けになり意識が朦朧としている様子のフォルマルテの両手を握りしめ、泣きながら名前を呼んでいた。
フォルマルテの傷の深さ、その出血量は、誰の目から見ても助かるようなものではない。
結果論となるが、フォルマルテの意志を尊重し仮面の侍と戦わせてしまったことに罪を感じる。
泣き叫ぶテスタロッサへ手を伸ばそうとした時である。
―――――――――――――突然、私の体から紅蓮の炎が舞い上がった。
SKILL不死鳥が発動したのだ。
不死鳥の炎とは、傷付いた時やステータスに異常が発生した際に発動するSKILLであるが、何かしらの攻撃を受けているような気配は感じられない。
一体、何がどうしてしまったのだろうか。
舞い上がった『不死鳥』の炎は更に勢いを増し、足元で床に仰向けになっているフォルマルテに向かって延びていく。
紅蓮の炎が自身の意思をもち、フォルマルテを再生しようとしているように見える。
何気なくかかえた疑問に対し、興味なさげにその辺を転がっていなミランダが、まわりの者には聞こえないように、念話にて新事実を伝えてきた。
『これは、不死鳥の意志だ。安杏里の想いに応え、フォルマルテを復活させようとしているようだ。』
『いきなり何ですか。その言い方だと、不死鳥のSKILLがまるで生きているみたいに聞こえるのですが、気のせいでしょうか。』
『うむ。その通り。奴は生命体だ。』
『何ですか。SKILLが生命体って、意味が分からないのですが。』
『奴は安杏里の命を守り続ける使命を持って生まれてきた私と同じ21種族だ。』
『マジですか。私のSKILL不死鳥が21種族だなんて。だが、言われてみれば、思い当たるふしがありました。』
『ほぉう。安杏里は、紅蓮の炎が21種族であることを察していたのか。』
『はい。最強美少女ヒロインは何でも有りという都市伝説があるじゃないですか。まさにそれが証明されたということですね。』
『うむ。斜め135度をいく答えを返してくるとは、さすが安杏里だな。念のために教えておいてやるが、一般的にいう最強美少女ヒロインは、実は最強でないのが定番だぞ。』
『すいません。その一般的な言葉の意味が分かりません。最強なのに最強でないって、話しの辻褄が合わなくないですか。』
『話しは最後まで聞くものだ。最強ヒロインとは必ず絶対絶命になるもので、何故かハーレム王に救われ、そして理由なくハーレム嬢の1人となり、やがて影の薄いキャラになりフェードアウトしていくのが定番なのだ。』
『それ、知っています。一般的にいう量産型ヒロインのことではありませんか。』
『そう。気分しだいでハーレム嬢のつくり過ぎには注意が必要ということだ。』
『それはそうと、ここまで話しを聞いてとても気になることがあるのですが伺ってもよろしいでしょうか。』
『うむ。どうせくだらない質問なのだろうか、一応聞いてやろう。』
『スーパーヒロインの近くにいるモフモフは、実は伝説の神獣であるという都市伝説があることをご存知でしょうか。』
『知っている。量産型のモフモフことだろ。それが量産型が一体どうしたというのだ。』
『いやなんですか。アルマジロの姿をしたミランダも、そのモフモフの枠に入っているのかという疑問が生まれたもので。』
『この私をその小さくまとまっているモフモフの枠に入れるんじゃない!』
『まぁ確かに、アルマジロはモフモフでないと言えば、そうでした。』
『安杏里。そんなどうでもいい事よりも、そろそろ仮面の侍の相手をしてやってはどうなんだ?』
『仮面の男の相手ですか。まぁそうですね。承知しました。悪魔の前にサクッと始末する提案には同意します。』
足元に目をやると、フォルマルテが不死鳥の炎の再生効果により劇的に回復していく様子が見て分かる。
寸前のところで息を吹き返したようだ。
テスタロッサは、紅蓮の炎がフォルマルテを包んだことに混乱していたものの、徐々に状況把握をしている様子で落ち着きを取り戻し始めていた。
そのタイミングで1人の少女が勢いよく動力室へ駆け込んできた。
—————————綺麗な桜のデザインが施された和服を着て腰に刀をぶら下げている女侍、ASである。
ASは動力室に飛び込んでくるなり仮面の男に向かって叫んだ。
「お義父さん。こんなところで何をしているの!」
ASの義父とは、11種族から千年戦争に参加をしている侍だ。
なるほど。
11種族の侍は、悪魔と同盟を結び私に挑むつもりなのかしら。
私の方としては、悪魔の力を得たとしても何ら依存はない。
