30 / 142
第30話 鬼聖女とは
しおりを挟む
バスが外にいる魔物達に激しく揺らされ、車内はまるで荒波の中を航行する船に乗っているような状況になっていた。
車内にはでっぷり親父の運転手とナイスバディの山茶花が恐怖に体を震わせながら身を寄せ合い励ましあっている。
ガラス越しに外を見ると、砂漠の地下にあったサービスエリアの広い駐車場と向こうに間口の広い商業施設がある。
埃がない空間が遠くまで景色がクリアに見え、外からはバスを揺らしている魔物達の物騒な声が聞こえてくる。
≪おい、こら、出てこんか!≫
≪何をビビっとんねん!≫
≪いてこましてやるぞ!≫
バスを揺らしている魔物は、体長1mのサソリ型でC級相当。
その数は200個体程度おり、知能が高く団体戦を仕掛けてくる奴等だ。
以前、機械兵の世界を行く際に一掃した個体の生き残りである。
その時、神託が降りてきた。
サービスエリアに放置されている世界を滅ぼすことが出来る兵器を排除せよ。
YES_MY_GOD。
運転手とバスガイドの不倫現場をおさえて信仰心を稼ぐつもりであったが、重要度がどんでもなくかけ離れている神託が降りてきた。
『世界を滅ぼすことが出来る兵器』とやらを探すためには、バスを包囲しているサソリ型の魔物達が邪魔だ。
彼等にはここから退場願いましょう。
揺らされている車内を移動し出入口へ向かうと、その様子を見ていたバスガイドが慌てた様子で声を掛けてきた。
「三華月様。まさか外へ出るおつもりなのでしょうか?」
「はい。外にいる魔物達を一掃してきます。ご安心下さい。」
C級相当の魔物程度では、ダークマターに信仰心を編み込んでいる聖衣で武装している私に傷一つつけることは出来ない。
加えて、私がその程度の魔物ごときに遅れをとることは微塵もない。
私の言葉を聞き絶句しているバスガイドの横で震えていた運転手が、黄ばんだ歯をカキーンと見せながらキメ顔をつくり不快きわまりない言葉を言ってきた。
「女の子を危険にさらすわけには行きません。聖女さんが外に出る事は却下です。これも運転手の責任です。ご理解して下さい。」
言葉より先に足が出てしまった。
運転手を反射的『ゴン』と蹴とばしてしまっていたのだ。
悲鳴を上げながらバスの中を運転手が転がっていくと、バスガイドが心配して運転手の方へ駆け寄っていく。
力の加減を誤ってしまい思ったより強く蹴ってしまったが、清々しい気持ちになっていた。
後部座席で運転手がうずくまり絶叫しているが無視していても何ら問題ない。
サービスエリアの調査を行うためにバスの扉に手をかけた。
扉を開き外へ出ると、詰め寄ってきていたサソリ型の魔物達が、予想していなかった出来事に戸惑ったのだろうか、波が引くように間合いを空けるため一斉に後退をしていく。
一瞬静まったものの、取り囲んでいる200個体超えのサソリ型達が一斉に情報交換を開始する声が聞こえてきた。
≪突然、乗り物から出てきて驚いたぜ。≫
≪一応、警戒して、遠距離からの攻撃を仕掛けるべきだろう。≫
≪用心するには越した事がないぞ。≫
≪ここは包囲陣形を保ちつつ、ゆっくり間合いを詰めていってもいいんじゃないか。≫
統率がよくとれ、効果的な集団戦を仕掛けてくる魔物ではあるが、私からすると雑魚に変わりない。
このサービスエリアは古代人がつくった迷宮ではないようだし、つまり過度な戦闘行為をしてしまうと、この空間は崩れてしまうだろう。
面倒ではあるがサソリ型200個体は、1個体ずつ丁寧に仕留めさせてもらいましょう。
――――――――連射モードで運命の弓を召喚します。
戦闘体勢を取り始めていたサソリ型の魔物達の動きが、ピタリと止まった。
急に静まり返りましたが、どうされたのでしょうか。
サソリ型の魔物達があきらかに動揺している。
≪おい、みんな、ちょっと待て。≫
≪見覚えあるというか、忘れるはずないぜ。≫
≪ヤバイぞ。あれは。≫
≪鬼聖女じゃないか!≫
「鬼聖女って誰の事ですか?」
サソリ型の魔物達が交わしている話しに思わず割り込んでしまったが反応が無い。
フリーズし、凝視され、沈黙が流れ、無駄な時間が過ぎていく。
残務処理をするような気分で、まったく前向きにはなれないが、サクッとやる事を終わらせることにしましょう。
