にわか雨

ぬるあまい

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本編その後(番外編)

晴れ時々雨≪前編≫R-15

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雷君は最近ずっと俺の家で暮らしている。一秒でも長く雷君と一緒に居られるようになって幸せだ。
あ、だけど。寝るときは別々の部屋で寝ていたりする。以前に「順平と同じ部屋で寝るとか興奮するな…」とボソリと呟いた雷君の台詞を妹は聞き逃さなかったようで、一緒の部屋で寝ることは禁止された。
雷君は今でさえもムスッとして納得していないようだけど、俺はというと実は反対にホッとしていたりする。
……だって、恥ずかしいから。雷君が同じ空間に居るっていうことにドキドキして上手く寝れない思う。

「………」

そんな幸せ絶頂期な俺だけど、実はというと密かな悩みがある。

「順平、辛くないか?」
「は、はいっ」

それは。まさに今の状態のことだ。
恥ずかしくて、嬉しくて、だけど緊張して、心臓が破裂しちゃいそうで苦しい。
雷君が家に泊まるようになってからは一緒に電車通学をしている。降りる場所が一駅しか違わないからこうやって一緒に登校出来るのだ。

そして今はというと通勤ラッシュ時。
人が多いこの時間帯。俺がもみくちゃにされないように、雷君はいつも俺を守ってくれている。向き合うように俺を壁に寄りかからせ、丁度俺の顔の横に両手を置きバリケードを作るかのようにして守ってくれているのだ。

「…あの、」
「どうした?苦しいか?」
「い、いえ、雷君のお陰で大丈夫です」
「そうか。それなら良かった」
「でも…雷君が辛くないですか?」

俺だって今まで一人で電車登校してきたんだ。人に押されるのがどれだけ辛いのかは身を持って知っている。しかも雷君は俺を守るために余計に辛い思いをしているはずだ。足だけではなく、腕も辛いと思う。

「俺は大丈夫ですから…」
「今まで辛い思いをしている順平を遠くから見ることしか出来なかったんだ。…順平を守ってやる特権くらい得てもいいだろ?」

恋人なんだから。
…雷君は続けてそう言った。

「……っ、」

囁く様な甘い低い声が俺の耳をくすぐる。そんなことを言われたらもう何も言えやしない。というか先程の台詞から察するに、雷君は今まで同じ車両に乗っていたのだろうか。俺、全然気付かなかった…っ。

…と、そこで一際強く電車が揺れた。それと同時に大勢の人が傾く。それは雷君も同様。
俺は雷君のお陰で何ともなかったけれど、雷君はこちらに向かって少しだけ身体を倒した。

「……!」

ふわりと良い匂いに包まれる。雷君が身体を倒したのと同時に、広い胸の中に納まるように抱き込まれたのだ。突然の嬉しさハプニングにぶわりと身体が震えた。

「今日の車掌は随分荒いな」
「……、ぁ」
「…順平?」
「あ、いえ、…な、何でもない、です」

雷君はすぐに身体を離して、再び俺の顔の横に両手を付いて守ってくれた。だけど俺はというと、先程の出来事にまだドキドキしていたりする。…だ、だって急に抱き締められたんだ。
顔から湯気が出てしまいそうになるくらい顔が熱い。人の話し声や電車の音のお陰で掻き消されているだろうが、俺の心臓も破裂しちゃいそうなほど高鳴っている。

どうしよう。
胸が苦しい。キュって締め付けられている。

「どうかしたか?」


どうやら雷君は俺の様子がおかしいことに気が付いたようだ。心配そうな表情をして俺を見下ろしている。
だけども、俺は声を出せないでいる。
………だって口を開けば、変なことを口走ってしまいそうだから。

「順平?」

…………だけど、もう。
色々と限界だ。

「じゅん、ぺ…い」

雷君の着ているブレザーの端をギュッと力強く握った後、俺は自ら雷君に抱き付いた。

「好き、です」
「………」
「大好き…っ」

此処が電車内だということも忘れるくらい俺は雷君のことだけしか考えられなくなっていた。広い背中に腕を回し、抱きつく。今ならこのまま抱き殺されたっていい。むしろそれが本望だ。雷君に抱き殺されたい。
好き、好き、大好き。愛してる。

