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第7章 力強い味方が現れたようです
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「――…!……――っ!」
「……、……」
「――…!」
何やら、誰かが喧嘩をしているらしい。女が男を叱りつけているのか。男の方がかなり、押され気味。
――ふふふ、なんか、いい気味。
つい、目は閉じたままなのに、口元が緩んで、笑みを浮かべる。
私はまた、意識を失っていたようだ。何もかも、全てに怒りを覚えて、頭に血が上り過ぎたのだろうか。今まで、そんな風に意識をなくしたことなどなかったけど。
そういえば、あのバカ犬に首をやられた痛み、もう、気にならなくなってる。若いからかしら。
「あら、気が付いたかしら」
「メ、メイっ」
「おら、駄犬、お前はまだ正座してろっ!」
「ぐぎゃっ」
女の人の『駄犬』という言葉に、吹き出しそうになる。彼女が誰だか知らないけれど、もう一人……ヘリウスを大人しくさせるだけの力があるのか、と思うと、胸がすく。
私はゆっくりと目を開けると、ベッドの脇に椅子を寄せ、そこに座る女の……子だな。うん。よく見れば、やっぱり、日本人っぽい。王都でも見たことのない人種に、ちょっと驚きが隠せない。
「おはよう? もう、目が覚めてるわよね?」
「……ええ。ここは、どこです?」
さっきまでいた宿屋の豪華な一室とはまるで違う。しっかりとした石造りの部屋は、どこかの城か砦の部屋のよう。
「あら、貴女の家のはずなんだけど」
「え?」
慌てて身体を起こして、見回してみると、なんとなく見覚えがある。
「あー、私の部屋、かしら?」
何年振りかに戻って来た部屋。辺境の砦の中の一室だけに、あまり飾りらしいものはない。それは祖父が、というよりも、母が質実剛健をよしとしているからで。
「懐かしい……はずなんだけど」
なぜか、自分の中でしっくりこない。これは何が違うのか……私の前世の記憶のせい?
「ん~、どこか調子が悪い? ああ、そういや、魔力の枯渇で倒れたんだっけ。でも、しっかり寝てたから、少しは回復してると思うんだけど……」
そう言うと、彼女は私の手をとり、小さく「ヒール」と呟く。ほわんと何かに包まれて、身体が暖かく感じる。
「え、『ヒール』って……治癒士様ですか?」
治癒士は数少ない光魔法が使えるから、大概は教会や王家などのお抱えになっていたりする。そして共通して皆、白いローブを羽織っているのだけれど……彼女は、どちらかといえば冒険者のような格好……ん? あれ、もしかして、ジーンズ? え? え? どういうこと?
「いいえ、治癒士ではないわ。強いて言うなら、薬師、かなぁ」
「薬師?」
「まぁ、それはおいといて、もう、身体の方は違和感はないかしら」
「え、ええ……そうですね」
身体を動かしてみても、特に問題はない。
そして、私は、床に目を向ける。そこには、正座させられ……口元に青あざをつくったヘリウスがいた。その眼差しは……なぜかキラキラしながら私を見つめている。
――何、期待してんの。
イラっとした私は、無表情のまま視線を外し、彼女の方へと目を向ける。
「ああ、あの駄犬ね。ちょっと、貴女のお母さんがね」
「えっ」
「ああ、そろそろ来そうね」
そう彼女が言葉にした途端、部屋のドアが勢いよく開いた。
「……、……」
「――…!」
何やら、誰かが喧嘩をしているらしい。女が男を叱りつけているのか。男の方がかなり、押され気味。
――ふふふ、なんか、いい気味。
つい、目は閉じたままなのに、口元が緩んで、笑みを浮かべる。
私はまた、意識を失っていたようだ。何もかも、全てに怒りを覚えて、頭に血が上り過ぎたのだろうか。今まで、そんな風に意識をなくしたことなどなかったけど。
そういえば、あのバカ犬に首をやられた痛み、もう、気にならなくなってる。若いからかしら。
「あら、気が付いたかしら」
「メ、メイっ」
「おら、駄犬、お前はまだ正座してろっ!」
「ぐぎゃっ」
女の人の『駄犬』という言葉に、吹き出しそうになる。彼女が誰だか知らないけれど、もう一人……ヘリウスを大人しくさせるだけの力があるのか、と思うと、胸がすく。
私はゆっくりと目を開けると、ベッドの脇に椅子を寄せ、そこに座る女の……子だな。うん。よく見れば、やっぱり、日本人っぽい。王都でも見たことのない人種に、ちょっと驚きが隠せない。
「おはよう? もう、目が覚めてるわよね?」
「……ええ。ここは、どこです?」
さっきまでいた宿屋の豪華な一室とはまるで違う。しっかりとした石造りの部屋は、どこかの城か砦の部屋のよう。
「あら、貴女の家のはずなんだけど」
「え?」
慌てて身体を起こして、見回してみると、なんとなく見覚えがある。
「あー、私の部屋、かしら?」
何年振りかに戻って来た部屋。辺境の砦の中の一室だけに、あまり飾りらしいものはない。それは祖父が、というよりも、母が質実剛健をよしとしているからで。
「懐かしい……はずなんだけど」
なぜか、自分の中でしっくりこない。これは何が違うのか……私の前世の記憶のせい?
「ん~、どこか調子が悪い? ああ、そういや、魔力の枯渇で倒れたんだっけ。でも、しっかり寝てたから、少しは回復してると思うんだけど……」
そう言うと、彼女は私の手をとり、小さく「ヒール」と呟く。ほわんと何かに包まれて、身体が暖かく感じる。
「え、『ヒール』って……治癒士様ですか?」
治癒士は数少ない光魔法が使えるから、大概は教会や王家などのお抱えになっていたりする。そして共通して皆、白いローブを羽織っているのだけれど……彼女は、どちらかといえば冒険者のような格好……ん? あれ、もしかして、ジーンズ? え? え? どういうこと?
「いいえ、治癒士ではないわ。強いて言うなら、薬師、かなぁ」
「薬師?」
「まぁ、それはおいといて、もう、身体の方は違和感はないかしら」
「え、ええ……そうですね」
身体を動かしてみても、特に問題はない。
そして、私は、床に目を向ける。そこには、正座させられ……口元に青あざをつくったヘリウスがいた。その眼差しは……なぜかキラキラしながら私を見つめている。
――何、期待してんの。
イラっとした私は、無表情のまま視線を外し、彼女の方へと目を向ける。
「ああ、あの駄犬ね。ちょっと、貴女のお母さんがね」
「えっ」
「ああ、そろそろ来そうね」
そう彼女が言葉にした途端、部屋のドアが勢いよく開いた。
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