――――――それでは運命の矢のリロードを開始します。
静まっていたサソリ達が、我に返ったように騒ぎ始めた。
≪間違いない、鬼聖女だ。≫
≪私達を追いかけてきたんだ!≫
≪逃げろぉぉぉ≫
≪各自散開して、地上で合流するぞ。≫
包囲網の輪が一斉に広がっていく。
地鳴りが共鳴し、クリアだった空気に粉塵が舞い上がっている。
波が引くとはこのことだな。
そう言えば、鬼聖女って誰の事なのか聞きそびれてしまった。
鳴り響いていた反響音がおさまると、サービスエリア内は再び静寂を取り戻していた。
さて、世界を滅ぼすことができる兵器とやらは、一体どこにあるのかしら。
一つ一つ調べていくしかない。
気が付くと、安全である事を認識した運転手とバスガイドが、バスを降りサービスエリア内を物色している姿があった。
◇
世界を滅ぼす兵器の捜索を開始していると、2人は呑気にサービスエリア内を楽しみ始めていた。
バスガイドがテーブルに座り見つけてきたお茶を沸かして優雅にお茶を飲んでいる。
運転手からはトレジャーハンターみたいなセリフが聞こえてくる。
「なんじゃこれは。これって、お宝なのか。お宝を見つけたぞ。昇進じゃ、昇進するぞ!」
「五位堂さん、おめでとうございます。真面目に働いてきた事を神様は見ていてくれたのですよ。」
「山茶花さん、おおきに。あんたにも苦労をかけさせたな。」
何かを見つけたことは分かるが、今、運転手がおかしな言葉を言っていたぞ。
絶対に、既婚者の男と、独身の女が交わすような会話ではなかった。
だが、今はバカップルに構っている余裕はない。
運転手が嬉しそうに放置していた台車に、発見したお宝を乗せてバスに積み込もうとしている。
――――――台車に乗せているその物体に『核融合炉』という文字が書いてあるのが見えた。
「それだわ!」
「何ですか?」
戸惑う運転手の親父を蹴り飛ばし、その核融合炉を触ると可動している事を確認した。
これが誤爆してしまったら、巻き上がった粉塵が何百年単位で太陽の光を覆い隠し、地上世界には月の光も届かなくなる。
そして、放射能汚染で私以外の生物は死滅してしまうだろう。
台車に乗せ雑にあつかう代物ではない。
状態を確認すると、核融合炉は稼働し続けている。
『世界を滅ぼす兵器を排除せよ』と神託は降りてきた。
つまりこれを停止しなければならないということなのかしら。
気が付くと、向こうの壁まで転がっていた運転手がゾンビのように起き上がり、酔っ払いみたいにフラフラ歩いてきていた。
「聖女さん。それは、ワテが見つけた物ですよ。」
まだ立ち向かってくるだけの気力がありのか。
執念深い。不快だ。
死なない程度に加減をしながらもう一度蹴り飛ばすと、先ほどと全く同じ光景のように運転手が転がっていく。
しばらくそこでじっとしていて下さい。
それでは核融合炉を停止させて頂います。
核融合炉の文字が書かれている箱に手をあてた。
――――――――――『SKILL_VIRUS』を発動。
核融合が停止した手応えが伝わってくる。
だが…。
核融合が完全に沈黙するには100年以上はかかるようだ。
神託が完了したお告げも降りてこないか。
今の私にできることはここまで。
この格融合炉は、サービスエリアごと砂に埋めておきましょう。
信仰心の獲得は100年間を気長に待つしかない。
気が付くと、頭に包帯を巻いた運転手が再び何かを物色を開始し、バスガイドはお土産という箱からデザートを広げている。
このままだと、2人はサービスエリアに住み着いてしまいそうだな。
車内にはでっぷり親父の運転手とナイスバディの山茶花が恐怖に体を震わせながら身を寄せ合い励ましあっている。
ガラス越しに外を見ると、砂漠の地下にあったサービスエリアの広い駐車場と向こうに間口の広い商業施設がある。
埃がない空間が遠くまで景色がクリアに見え、外からはバスを揺らしている魔物達の物騒な声が聞こえてくる。
≪おい、こら、出てこんか!≫
≪何をビビっとんねん!≫
≪いてこましてやるぞ!≫
バスを揺らしている魔物は、体長1mのサソリ型でC級相当。
その数は200個体程度おり、知能が高く団体戦を仕掛けてくる奴等だ。
以前、機械兵の世界を行く際に一掃した個体の生き残りである。
その時、神託が降りてきた。