もう欲望を抑えられなくて、俺は雷君の硬い胸板に頭をグリグリと押さえつけた。

「…っ、く、そ」

雷君の低い唸り声。いきなり俺がこんなことをしたから怒っているのかな?だけどごめんなさい。離したくない。

「順平」
「……ん、」
「次で、降りろ」

妙に低くて熱っぽい雷君の声。
だけど変だな?まだお互いに停車駅はまだ先だ。

「わっ!?」

それなのに雷君は、今着いた停車駅で降りようと俺の腕を引っ張ってきた。雷君のその乱暴な立ち振る舞いに驚きながらも、新鮮なその様子に少しだけキュンっとしてしまう。

「あ、あの…、」
「………」
「雷、君?…学校まだ先ですよ?」

ガヤガヤと五月蠅いホーム。雷君は人ごみを掻き分けながらズンズン進んでいく。掴まれた腕は少し痛いけれど、全然嫌じゃない。むしろ俺は嬉しいとさえ思っている。

「雷君っ」

だけどこのまま何処に行くんだろう。
俺の蚊の鳴くような小さい声は、果たして雷君に届いているのだろうか。

…俺から見える雷君の横顔は何処か切羽詰った様な表情をしていた。




*****




腕を引っ張られて連れて来られた場所は、駅のホームに設置されている男子トイレ。最近改装されたばかりだったから綺麗。何故こんな場所に連れてこられたのだろうと悩んでいる内に、雷君は一番奥の個室トイレに俺を無理やり押し込み、その後に雷君も入ってきた。そして雷君は中から鍵を掛けたのだ。

「っ、ぁ!?」

するとすぐにトイレの扉に押さえつけられてしまった。
痛みに声が漏れる。いきなりのことに驚いて雷君を見上げてみたら、ギラリと鋭い目付きの雷君と目が合った。

「……っ、!」

雷君のその目を見て、本能で察した。
食べられる、と。

「ん、っ、ぁ…ッ!」

近付いてきた雷君の顔。
蛇に睨まれた蛙の如く、俺の身体は一ミリも動かなかった。そして抵抗出来ずに居る俺の後頭部に雷君は手を回し、荒々しい口付けをしてきたのだ。

「は、ァ…っ、ン」

触れるだけ、なんて甘く優しいキスではない。
全てを貪る様な激しく乱暴なキスと言った方が正しいと思う。今の雷君のキスは文字通りに荒々しいのだ。もう息をする方法すら分からないくらいに、俺の口内を舌で掻き回しグチャグチャにする。

「や、っ…はァ…ふ、」

だけど流石に息苦しくなってきた。ほんの少し出来るキスの合間にはふはふと一生懸命空気を吸い込むのだけれど、それすら許してくれないのか、またすぐに雷君の濃厚な口付けが始まる。

「ん、ンっ、ゃぁッ」

後頭部を押さえつけられ、そして腰を引き寄せられているため逃げれない。俺はせめてもの抵抗に、力の入らない拳で雷君の胸板を叩く。
すると意外にもすんなりと雷君は離れてくれた。

「……は、ぁ、はぁ…っ」
「順平…」
「……っ、ァ」

驚くほど熱っぽい雷君の声。
ねっとりしたような熱い声で名前を呼ばれ、ゾクリと身体が震えてしまった。

「雷、君……どう、して…?」
「順平が悪い」
「……え?」
「いつも必死に抑えてた」
「……?」
「だけど順平が煽るから」
「…っ、ぅぁ…?!」
「もう、…こんなになっちまった」

先程のキスで緩く反応してしまった俺の下半身に、雷君の下半身が擦りつけられた。するとゴリッと当たるその硬い物体。男である俺ならその正体はすぐに分かる。

「順平のせいだ」
「……ら、い…くん」
「だから順平が処理しろよ」

獣のような低い声で命令される。そして俺は手を掴まれ、そのまま雷君の下半身へと導かれた。

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