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24、毒殺事件
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シェイラは夕食にも呼ばれた。二人は歓談しながら夕食を取った。シェイラはアレンを観察する。
(子爵は平民だけど、他の貴族令息と比べると全然優雅だわ。ソードマスターだし、生まれ持った気品かしら)
シェイラは、アレンが努力してマナーを身に付けたことを知らない。アレンはシェイラに話しかけた。
「ストラルトの食事はどうです? お口に合いますか?」
「はい、とても美味しいです」
今日はビーフシチューだ。肉がほぐれるまで煮込んである。
(昨日出た、名産の鮭の刺身も美味しかったわ)
アレンの客人を気遣う会話も悪くなかった。
(このまま結婚相手が見つからなくて、変な貴族と結婚させられるよりは、子爵のほうがマシかしら? ——そうだわ、子供ができれば侯爵家の跡取りになるから、出産で里帰りして、そのまま子供と侯爵家で暮らしてもいいわね。それから遠距離で続ければこの結婚は悪くないかも)
シェイラは前向きにアレンとの結婚を検討することにした。そこからは気持ちが明るくなり、積極的に会話した。
アレンはシチューを食べながら、これはニナリアの好物だと思った。ニナリアが一人で食事を取るから、料理長が気をきかせたのだろう。
アレンもニナリアと離れて意外と平気だった。任務遂行のためには当たり前のことだ。
二人は夕食が済むと、夜の庭を散策した。魔法石のランプが庭を照らしてきれいだった。
シェイラは客間で、寝間着姿でベニーに髪を梳いてもらっていた。スーザンからニナリアの報告を聞く。スーザンは、祖父からニナリアの様子を見るように言われ、シェイラの生活周りの仕事をしながら別行動をしていた。
「そう、二人は部屋も別々なのね」
「はい、ニナリアは今、四階で生活しているようです」
(子爵は本当に私をもてなしてくれているのね)
シェイラは満足し、気分が良くなった。
(しばらくすれば、子爵の様子も変わるかしら?)
その後もアレンとシェイラは、食事を一緒に取るようになった。ニナリアもすっかり一人でいることが当たり前になった。
ニナリアは廊下で書類を運んでいた。
(2日たったけどアレンも平気そうだし、これって信頼関係かな)
それも悪くないと思って、一人でニッコリしていた。
ニナリアは部屋で夕飯を食べようと席に着いていた。ジェシーがグラスに水を注いだ。ニナリアが水に手を伸ばすと、グラスが突然光った!
(これは!)
メグもジェシーも驚いた。防御の魔法石が発動したのだ。
(グラスが危険だということ?)
「ジェシー、水差しをテーブルに置いてちょうだい」
ニナリアはそう指示すると、カバンから白い粉が入った瓶を取り出した。粉をグラスのほうに少量入れると、色が濃い水色に変わった。ジェシーはニナリアに聞いた。
「なんですか、その粉は?」
「毒の試薬よ。この水には毒が入っているわ」
『!』
「メグ、静かにアレンとセルマンを呼んできて」
二人は叫びそうになるが、ニナリアが落ち着いているので我慢した。メグは言われた通り、急いで部屋から出て行った。
アレンとセルマンが部屋にやって来る。二人とも顔が緊張していた。久しぶりの再会だが、今はそれどころではなかった。アレンは声を抑えて聞いた。
「水に毒が入っていたと聞いた」
「ええ、それもかなりの量よ」
試薬は毒の濃度で、色が濃くなる。この色だと致死量だと父が言っていた。この試薬は父がニナリアに渡したものだった。
アレンは部屋に着く前に、メグから試薬の話を聞いていた。ニナリアが前もって試薬を持っていたことから、侯爵家の者の仕業だと思った。ニナリアはジェシーに話を聞いた。
「ジェシー、食事を用意しているときにおかしなことはなかった?」
「あ、えっと、そういえば準備しているときに」
夕食の準備をしていると、調理場にスーザンが来てジェシーに声をかけた。
『シェイラお嬢様がお水が欲しいそうなので、いただけますか?』
『はい、お待ちください』
ジェシーが離れた隙に、スーザンはニナリアの水差しに、持っていた包み紙から粉を入れた。
「その時、水差しから目を離していました……」
「スーザンね」
ニナリアは苦々しく言った。スーザンはメイド長に近いメイドだった。アレンがセルマンに指示を出す。
「スーザンを捕らえろ。シェイラともう一人のメイドを部屋から出さないように見張れ。表ざたにせずに静かに遂行しろ」
「分かりました」
シェイラの部屋に騎士が四人とセルマンが来た。中に入るとすぐに、スーザンを捕らえた。
「なんなのです! こんな無礼を。お嬢様! お助けを」
スーザンが騒ぐので、騎士は布で縛って口をふさいだ。スーザンは両脇を騎士二人に抑えられ、尋問室に連れていかれた。
「どういうことですか⁉」
シェイラが驚いてセルマンに聞いた。
「ニナリア様に対する毒殺未遂がありました。スーザンをこれから尋問します。お二人はここで、静かにお待ちください」
「!」
セルマンは手短に言うと部屋から出て行った。部屋の前には騎士二人が付いた。
(どういうこと⁉ なぜスーザンが?)
