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はじまりの春
304 ①
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ホームルームを終えると放課だ。各々、談笑を交えながら帰りの支度や部活の準備をしている。かく言う俺も、みんなと同じように配布されたプリントなどをカバンにしまい、帰り支度を済ませる。
そうしていると、一人の女子生徒に声をかけられた。
「にしても、千川君はすごいよねー」
間延びした声で話しかけてきたのは、隣の席の佐藤さつきだ。振り返ると、拳三つ分くらいの距離に顔があった。
いや、近い。
「え、俺、遅刻くらいしかしてないけど?」
女子高生とのガチ恋距離に動揺して声が裏返りそうになるのをおさえ、かろうじて返事をする。
くるっとした長いまつげの下の大きな瞳をぱちくりさせ、俺を見つめてくる。気まずくなり目を逸らす先には、艶のあるサラサラした栗色の髪。見惚れそうになりさらに視線を落とすと、白い制服のブラウスと絹の様な白い肌との隙間がきわどい。
いたたまれなくなり視線を逆にやる。すると、もう一人少女が立っていた。
「絵に描いたような挙動不審ね。何かよからぬことでも考えていたのかしら?」
冷ややかな口調でそういいながら俺を睨みつけてくるのは学級委員の後井うしろい登葉とうはだ。
ちなみに、黒髪ロングで凛とした端正な顔立ち。成績は優秀で運動神経抜群。俺たち三年四組の学級委員を務めるかたわら、生徒会の副会長も兼ねている。学年中の憧れの存在だ。
絵に描いたようなのはてめぇだろ……。
「俺が賞賛される理由が分からなかったから困惑してただけだ。特にやましいことを考えていたわけではない。わけではない」
咄嗟に弁明する。実際に、俺が佐藤さつきに褒められるようなことをした覚えはない。
「二回否定したのが気になるけれど……それもそうね。ただの遅刻だもの。佐藤さんも、あまり変なこというと、図に乗って、勘違いされるから気にしない方がいいわよ」
美少女にそういうコト言われると男子は、結構傷つつくんだよなあ。
いつのまにか、何かよからぬことというワードに反応した壁岡がニヤニヤしながら近寄ってきた。
案の定、後井に気持ち悪そうに睥睨へいげいされ、ボロクソ言われている。
しかし、壁岡は満面の笑顔で言う。
「美少女にそういうコト言われると男子は、結構嬉しいんだよなあ。ご褒美だぜ」
それを聞いて、こめかみに手を当て呆れる後井。
そんな完璧なやりとりを佐藤はにんまりとした笑顔で見守っていた。
新学期早々、上手にキャラを演じきれたといえるだろう。
そうしていると、一人の女子生徒に声をかけられた。
「にしても、千川君はすごいよねー」
間延びした声で話しかけてきたのは、隣の席の佐藤さつきだ。振り返ると、拳三つ分くらいの距離に顔があった。
いや、近い。
「え、俺、遅刻くらいしかしてないけど?」
女子高生とのガチ恋距離に動揺して声が裏返りそうになるのをおさえ、かろうじて返事をする。
くるっとした長いまつげの下の大きな瞳をぱちくりさせ、俺を見つめてくる。気まずくなり目を逸らす先には、艶のあるサラサラした栗色の髪。見惚れそうになりさらに視線を落とすと、白い制服のブラウスと絹の様な白い肌との隙間がきわどい。
いたたまれなくなり視線を逆にやる。すると、もう一人少女が立っていた。
「絵に描いたような挙動不審ね。何かよからぬことでも考えていたのかしら?」
冷ややかな口調でそういいながら俺を睨みつけてくるのは学級委員の後井うしろい登葉とうはだ。
ちなみに、黒髪ロングで凛とした端正な顔立ち。成績は優秀で運動神経抜群。俺たち三年四組の学級委員を務めるかたわら、生徒会の副会長も兼ねている。学年中の憧れの存在だ。
絵に描いたようなのはてめぇだろ……。
「俺が賞賛される理由が分からなかったから困惑してただけだ。特にやましいことを考えていたわけではない。わけではない」
咄嗟に弁明する。実際に、俺が佐藤さつきに褒められるようなことをした覚えはない。
「二回否定したのが気になるけれど……それもそうね。ただの遅刻だもの。佐藤さんも、あまり変なこというと、図に乗って、勘違いされるから気にしない方がいいわよ」
美少女にそういうコト言われると男子は、結構傷つつくんだよなあ。
いつのまにか、何かよからぬことというワードに反応した壁岡がニヤニヤしながら近寄ってきた。
案の定、後井に気持ち悪そうに睥睨へいげいされ、ボロクソ言われている。
しかし、壁岡は満面の笑顔で言う。
「美少女にそういうコト言われると男子は、結構嬉しいんだよなあ。ご褒美だぜ」
それを聞いて、こめかみに手を当て呆れる後井。
そんな完璧なやりとりを佐藤はにんまりとした笑顔で見守っていた。
新学期早々、上手にキャラを演じきれたといえるだろう。
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