雑魚は、どこまでいっても所詮雑魚なのだ。
鞘に収めた刀に手をかけて身構えている仮面の侍へ、ASは更に問い続けていた。
「お義父さん。なんでこんな場所で19種族の剣聖と戦おうとしているの。その仮面は何なの?」
ASの雰囲気からすると、仮面の侍が15種族と同盟を結び悪魔の力を分け与えられていることは知らないようだ。
そのASの問いに対して返事をしたのは、いつの間にかASの近くへ移動していた悪魔であった。
「お嬢さん。君の父君は剣聖と戦うために悪魔の力を欲したのだよ。」
「悪魔の力?」
「彼は、家族、11種族、持っているものを全て捨て、剣聖へ挑むつもりだ。」
「全てを捨てた…」
「あの仮面は死ぬまで外さないとも言っていたかな。」
「そんな理由のために、悪魔に魂をうるなんて…」
「剣聖と戦いたいという彼の決意を理解してあげるべきではないのかな。」
ASは唇を噛みしめ言葉を発しない。
悪魔は少女が苦しそうにしている姿を楽しんで見ている。
何にしても仮面の男との戦いは避けられない。
悪魔とこちらへ視線を送りながら警告してきた。
「剣聖・安杏里、分かっていると思うが、バエルを倒した遠距離斬撃『紫電一閃』は使用禁止だぞ。」
「承知しております。」
「さすがにあれを撃たれてしまっては、仮面の侍が全てを捨て悪魔の力により手に入れたSKILL『絶対距離』の効果も役にたたないだろうからな。」
「『絶対距離』とはあらゆる物理攻撃から一定の距離をとる効果だったかしら。」
「そうだ。大した自信のようだが、遠慮斬撃が封じられてしまった剣聖の物理攻撃は、決して仮面の侍に届くことはないはず。」
「私としては遠距離斬撃を使用しなくても全く問題ありません。」
「GREAT。その約束は必ず守ってもらうぞ。約束を違えたら、動力室の機械を全て破壊する。」
やれやれです。
だいぶん私は軽く見られているようだな。
体育館ほどある大きさのある密閉された空間の天井に大きなプロペラファンがまわり、壁にある照明が室内を昼間のように明るく照らしていた。
キングと差し違えるために特攻したフォルマルテは、上段から振り下ろされた刀で肩口から体を斬りさかれてしまい、戦いに敗北してしまった。
動力室の奥には、全身を真っ白なスーツに包んでいる悪魔の分身体が、顔を卑猥に歪め楽しそうに戦いを眺めており、テスタロッサは仰向けになり意識が朦朧としている様子のフォルマルテの両手を握りしめ、泣きながら名前を呼んでいた。
フォルマルテの傷の深さ、その出血量は、誰の目から見ても助かるようなものではない。
結果論となるが、フォルマルテの意志を尊重し仮面の侍と戦わせてしまったことに罪を感じる。
泣き叫ぶテスタロッサへ手を伸ばそうとした時である。
―――――――――――――突然、私の体から紅蓮の炎が舞い上がった。
SKILL不死鳥が発動したのだ。
不死鳥の炎とは、傷付いた時やステータスに異常が発生した際に発動するSKILLであるが、何かしらの攻撃を受けているような気配は感じられない。
一体、何がどうしてしまったのだろうか。
舞い上がった『不死鳥』の炎は更に勢いを増し、足元で床に仰向けになっているフォルマルテに向かって延びていく。
紅蓮の炎が自身の意思をもち、フォルマルテを再生しようとしているように見える。
何気なくかかえた疑問に対し、興味なさげにその辺を転がっていなミランダが、まわりの者には聞こえないように、念話にて新事実を伝えてきた。
『これは、不死鳥の意志だ。安杏里の想いに応え、フォルマルテを復活させようとしているようだ。』
『いきなり何ですか。その言い方だと、不死鳥のSKILLがまるで生きているみたいに聞こえるのですが、気のせいでしょうか。』
『うむ。その通り。奴は生命体だ。』
『何ですか。SKILLが生命体って、意味が分からないのですが。』
『奴は安杏里の命を守り続ける使命を持って生まれてきた私と同じ21種族だ。』
『マジですか。私のSKILL不死鳥が21種族だなんて。だが、言われてみれば、思い当たるふしがありました。』
『ほぉう。安杏里は、紅蓮の炎が21種族であることを察していたのか。』
『はい。最強美少女ヒロインは何でも有りという都市伝説があるじゃないですか。まさにそれが証明されたということですね。』
『うむ。斜め135度をいく答えを返してくるとは、さすが安杏里だな。念のために教えておいてやるが、一般的にいう最強美少女ヒロインは、実は最強でないのが定番だぞ。』
