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第123話 見当違いな方へなだめている
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都市が繁栄し一定の条件をクリアすると、時空の狭間に商業ギルドが生まれてくる。
管理運営する迷宮主の手腕が、その都市の発展に大きく影響するのだ。
近海から魚が捕れなくなり食料不足に陥ってしまった七武列島は、海賊船の影響でここに訪れる商人の姿が消えてしまった。
繁栄を極めていた商業ギルドは、見る影もなく寂れてしまっていたのである。
半円形状に真っ直ぐ伸びる迷宮内には、道路を挟んで100軒以上の店舗が並んでいた。
亜弐羅を岩盤へ叩きつけた衝撃による揺れは収まり、迷宮内は静かな世界へ戻っている。
ダメージが抜けきっていない少女は気絶から目を覚まし、少年神官に介抱されていた。
安全第一と書かれた黄色いヘルメットをかぶりスコップを突き立てている土竜は、動向を見守っている。
さて亜弐羅の処遇についてであるが、私へ容赦のない攻撃を仕掛け、ドス黒い感情を曝け出してきた状況を考えると、これまでに多くの罪を重ねてきたのだろう。
このまま開放するわけにもいかないところか。
「亜弐羅については、このまま放置しておくわけにもいかないでしょう。とりあえず、『無限回廊』送りにでもしておきましょうか。」
無限回廊とは、その名のとおり回廊が無限に続く空間で、死刑よりも重い罪とされていた。
世界から切り離された場所にあり、二度と地上世界に戻ることが出来ないと言われている。
亜弐羅は無限回廊送りという言葉を聞いて目を見開き、体を震わせた。
少年神官は慌てた様子で刑が重すぎると抗議を入れてきた。
「三華月様。無限回廊送りって、罪が重過ぎませんか。そもそも亜弐羅ちゃんは、悪い奴等に精神を操られているんです。罪の再考をお願いします。」
121話で、亜弐羅が何者かに精神を操られている疑いがあるという土竜と交わしている会話は聞こえていたが、その話しが、いつの間にか確定事項な話しに変わっているのは何故なのだ。
とはいうものの、精神を操られている可能性はあるのも事実。
物事を真っ直ぐみることが出来ない少年神官からの言葉ではあるが、無視するわけにもいかないか。
どうしたものかと思い悩み始めていると、土竜が解決案みたいなものを提示してきた。
「三華月様。参賢者の一角であるペンギン様の『ジャッジメント』にて、亜弐羅の犯した罪の重さを推し量ってみてはいかがでしょうか。」
「なるほど。ジャッジメントですか。」
「廉廉君の言うとおり、何者かに精神を操られているのなら、彼女は無罪になるはず。」
『ジャジメント』とは、公正名大に罪の重さを推し量ることができる。
土竜からの提案は真っ当なものだと言えるだろう。
ペンギンは七武列島首都の港にいるはず。
亜弐羅の処遇はペンギンに任せ、私は先を急ぐことに致しましょう。
やりとりを聞いていた亜弐羅が、どす黒い感情を隠すことなく毒づいてきた。
「おい聖女。私に酷いことをしたら、伐折羅から仕返しをされるぞ!」
言葉とは裏腹にその表情からは怯えが感じられる。
目一杯の虚勢を張っているのだろう。
少女の話しのとおり、伐折羅が仕返しをするためにこちらへ出向いてくれるのならば、私にとって好都合。
探す手間も省けるしな。
是非、仕返しをやりに来てほしい。
亜弐羅からの言葉に、何故か少年神官が敏感に反応し、苛立った様子で、少女と意味不明な会話が開始された。
「亜弐羅ちゃん。ちょっと待ってくれよ。」
「いきなり、何だ。お前と話すことなど私にはない。」
「だから、どうしてここで伐折羅提督の話しが出てくるんだよ。」
「お前、一体何を言っているんだ。」
「今、亜弐羅ちゃんのために体を張って、三華月様へ交渉しているのは伐折羅提督じゃない。僕が頑張っているんだよ。」
「お前、いい加減にしろよ!」
「だから、僕を頼りにしてくれと言っているんだ!」
「そもそもお前は、その聖女の部下なんだろ。」
「違う。誤解だ。僕を信じてくれ。三華月様は、逆らうことが出来ない存在なんだ。」
「その聖女。少しだけ可愛いだけだろうが!」
少女に言葉を叩き付けられた神官少年が落ち込んでいる。