(お祖父様はニナリアと入れ替えると言ったから、お祖父様ではないはず……。いったい誰が)
ベニーはおろおろするが、シェイラに声をかけた。
「お嬢様、侯爵家に連絡したほうがよいですよね」
(この話もいずれ首都に届いてしまう)「そうね。手紙を書いてちょうだい」
シェイラはこちらから祖父に知らせたほうがいいと思った。ストラルトは新聞を発行していないので、首都から新聞を買っている。地方の情報は新聞屋が集めて、首都に送っているのだ。数日後には首都の新聞に載ってしまうだろう。
尋問室は板張りの小さくて簡素な部屋だった。アレンと騎士二人、セルマン、ニナリアも同席した。スーザンは手を後ろで縛られたまま椅子に座り、上半身を椅子ごと縄で縛られていた。口の布を騎士の一人が取った途端、スーザンは声を出した。
「どうしてこんなことを⁉」
アレンが答える。
「お前が、ニナリアに毒をもったのはもう分かっている」
「そんなことをするはずないじゃないですか! 証拠はあるんですか⁉」
スーザンの荷物からは何も出ていない。
「それはこれから分かる」
アレンは手にピンク色の魔法石を持っていた。石から一筋煙が上がると、スーザンの顔にかかった。
「うっ」
スーザンは頭を下に向けて静かになる。ニナリアはアレンに小声で聞いてみる。
「これは何ですか?」
「自白の魔法石だ。無意識下に問いかけ、会話ができる。だが、自分が話したことはその後も覚えている」
アレンがスーザンに問いかけた。
「誰に命令された」
スーザンは顔を上げた。目はうつろだ。
『メイド長です』
「!」
ニナリアは驚いたが、やっぱりと思って顔に怒りを滲ませた。
(子爵は平民だけど、他の貴族令息と比べると全然優雅だわ。ソードマスターだし、生まれ持った気品かしら)
シェイラは、アレンが努力してマナーを身に付けたことを知らない。アレンはシェイラに話しかけた。
「ストラルトの食事はどうです? お口に合いますか?」
「はい、とても美味しいです」
今日はビーフシチューだ。肉がほぐれるまで煮込んである。
(昨日出た、名産の鮭の刺身も美味しかったわ)
アレンの客人を気遣う会話も悪くなかった。
(このまま結婚相手が見つからなくて、変な貴族と結婚させられるよりは、子爵のほうがマシかしら? ——そうだわ、子供ができれば侯爵家の跡取りになるから、出産で里帰りして、そのまま子供と侯爵家で暮らしてもいいわね。それから遠距離で続ければこの結婚は悪くないかも)
シェイラは前向きにアレンとの結婚を検討することにした。そこからは気持ちが明るくなり、積極的に会話した。
アレンはシチューを食べながら、これはニナリアの好物だと思った。ニナリアが一人で食事を取るから、料理長が気をきかせたのだろう。
アレンもニナリアと離れて意外と平気だった。任務遂行のためには当たり前のことだ。
二人は夕食が済むと、夜の庭を散策した。魔法石のランプが庭を照らしてきれいだった。
シェイラは客間で、寝間着姿でベニーに髪を梳いてもらっていた。スーザンからニナリアの報告を聞く。スーザンは、祖父からニナリアの様子を見るように言われ、シェイラの生活周りの仕事をしながら別行動をしていた。
「そう、二人は部屋も別々なのね」
「はい、ニナリアは今、四階で生活しているようです」
(子爵は本当に私をもてなしてくれているのね)
シェイラは満足し、気分が良くなった。
(しばらくすれば、子爵の様子も変わるかしら?)