『すいません。その一般的な言葉の意味が分かりません。最強なのに最強でないって、話しの辻褄が合わなくないですか。』
『話しは最後まで聞くものだ。最強ヒロインとは必ず絶対絶命になるもので、何故かハーレム王に救われ、そして理由なくハーレム嬢の1人となり、やがて影の薄いキャラになりフェードアウトしていくのが定番なのだ。』
『それ、知っています。一般的にいう量産型ヒロインのことではありませんか。』
『そう。気分しだいでハーレム嬢のつくり過ぎには注意が必要ということだ。』
『それはそうと、ここまで話しを聞いてとても気になることがあるのですが伺ってもよろしいでしょうか。』
『うむ。どうせくだらない質問なのだろうか、一応聞いてやろう。』
『スーパーヒロインの近くにいるモフモフは、実は伝説の神獣であるという都市伝説があることをご存知でしょうか。』
『知っている。量産型のモフモフことだろ。それが量産型が一体どうしたというのだ。』
『いやなんですか。アルマジロの姿をしたミランダも、そのモフモフの枠に入っているのかという疑問が生まれたもので。』
『この私をその小さくまとまっているモフモフの枠に入れるんじゃない!』
『まぁ確かに、アルマジロはモフモフでないと言えば、そうでした。』
『安杏里。そんなどうでもいい事よりも、そろそろ仮面の侍の相手をしてやってはどうなんだ?』
『仮面の男の相手ですか。まぁそうですね。承知しました。悪魔の前にサクッと始末する提案には同意します。』
足元に目をやると、フォルマルテが不死鳥の炎の再生効果により劇的に回復していく様子が見て分かる。
寸前のところで息を吹き返したようだ。
テスタロッサは、紅蓮の炎がフォルマルテを包んだことに混乱していたものの、徐々に状況把握をしている様子で落ち着きを取り戻し始めていた。
そのタイミングで1人の少女が勢いよく動力室へ駆け込んできた。
—————————綺麗な桜のデザインが施された和服を着て腰に刀をぶら下げている女侍、ASである。
ASは動力室に飛び込んでくるなり仮面の男に向かって叫んだ。
「お義父さん。こんなところで何をしているの!」
ASの義父とは、11種族から千年戦争に参加をしている侍だ。
なるほど。
11種族の侍は、悪魔と同盟を結び私に挑むつもりなのかしら。
私の方としては、悪魔の力を得たとしても何ら依存はない。
雑魚は、どこまでいっても所詮雑魚なのだ。
鞘に収めた刀に手をかけて身構えている仮面の侍へ、ASは更に問い続けていた。
「お義父さん。なんでこんな場所で19種族の剣聖と戦おうとしているの。その仮面は何なの?」
ASの雰囲気からすると、仮面の侍が15種族と同盟を結び悪魔の力を分け与えられていることは知らないようだ。
そのASの問いに対して返事をしたのは、いつの間にかASの近くへ移動していた悪魔であった。
「お嬢さん。君の父君は剣聖と戦うために悪魔の力を欲したのだよ。」
「悪魔の力?」
「彼は、家族、11種族、持っているものを全て捨て、剣聖へ挑むつもりだ。」
「全てを捨てた…」
「あの仮面は死ぬまで外さないとも言っていたかな。」
「そんな理由のために、悪魔に魂をうるなんて…」
「剣聖と戦いたいという彼の決意を理解してあげるべきではないのかな。」
ASは唇を噛みしめ言葉を発しない。
悪魔は少女が苦しそうにしている姿を楽しんで見ている。
何にしても仮面の男との戦いは避けられない。
悪魔とこちらへ視線を送りながら警告してきた。
「剣聖・安杏里、分かっていると思うが、バエルを倒した遠距離斬撃『紫電一閃』は使用禁止だぞ。」
「承知しております。」
「さすがにあれを撃たれてしまっては、仮面の侍が全てを捨て悪魔の力により手に入れたSKILL『絶対距離』の効果も役にたたないだろうからな。」
「『絶対距離』とはあらゆる物理攻撃から一定の距離をとる効果だったかしら。」
「そうだ。大した自信のようだが、遠慮斬撃が封じられてしまった剣聖の物理攻撃は、決して仮面の侍に届くことはないはず。」
「私としては遠距離斬撃を使用しなくても全く問題ありません。」
「GREAT。その約束は必ず守ってもらうぞ。約束を違えたら、動力室の機械を全て破壊する。」
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だいぶん私は軽く見られているようだな。
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