サービスエリアに放置されている世界を滅ぼすことが出来る兵器を排除せよ。
YES_MY_GOD。
運転手とバスガイドの不倫現場をおさえて信仰心を稼ぐつもりであったが、重要度がどんでもなくかけ離れている神託が降りてきた。
『世界を滅ぼすことが出来る兵器』とやらを探すためには、バスを包囲しているサソリ型の魔物達が邪魔だ。
彼等にはここから退場願いましょう。
揺らされている車内を移動し出入口へ向かうと、その様子を見ていたバスガイドが慌てた様子で声を掛けてきた。
「三華月様。まさか外へ出るおつもりなのでしょうか?」
「はい。外にいる魔物達を一掃してきます。ご安心下さい。」
C級相当の魔物程度では、ダークマターに信仰心を編み込んでいる聖衣で武装している私に傷一つつけることは出来ない。
加えて、私がその程度の魔物ごときに遅れをとることは微塵もない。
私の言葉を聞き絶句しているバスガイドの横で震えていた運転手が、黄ばんだ歯をカキーンと見せながらキメ顔をつくり不快きわまりない言葉を言ってきた。
「女の子を危険にさらすわけには行きません。聖女さんが外に出る事は却下です。これも運転手の責任です。ご理解して下さい。」
言葉より先に足が出てしまった。
運転手を反射的『ゴン』と蹴とばしてしまっていたのだ。
悲鳴を上げながらバスの中を運転手が転がっていくと、バスガイドが心配して運転手の方へ駆け寄っていく。
力の加減を誤ってしまい思ったより強く蹴ってしまったが、清々しい気持ちになっていた。
後部座席で運転手がうずくまり絶叫しているが無視していても何ら問題ない。
サービスエリアの調査を行うためにバスの扉に手をかけた。
扉を開き外へ出ると、詰め寄ってきていたサソリ型の魔物達が、予想していなかった出来事に戸惑ったのだろうか、波が引くように間合いを空けるため一斉に後退をしていく。
一瞬静まったものの、取り囲んでいる200個体超えのサソリ型達が一斉に情報交換を開始する声が聞こえてきた。
≪突然、乗り物から出てきて驚いたぜ。≫
≪一応、警戒して、遠距離からの攻撃を仕掛けるべきだろう。≫
≪用心するには越した事がないぞ。≫
≪ここは包囲陣形を保ちつつ、ゆっくり間合いを詰めていってもいいんじゃないか。≫
統率がよくとれ、効果的な集団戦を仕掛けてくる魔物ではあるが、私からすると雑魚に変わりない。
このサービスエリアは古代人がつくった迷宮ではないようだし、つまり過度な戦闘行為をしてしまうと、この空間は崩れてしまうだろう。
面倒ではあるがサソリ型200個体は、1個体ずつ丁寧に仕留めさせてもらいましょう。
――――――――連射モードで運命の弓を召喚します。
戦闘体勢を取り始めていたサソリ型の魔物達の動きが、ピタリと止まった。
急に静まり返りましたが、どうされたのでしょうか。
サソリ型の魔物達があきらかに動揺している。
≪おい、みんな、ちょっと待て。≫
≪見覚えあるというか、忘れるはずないぜ。≫
≪ヤバイぞ。あれは。≫
≪鬼聖女じゃないか!≫
「鬼聖女って誰の事ですか?」
サソリ型の魔物達が交わしている話しに思わず割り込んでしまったが反応が無い。
フリーズし、凝視され、沈黙が流れ、無駄な時間が過ぎていく。
残務処理をするような気分で、まったく前向きにはなれないが、サクッとやる事を終わらせることにしましょう。
――――――それでは運命の矢のリロードを開始します。
静まっていたサソリ達が、我に返ったように騒ぎ始めた。
≪間違いない、鬼聖女だ。≫
≪私達を追いかけてきたんだ!≫
≪逃げろぉぉぉ≫
≪各自散開して、地上で合流するぞ。≫
包囲網の輪が一斉に広がっていく。
地鳴りが共鳴し、クリアだった空気に粉塵が舞い上がっている。
波が引くとはこのことだな。
そう言えば、鬼聖女って誰の事なのか聞きそびれてしまった。
鳴り響いていた反響音がおさまると、サービスエリア内は再び静寂を取り戻していた。
さて、世界を滅ぼすことができる兵器とやらは、一体どこにあるのかしら。
一つ一つ調べていくしかない。
気が付くと、安全である事を認識した運転手とバスガイドが、バスを降りサービスエリア内を物色している姿があった。
◇
世界を滅ぼす兵器の捜索を開始していると、2人は呑気にサービスエリア内を楽しみ始めていた。