その後もアレンとシェイラは、食事を一緒に取るようになった。ニナリアもすっかり一人でいることが当たり前になった。
ニナリアは廊下で書類を運んでいた。
(2日たったけどアレンも平気そうだし、これって信頼関係かな)
それも悪くないと思って、一人でニッコリしていた。
ニナリアは部屋で夕飯を食べようと席に着いていた。ジェシーがグラスに水を注いだ。ニナリアが水に手を伸ばすと、グラスが突然光った!
(これは!)
メグもジェシーも驚いた。防御の魔法石が発動したのだ。
(グラスが危険だということ?)
「ジェシー、水差しをテーブルに置いてちょうだい」
ニナリアはそう指示すると、カバンから白い粉が入った瓶を取り出した。粉をグラスのほうに少量入れると、色が濃い水色に変わった。ジェシーはニナリアに聞いた。
「なんですか、その粉は?」
「毒の試薬よ。この水には毒が入っているわ」
『!』
「メグ、静かにアレンとセルマンを呼んできて」
二人は叫びそうになるが、ニナリアが落ち着いているので我慢した。メグは言われた通り、急いで部屋から出て行った。
アレンとセルマンが部屋にやって来る。二人とも顔が緊張していた。久しぶりの再会だが、今はそれどころではなかった。アレンは声を抑えて聞いた。
「水に毒が入っていたと聞いた」
「ええ、それもかなりの量よ」
試薬は毒の濃度で、色が濃くなる。この色だと致死量だと父が言っていた。この試薬は父がニナリアに渡したものだった。
アレンは部屋に着く前に、メグから試薬の話を聞いていた。ニナリアが前もって試薬を持っていたことから、侯爵家の者の仕業だと思った。ニナリアはジェシーに話を聞いた。
「ジェシー、食事を用意しているときにおかしなことはなかった?」
「あ、えっと、そういえば準備しているときに」
夕食の準備をしていると、調理場にスーザンが来てジェシーに声をかけた。
『シェイラお嬢様がお水が欲しいそうなので、いただけますか?』
『はい、お待ちください』
ジェシーが離れた隙に、スーザンはニナリアの水差しに、持っていた包み紙から粉を入れた。
「その時、水差しから目を離していました……」
「スーザンね」
ニナリアは苦々しく言った。スーザンはメイド長に近いメイドだった。アレンがセルマンに指示を出す。
「スーザンを捕らえろ。シェイラともう一人のメイドを部屋から出さないように見張れ。表ざたにせずに静かに遂行しろ」
「分かりました」
シェイラの部屋に騎士が四人とセルマンが来た。中に入るとすぐに、スーザンを捕らえた。
「なんなのです! こんな無礼を。お嬢様! お助けを」
スーザンが騒ぐので、騎士は布で縛って口をふさいだ。スーザンは両脇を騎士二人に抑えられ、尋問室に連れていかれた。
「どういうことですか⁉」
シェイラが驚いてセルマンに聞いた。
「ニナリア様に対する毒殺未遂がありました。スーザンをこれから尋問します。お二人はここで、静かにお待ちください」
「!」
セルマンは手短に言うと部屋から出て行った。部屋の前には騎士二人が付いた。
(どういうこと⁉ なぜスーザンが?)
(お祖父様はニナリアと入れ替えると言ったから、お祖父様ではないはず……。いったい誰が)
ベニーはおろおろするが、シェイラに声をかけた。
「お嬢様、侯爵家に連絡したほうがよいですよね」
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シェイラはこちらから祖父に知らせたほうがいいと思った。ストラルトは新聞を発行していないので、首都から新聞を買っている。地方の情報は新聞屋が集めて、首都に送っているのだ。数日後には首都の新聞に載ってしまうだろう。
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「どうしてこんなことを⁉」
アレンが答える。
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「そんなことをするはずないじゃないですか! 証拠はあるんですか⁉」
スーザンの荷物からは何も出ていない。
「それはこれから分かる」
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「うっ」
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「これは何ですか?」
「自白の魔法石だ。無意識下に問いかけ、会話ができる。だが、自分が話したことはその後も覚えている」
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