少しだけ可愛いだけなのか。
嫌味を言われたからといって、信仰心に影響があるわけのなく、私とってはどうでもいい。
説得に失敗し、苛立ちを隠せない少年神官の背中を、土竜がポンポン叩きながら見当違いな方向へなだめ始めた。
「簾簾君。男女の関係になると情が湧くというじゃないですか。」
「男女の関係だと。」
「はい。亜弐羅が伐折羅提督を頼りにするのは、仕方がないんじゃないですか。」
「土竜君。誰と誰が男女の関係であると言っているんだ!」
「亜弐羅と伐折羅提督ですよ。」
「何で亜弐羅ちゃんと伐折羅提督が肉体関係だと言えるんだ。証拠はあるのかよ。」
「証拠ですか。もちろんありますよ。」
「本当なのか。話しを聞かせてくれ。」
「売れないアイドルがのし上がる為には、枕営業をするのが業界の常識じゃないですか。」
「聞いたことがあるぞ。それって、本当の話しなのかよ。」
「もちろん本当です。」
「本当に亜弐羅ちゃんが、枕営業をしていたのかよ。」
「伐折羅のことをダーリンと呼んでいました。廉廉君も聞いていたでしょ。2人が男女の関係なのは確定的です!」
「アイドルに恋愛はご法度なんだ…」
少年神官が、力無く崩れ落ちていく。
土竜の言葉は、支離滅裂というか話しの筋がとおっていない。
ダーリンと呼んだだけで、肉体関係が確定し、枕営業をしているとは、一体どういう理屈なのだよ。
会話を聞いている亜弐羅も呆れている。
その時である。
一瞬、押し黙ってしまってしまった少年神官が、土竜に対し爆弾発言をかましてきた。
「古参ファンである僕にもその権利があるんじゃないのか!」
「何の権利があると言うのですか。」
「それは…」
「簾簾君。君は、古参ファンも枕営業を受ける権利があると言っているんですか!」
「土竜君。僕達とアイドルの間には約束事があるんだ。」
「約束事ですか。」
「アイドルは恋愛禁止なんだ。押しのアイドルを応援する対価として、僕達には妄想恋愛をする権利があるんだ。」
「約束事を破ったとはいえ、推しのアイドルに枕営業を強要するのは不謹慎ではないでしょうか。」
少年神官が泣いていた。
とはいうものの、土竜の言葉は間違っていない。
自分にも枕営業を受ける権利があると考えた少年神官が、うんこ野郎なのだ。
亜弐羅から少年神官へ送られる視線が汚いものを見るような感じに変わっている。
親友が泣き崩れていく姿を見た土竜が、謎のアドバイスを送り始めた。
「簾簾君。解決案として、制作側のプロヂューサーを目指してみてはどうでしょうか。」
土竜は、枕営業を受ける側の立場になれと言っているのだろう。
まったく、やれやれです。
とにかく、亜弐羅のペンギンの元へ連れていかなければならない。
私には神託に従い七武列島の周辺海域から魚がとれなくなってしまった問題を解決する使命がある。
消去法となるが、少女の護送は少年神官にお願いするしかないか。
「少年神官にお願いしたいことがあります。」
「僕ですか。見てのとおり僕は廃人の抜け殻状態になってしまいましたが、三華月様からの言葉を聞かない選択肢はないので、話しを伺います。」
「あなたには、港に停泊しております帝国旗艦ポラリスまで、亜弐羅を連行願います。」
「はい。承知致しました。亜弐羅をペンギン様の元へ連行します。」
私からのお願いに抵抗してくるものと予測していたが、あっさり引き受けられてしまった。
興奮していた少年神官から表情が消えている。
神聖職に仕える者ならば、私との約束を絶対に違えることはないのであるが、少年神官のことが今一つ信頼できない。
亜弐羅を逃がすのではないかという一抹の不安があるのだ。
念のためにといった感じで、少年神官の気持ちを確かめることにした。
「簾簾にとって、辛いお願いをしてしまいましたが、よろしくお願いします。」
「え。僕にとって辛いお願いとは何ですか?」
「あなたの押しのアイドルが無限回廊送りになるかもしれないお手伝いのことです。」
「全く問題ありません。三華月様のおかげで僕は目が覚めました。」
「目が覚めたのですか?」
「はい。亜弐羅なんですが、近くで見ると目も少し離れていますし、三華月様の可愛さには遠く及んでいないなと、理解認識しました。」
「そうですか。」
「どうして僕は亜弍羅のファンなんかをしていたのか、不思議でなりません。」
