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第3章
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ボブさんたちの剣呑な眼差しに対して、ヘンリーはかなり慌てている様子。正直、そこまで? と思ってしまって不思議でならない。そんなにボブさんたちって、この人から見て、怖い存在なんだろうか?
一方のモブ一号は、逆に納得いかないのか、凄い顔で睨んでくる。特に俺を。なんだっていうんだ。自分より小さいから? 言う通りにしないから? どんなガキ大将だよ。
「ボブさん! 本当に俺はそんなつもりはなかったんだよ! てっきり、そこの坊主が悪戯でもして、ケンに叱られてるんだと」
「俺は水汲みに来ただけだ」
「ああ、そうだったのか、悪い、ごめんな」
ヘンリーは、素直に謝ってきた。この人は、そんなに悪い人じゃないんだろう。後輩の言葉を信じやすいっていうところはあるかもしれないが。
「ケン、お前も別にいいだろ、そこまで拘ることでもないだろうが」
「……気になっちゃいけないんですか」
「そうは言ってねぇ。でも、人には聞かれたくないことだってあるだろうってことだ」
「……」
モブ一号は舌打ちだけして、さっさとどこかに行ってしまった。その後を、モブ二号、三号が、ヘンリーに頭を下げてから追いかけていく。
「本当に、申し訳ない」
大きな体が一回りくらい小さくなったみたいに、謝ってきたヘンリー。ボブさんも、いつものような柔和な顔になって、ヘンリーの背中、いや、腰のあたりをポンポンと叩いて、宥めてる。
「まぁ、大変だわなぁ、ああいう面倒そうな後輩がいるとぉ」
「ボブさん……」
「ヘンリー、お前、飯、食ったかぁ? まだ、なら、メアリーの作った朝飯、食ってけ」
「えっ、いいんですか?」
「かまやしねぇ。だが、ヘンリーにはちーとばかし、家は狭いからぁ、外で食うか」
「ありがとうございます!」
気がついたら、メアリーさんの姿はすでになく、もう家に戻ったんだろう。素早いな。
「ボブさん、俺、もう一度、水汲んでくる」
さっき、ぶちまけたせいで、手桶の中は空っぽなのだ。
「だったら、俺が汲んで来ようか」
ヘンリーが俺の持ってる手桶に手を伸ばそうとしたが、俺はぷるぷると頭を振って断った。
「これが、俺の朝の仕事なんだ」
じっと目を見つめてそう言うと、ヘンリーは一瞬目を見開いたが、「わかった」と言って、ニコリと笑って頷いた。
やっぱり、こいつはいいヤツだ。
そう思った俺は、微笑み返すとくるっと背中を向けて、もう一度、沢の方へと駆けだした。
* * *
ハルが立ち去った後には、うずくまる男。ヘンリーは呻き声をあげながら呟いた。
「な、なんなんすか、あの笑顔の破壊力」
「可愛いだろぉ?」
「ええ、エルフの子供なんて、初めて見ましたよ」
「……よそに漏らすでねぇぞ」
「はい……しかし……」
「そのうち、あの子も、ここを出ていかねばなるまいて……苦労するのは目に見えてるだ……あの子が一人でも生きていけるように、できるだけのことを教えてやりてぇ……それまでの時間稼ぎくれぇ、お前でもできるだろ」
ボブは鋭い眼差しで、この場を去っていったケンとその仲間たちの向かった方を見つめた。ヘンリーは困ったような顔をしたが、最後には小さく頷いた。
一方のモブ一号は、逆に納得いかないのか、凄い顔で睨んでくる。特に俺を。なんだっていうんだ。自分より小さいから? 言う通りにしないから? どんなガキ大将だよ。
「ボブさん! 本当に俺はそんなつもりはなかったんだよ! てっきり、そこの坊主が悪戯でもして、ケンに叱られてるんだと」
「俺は水汲みに来ただけだ」
「ああ、そうだったのか、悪い、ごめんな」
ヘンリーは、素直に謝ってきた。この人は、そんなに悪い人じゃないんだろう。後輩の言葉を信じやすいっていうところはあるかもしれないが。
「ケン、お前も別にいいだろ、そこまで拘ることでもないだろうが」
「……気になっちゃいけないんですか」
「そうは言ってねぇ。でも、人には聞かれたくないことだってあるだろうってことだ」
「……」
モブ一号は舌打ちだけして、さっさとどこかに行ってしまった。その後を、モブ二号、三号が、ヘンリーに頭を下げてから追いかけていく。
「本当に、申し訳ない」
大きな体が一回りくらい小さくなったみたいに、謝ってきたヘンリー。ボブさんも、いつものような柔和な顔になって、ヘンリーの背中、いや、腰のあたりをポンポンと叩いて、宥めてる。
「まぁ、大変だわなぁ、ああいう面倒そうな後輩がいるとぉ」
「ボブさん……」
「ヘンリー、お前、飯、食ったかぁ? まだ、なら、メアリーの作った朝飯、食ってけ」
「えっ、いいんですか?」
「かまやしねぇ。だが、ヘンリーにはちーとばかし、家は狭いからぁ、外で食うか」
「ありがとうございます!」
気がついたら、メアリーさんの姿はすでになく、もう家に戻ったんだろう。素早いな。
「ボブさん、俺、もう一度、水汲んでくる」
さっき、ぶちまけたせいで、手桶の中は空っぽなのだ。
「だったら、俺が汲んで来ようか」
ヘンリーが俺の持ってる手桶に手を伸ばそうとしたが、俺はぷるぷると頭を振って断った。
「これが、俺の朝の仕事なんだ」
じっと目を見つめてそう言うと、ヘンリーは一瞬目を見開いたが、「わかった」と言って、ニコリと笑って頷いた。
やっぱり、こいつはいいヤツだ。
そう思った俺は、微笑み返すとくるっと背中を向けて、もう一度、沢の方へと駆けだした。
* * *
ハルが立ち去った後には、うずくまる男。ヘンリーは呻き声をあげながら呟いた。
「な、なんなんすか、あの笑顔の破壊力」
「可愛いだろぉ?」
「ええ、エルフの子供なんて、初めて見ましたよ」
「……よそに漏らすでねぇぞ」
「はい……しかし……」
「そのうち、あの子も、ここを出ていかねばなるまいて……苦労するのは目に見えてるだ……あの子が一人でも生きていけるように、できるだけのことを教えてやりてぇ……それまでの時間稼ぎくれぇ、お前でもできるだろ」
ボブは鋭い眼差しで、この場を去っていったケンとその仲間たちの向かった方を見つめた。ヘンリーは困ったような顔をしたが、最後には小さく頷いた。
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