この学園では個性的なキャラを演じてください、と言われたので「遅刻」ばっかしてみた。

七槻夏木

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はじまりの春

304 ②

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 その日の夜、ちょうど九時半ごろ。俺たち三年四組のメンバーは、寮で集まって今学期の方針を相談していた。

 傘信学園では一つの学年に一つ寮が割り当てられる。寮は五階で二階から五階までを一組から四組が使用する。俺たち四組は五階だ。部屋は完全個室でトイレと風呂完備となかなかの待遇だといえるだろう。今、俺たちがいるのは各階にある多目的教室のような場所だ。誰でも自由に利用できる。

「ちゅうちゅうタコかいなっと、ちょうど三○人。全員揃ったみたいだね。さっそく会議をはじめようか。千川君も遅れてないみたいだしね、」

 そう言いながら、爽やかスマイルでウインクをしてきたのは、男子学級委員の小佐野おさの慎司しんじだ。

 こんな気取った仕草が板につくのが鼻につく……。まったく、俺が女子なら完全に惚れてるぜ。

 サッカー部のキャプテンを務め、イケメンで学業も優秀だ。コイツに告白して振られた女子を五人は知ってる。俺の誤認じゃなければね!

「じゃあ、今年も基本事項のおさらいからいこうか。軽く資料に纏めてきたのを読み上げる。みんなの手元にある資料と同じやつだから目で追って欲しい。登葉とうは、重要な部分はホワイトボードに書き写して言ってくれるかい?」

「えぇー、今年もー。もうみんな知ってるってー」

 机にうなだれながら尾上がダルそうに言う。

「尾上君、あなた、嫌なら出て行ってもらってもいいのよ」

 後井が、ホワイトバードマーカーのキャップを開けながら半身で尾上の方を向き鋭い目で射抜くと、尾上がぶるぶると震え上がった。

「すんません!大丈夫っす!続けて欲しいっす!」

「そう。よかったわ。」

 いや、目が笑ってないですよ後井さん。

 尾上が小声で隣に座る壁岡に耳打ちするのが聞こえる。

「登葉ちゃん、あれ、マジの顔だよ。」

 尾上よ、壁岡にとってはご褒美だから。そいつに言っても羨ましがられるだけだぞ。
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