「私はあなたのその態度が不思議です。」
「三華月様からの命令以上に重いものはありませんし、迷いなど一切ありません。」
目覚めても、うんこ野郎であることは変わりないようだな。
管理運営する迷宮主の手腕が、その都市の発展に大きく影響するのだ。
近海から魚が捕れなくなり食料不足に陥ってしまった七武列島は、海賊船の影響でここに訪れる商人の姿が消えてしまった。
繁栄を極めていた商業ギルドは、見る影もなく寂れてしまっていたのである。
半円形状に真っ直ぐ伸びる迷宮内には、道路を挟んで100軒以上の店舗が並んでいた。
亜弐羅を岩盤へ叩きつけた衝撃による揺れは収まり、迷宮内は静かな世界へ戻っている。
ダメージが抜けきっていない少女は気絶から目を覚まし、少年神官に介抱されていた。
安全第一と書かれた黄色いヘルメットをかぶりスコップを突き立てている土竜は、動向を見守っている。
さて亜弐羅の処遇についてであるが、私へ容赦のない攻撃を仕掛け、ドス黒い感情を曝け出してきた状況を考えると、これまでに多くの罪を重ねてきたのだろう。
このまま開放するわけにもいかないところか。
「亜弐羅については、このまま放置しておくわけにもいかないでしょう。とりあえず、『無限回廊』送りにでもしておきましょうか。」
無限回廊とは、その名のとおり回廊が無限に続く空間で、死刑よりも重い罪とされていた。
世界から切り離された場所にあり、二度と地上世界に戻ることが出来ないと言われている。
亜弐羅は無限回廊送りという言葉を聞いて目を見開き、体を震わせた。
少年神官は慌てた様子で刑が重すぎると抗議を入れてきた。
「三華月様。無限回廊送りって、罪が重過ぎませんか。そもそも亜弐羅ちゃんは、悪い奴等に精神を操られているんです。罪の再考をお願いします。」
121話で、亜弐羅が何者かに精神を操られている疑いがあるという土竜と交わしている会話は聞こえていたが、その話しが、いつの間にか確定事項な話しに変わっているのは何故なのだ。
とはいうものの、精神を操られている可能性はあるのも事実。
物事を真っ直ぐみることが出来ない少年神官からの言葉ではあるが、無視するわけにもいかないか。
どうしたものかと思い悩み始めていると、土竜が解決案みたいなものを提示してきた。
「三華月様。参賢者の一角であるペンギン様の『ジャッジメント』にて、亜弐羅の犯した罪の重さを推し量ってみてはいかがでしょうか。」
「なるほど。ジャッジメントですか。」
「廉廉君の言うとおり、何者かに精神を操られているのなら、彼女は無罪になるはず。」
『ジャジメント』とは、公正名大に罪の重さを推し量ることができる。
土竜からの提案は真っ当なものだと言えるだろう。
ペンギンは七武列島首都の港にいるはず。
亜弐羅の処遇はペンギンに任せ、私は先を急ぐことに致しましょう。
やりとりを聞いていた亜弐羅が、どす黒い感情を隠すことなく毒づいてきた。
「おい聖女。私に酷いことをしたら、伐折羅から仕返しをされるぞ!」
言葉とは裏腹にその表情からは怯えが感じられる。
目一杯の虚勢を張っているのだろう。
少女の話しのとおり、伐折羅が仕返しをするためにこちらへ出向いてくれるのならば、私にとって好都合。
探す手間も省けるしな。
是非、仕返しをやりに来てほしい。
亜弐羅からの言葉に、何故か少年神官が敏感に反応し、苛立った様子で、少女と意味不明な会話が開始された。
「亜弐羅ちゃん。ちょっと待ってくれよ。」
「いきなり、何だ。お前と話すことなど私にはない。」
「だから、どうしてここで伐折羅提督の話しが出てくるんだよ。」
「お前、一体何を言っているんだ。」
「今、亜弐羅ちゃんのために体を張って、三華月様へ交渉しているのは伐折羅提督じゃない。僕が頑張っているんだよ。」
「お前、いい加減にしろよ!」
「だから、僕を頼りにしてくれと言っているんだ!」
「そもそもお前は、その聖女の部下なんだろ。」
「違う。誤解だ。僕を信じてくれ。三華月様は、逆らうことが出来ない存在なんだ。」
「その聖女。少しだけ可愛いだけだろうが!」
少女に言葉を叩き付けられた神官少年が落ち込んでいる。
少しだけ可愛いだけなのか。
嫌味を言われたからといって、信仰心に影響があるわけのなく、私とってはどうでもいい。