バスガイドがテーブルに座り見つけてきたお茶を沸かして優雅にお茶を飲んでいる。
運転手からはトレジャーハンターみたいなセリフが聞こえてくる。
「なんじゃこれは。これって、お宝なのか。お宝を見つけたぞ。昇進じゃ、昇進するぞ!」
「五位堂さん、おめでとうございます。真面目に働いてきた事を神様は見ていてくれたのですよ。」
「山茶花さん、おおきに。あんたにも苦労をかけさせたな。」
何かを見つけたことは分かるが、今、運転手がおかしな言葉を言っていたぞ。
絶対に、既婚者の男と、独身の女が交わすような会話ではなかった。
だが、今はバカップルに構っている余裕はない。
運転手が嬉しそうに放置していた台車に、発見したお宝を乗せてバスに積み込もうとしている。
――――――台車に乗せているその物体に『核融合炉』という文字が書いてあるのが見えた。
「それだわ!」
「何ですか?」
戸惑う運転手の親父を蹴り飛ばし、その核融合炉を触ると可動している事を確認した。
これが誤爆してしまったら、巻き上がった粉塵が何百年単位で太陽の光を覆い隠し、地上世界には月の光も届かなくなる。
そして、放射能汚染で私以外の生物は死滅してしまうだろう。
台車に乗せ雑にあつかう代物ではない。
状態を確認すると、核融合炉は稼働し続けている。
『世界を滅ぼす兵器を排除せよ』と神託は降りてきた。
つまりこれを停止しなければならないということなのかしら。
気が付くと、向こうの壁まで転がっていた運転手がゾンビのように起き上がり、酔っ払いみたいにフラフラ歩いてきていた。
「聖女さん。それは、ワテが見つけた物ですよ。」
まだ立ち向かってくるだけの気力がありのか。
執念深い。不快だ。
死なない程度に加減をしながらもう一度蹴り飛ばすと、先ほどと全く同じ光景のように運転手が転がっていく。
しばらくそこでじっとしていて下さい。
それでは核融合炉を停止させて頂います。
核融合炉の文字が書かれている箱に手をあてた。
――――――――――『SKILL_VIRUS』を発動。
核融合が停止した手応えが伝わってくる。
だが…。
核融合が完全に沈黙するには100年以上はかかるようだ。
神託が完了したお告げも降りてこないか。
今の私にできることはここまで。
この格融合炉は、サービスエリアごと砂に埋めておきましょう。
信仰心の獲得は100年間を気長に待つしかない。
気が付くと、頭に包帯を巻いた運転手が再び何かを物色を開始し、バスガイドはお土産という箱からデザートを広げている。
このままだと、2人はサービスエリアに住み着いてしまいそうだな。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
領民の幸福度がガチャポイント!? 借金まみれの辺境を立て直す【領地ガチャ】が最強すぎた!内政でUR「温泉郷」と「聖獣」を引き当てて…
namisan
ファンタジー
「役立たず」と中央から追放された没落貴族の俺、アルト・フォン・クライナー。継いだのは、借金まみれで作物も育たない見捨てられた辺境領地だけだった。
絶望する俺に発現したスキルは【領地ガチャ】。それは、領民の「幸福度」をポイントとして消費し、領地発展に必要なものを引き当てる唯一無二の能力だった。
「領民を幸せにすれば、領地も豊かになる!」
俺は領民と共に汗を流し、壊れた水路を直し、地道に幸福度を稼ぐ。
『N:ジャガイモの種』『R:土木技術書』
地味だが確実な「当たり」で、ほのぼのと領地を再建していく。
だが、ある日。溜め込んだ幸福度で引いたガチャが、俺の運命を激変させる。
『UR(ウルトラレア):万病に効く【奇跡の温泉郷】』
この「当たり」が、中央の腐敗した貴族たちの欲望を刺激した。
借金のカタに領地を狙う大商会の令嬢。
温泉利権を奪うため、父の命で派遣されてきた元婚約者の侯爵令嬢。
「領民の幸福(ガチャポイント)を脅かす者は、誰であっても許さない」
これは、ただ平穏に暮らしたかっただけの俺が、ガチャで得た力(と証拠とゴーレムと聖獣)を駆使し、ほのぼの領地を守り抜き、いつの間にか最強の領主として成り上がっていく物語。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる