真梅雨怪奇譚 ー 梅雨の日に得た能力

七槻夏木

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夜明け

夜明けⅢ

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2019 6月。 梅雨。

「誰に呼び止められたかと思ったら、この前の、たしか……小崎真梅雨って名前らしいね。済栄じゃあ、ちょっとした有名人らしいけど、あの時は知らなかったんだ。あの日は、なんか、いきなり、すごい取り乱した後、ばったり倒れちゃったけど大丈夫だった? なんかヤバい感じだったから、私が保健室に行ったら、とっくに閉まってて、で、教室に戻ってみたらいなくなってたから、起きたのかなーって思ってたんだけど? 私、まずいことでも言ったかな?」
 茶髪の女学生。本当に生きてた。あのときは、能力についてよく知らなくて、心に余裕が無かったために、彼女の魅力に気が付かなかったが、こうして間近で見てみると、案外かわいらしい。茶髪が似合っていないのも、愛くるしいし、化粧が濃いのも、女子高だからと、手を抜いていないという点で好印象。
「どうしたの? 小崎? 私の顔なんかじろじろ見て? なんかついてる? って、おーい、聞いてる?」
「ごめんなさい、少し、ボーっとしてたわ。ところで、あなたの名前は?」
「私? ミキだけど?」
「そう。ミキさん、素敵な名前ね。では、この前倒れて迷惑をかけたお詫びに、これをあげるわ」
「そりゃどうも……、って、これ、滅茶苦茶高かったっしょ? 高校生が手を出せるブランドじゃないって! こんなのもらえないよ!」
「いえいえ、お金はともかく、私の気持ちですから、受け取ってください。あと、命はお大事に」
 ぽかんと口を開けているミキという少女を残して、自分の教室へと戻る。その途中、二つの人影に、後ろから肩を掴まれた。振り返って確認する。城ケ崎直子と、御手洗京香だ。
「真梅雨ちゃん、美紀ちゃんと友達だったの? 意外だよ」
 さすがは、交友関係の広い京香。ミキさんとも知り合いらしい。
「それに、下世話ですが、あのプレゼント、とても高価なものだったのではないですか? 小崎さんが、お金にものを言わせて高級品を買うのなんて、珍しいですから驚きました」
「まあ、ちょっとね。あ、そうだ! それと、今日は用事があって一緒には帰れないかも、ごめん」
「うん。でも、何の用事?」
「放課後、墓石を見にいくのよ、猫とかカエルとかの」
「猫?」
「カエル?」
 首を傾げる、直子と京香。
「京香、小崎さんって、猫飼っていましたっけ?」
「飼って無かったと思うし、カエルは絶対飼って無いよ」












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