説得に失敗し、苛立ちを隠せない少年神官の背中を、土竜がポンポン叩きながら見当違いな方向へなだめ始めた。
「簾簾君。男女の関係になると情が湧くというじゃないですか。」
「男女の関係だと。」
「はい。亜弐羅が伐折羅提督を頼りにするのは、仕方がないんじゃないですか。」
「土竜君。誰と誰が男女の関係であると言っているんだ!」
「亜弐羅と伐折羅提督ですよ。」
「何で亜弐羅ちゃんと伐折羅提督が肉体関係だと言えるんだ。証拠はあるのかよ。」
「証拠ですか。もちろんありますよ。」
「本当なのか。話しを聞かせてくれ。」
「売れないアイドルがのし上がる為には、枕営業をするのが業界の常識じゃないですか。」
「聞いたことがあるぞ。それって、本当の話しなのかよ。」
「もちろん本当です。」
「本当に亜弐羅ちゃんが、枕営業をしていたのかよ。」
「伐折羅のことをダーリンと呼んでいました。廉廉君も聞いていたでしょ。2人が男女の関係なのは確定的です!」
「アイドルに恋愛はご法度なんだ…」
少年神官が、力無く崩れ落ちていく。
土竜の言葉は、支離滅裂というか話しの筋がとおっていない。
ダーリンと呼んだだけで、肉体関係が確定し、枕営業をしているとは、一体どういう理屈なのだよ。
会話を聞いている亜弐羅も呆れている。
その時である。
一瞬、押し黙ってしまってしまった少年神官が、土竜に対し爆弾発言をかましてきた。
「古参ファンである僕にもその権利があるんじゃないのか!」
「何の権利があると言うのですか。」
「それは…」
「簾簾君。君は、古参ファンも枕営業を受ける権利があると言っているんですか!」
「土竜君。僕達とアイドルの間には約束事があるんだ。」
「約束事ですか。」
「アイドルは恋愛禁止なんだ。押しのアイドルを応援する対価として、僕達には妄想恋愛をする権利があるんだ。」
「約束事を破ったとはいえ、推しのアイドルに枕営業を強要するのは不謹慎ではないでしょうか。」
少年神官が泣いていた。
とはいうものの、土竜の言葉は間違っていない。
自分にも枕営業を受ける権利があると考えた少年神官が、うんこ野郎なのだ。
亜弐羅から少年神官へ送られる視線が汚いものを見るような感じに変わっている。
親友が泣き崩れていく姿を見た土竜が、謎のアドバイスを送り始めた。
「簾簾君。解決案として、制作側のプロヂューサーを目指してみてはどうでしょうか。」
土竜は、枕営業を受ける側の立場になれと言っているのだろう。
まったく、やれやれです。
とにかく、亜弐羅のペンギンの元へ連れていかなければならない。
私には神託に従い七武列島の周辺海域から魚がとれなくなってしまった問題を解決する使命がある。
消去法となるが、少女の護送は少年神官にお願いするしかないか。
「少年神官にお願いしたいことがあります。」
「僕ですか。見てのとおり僕は廃人の抜け殻状態になってしまいましたが、三華月様からの言葉を聞かない選択肢はないので、話しを伺います。」
「あなたには、港に停泊しております帝国旗艦ポラリスまで、亜弐羅を連行願います。」
「はい。承知致しました。亜弐羅をペンギン様の元へ連行します。」
私からのお願いに抵抗してくるものと予測していたが、あっさり引き受けられてしまった。
興奮していた少年神官から表情が消えている。
神聖職に仕える者ならば、私との約束を絶対に違えることはないのであるが、少年神官のことが今一つ信頼できない。
亜弐羅を逃がすのではないかという一抹の不安があるのだ。
念のためにといった感じで、少年神官の気持ちを確かめることにした。
「簾簾にとって、辛いお願いをしてしまいましたが、よろしくお願いします。」
「え。僕にとって辛いお願いとは何ですか?」
「あなたの押しのアイドルが無限回廊送りになるかもしれないお手伝いのことです。」
「全く問題ありません。三華月様のおかげで僕は目が覚めました。」
「目が覚めたのですか?」
「はい。亜弐羅なんですが、近くで見ると目も少し離れていますし、三華月様の可愛さには遠く及んでいないなと、理解認識しました。」
「そうですか。」
「どうして僕は亜弍羅のファンなんかをしていたのか、不思議でなりません。」
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