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第5章
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この移動の二週間の間に、小さな町に三回ほど立ち寄った。住人は人族や獣人が半々くらいだろうか。残念ながら、俺と同じようなエルフの姿は見かけられなかった。野営ではゆくっくり休めなかった分、町では宿のベッドで寝られたことはよかったかもしれない。
馬車での移動中、へリウスと二人きりになれたのは、野営をしている時くらい。その中でもへリウスが見張りの当番ではない時だけだった。それ以外は周囲の誰かしらが聞き耳を立てていそうで、あまり大きな声では話は出来なかった。
ただ、わずかな休憩時間の度に、ナイフでの戦い方は教えてもらえたことはよかったかもしれない。この小さい身体じゃ、大した戦闘は出来ないけれど、この大きなナイフに慣れるくらいにはなったと思う。
子供の体の割に動きがいいのは、やっぱりエルフだからかもしれない、というのはへリウスの言い分。確かに、普通の人族の子供だったら、指の一本、二本、やらかしていそうだ。
ついでに魔法も教えてもらえないかと思ったのだが、獣人もホビット同様、あまり魔法は得意じゃないらしい。へリウスは伝達の魔法陣とかいうものを使えるらしいんだけど、それは、学校で習ったものらしく、ちゃんと魔法の授業を受けないとダメなんだとか。残念だ。それ以外の攻撃魔法とか、治癒の魔法みたいのもあるらしいんだが、それはへリウスでも使えないそうだ。獣人ってのは、肉弾戦専用ってことなんだろう。
魔法の使い方を、どこかで誰かに教わらないといけないかもしれない。
そもそも、俺に使えるのか、というのもあるんだけど。
無事に国境の街に着いたのは、日も落ちた、だいぶ遅い時間だった。
俺たちは、そこそこ大きな宿屋に泊まることができた。部屋に入って喜び勇んでベッドに飛びのったとたん、寝落ち確定。
……子供の身体が恨めしい。
「おら、ハル、飯だ、飯食いに行くぞ」
「……むぅ」
睡魔がしつこく張り付いていたけれど、飯も大事だ。
目をこすりながら身体を起こすと、へリウスが抱き上げてくれた。思わず、彼の太い首に抱きついてしまう。完全に子供モードになっている自分。眠気の方が勝っているせいか、照れくささはまったく感じない。いいのか、俺。
食事をするところに行くと、そこそこ混んでいたが、なんとか俺たち二人で座るテーブルを見つけることができた。
「あら、僕の大きさだと、この椅子じゃ、ちょっと届かないかしらね。ちょっと待っててね」
宿の女将さんだろう。人族のおばさんが、俺用にと少し厚めのクッションを持ってきてくれた。なんか屈辱。
この身体の利点と言えるのか、食事の量が、そんなに多くなくてすむことだろう。山盛りの肉に食らいついているへリウスを見て、胸やけを起こしそうになる。そのおこぼれをもらうだけで、十分に腹いっぱいだ。
「そいで、これから先のことだけどさ」
俺はおばちゃんがくれた、木の実のジュースらしきものを飲んでいる。なんというか、ココナッツミルクみたいなものなのか、ほんのりした甘味があって、なかなか旨い。
「おうよ。とりあえず、明日、乗合馬車の予定を調べに行かなきゃな」
そうなのだ。乗合馬車よりも先に宿を探しちゃったものだから、日程がまだはっきりしない。話を聞いたところ、船の出ている港町カイドンまで、シャイアールの入口のこの町からも、かなりの距離があるらしい。森の中を突っ切るのだ。馬車での移動も大変そうだ。
「そんな中、よく、ボブさんたちの依頼に応えられたね」
「うん? そりゃぁ、ボブたちだからなぁ」
しみじみと言うへリウス。
なんで、そんなに? と思ったら、数年前、まだボブさんたちが熟練冒険者としてあちこちでかけていた頃、一緒にある街の防衛戦をともに戦ったのだとか。ボブさんたちからそんな話を聞いたことがなかったので、びっくりする。
馬車での移動中、へリウスと二人きりになれたのは、野営をしている時くらい。その中でもへリウスが見張りの当番ではない時だけだった。それ以外は周囲の誰かしらが聞き耳を立てていそうで、あまり大きな声では話は出来なかった。
ただ、わずかな休憩時間の度に、ナイフでの戦い方は教えてもらえたことはよかったかもしれない。この小さい身体じゃ、大した戦闘は出来ないけれど、この大きなナイフに慣れるくらいにはなったと思う。
子供の体の割に動きがいいのは、やっぱりエルフだからかもしれない、というのはへリウスの言い分。確かに、普通の人族の子供だったら、指の一本、二本、やらかしていそうだ。
ついでに魔法も教えてもらえないかと思ったのだが、獣人もホビット同様、あまり魔法は得意じゃないらしい。へリウスは伝達の魔法陣とかいうものを使えるらしいんだけど、それは、学校で習ったものらしく、ちゃんと魔法の授業を受けないとダメなんだとか。残念だ。それ以外の攻撃魔法とか、治癒の魔法みたいのもあるらしいんだが、それはへリウスでも使えないそうだ。獣人ってのは、肉弾戦専用ってことなんだろう。
魔法の使い方を、どこかで誰かに教わらないといけないかもしれない。
そもそも、俺に使えるのか、というのもあるんだけど。
無事に国境の街に着いたのは、日も落ちた、だいぶ遅い時間だった。
俺たちは、そこそこ大きな宿屋に泊まることができた。部屋に入って喜び勇んでベッドに飛びのったとたん、寝落ち確定。
……子供の身体が恨めしい。
「おら、ハル、飯だ、飯食いに行くぞ」
「……むぅ」
睡魔がしつこく張り付いていたけれど、飯も大事だ。
目をこすりながら身体を起こすと、へリウスが抱き上げてくれた。思わず、彼の太い首に抱きついてしまう。完全に子供モードになっている自分。眠気の方が勝っているせいか、照れくささはまったく感じない。いいのか、俺。
食事をするところに行くと、そこそこ混んでいたが、なんとか俺たち二人で座るテーブルを見つけることができた。
「あら、僕の大きさだと、この椅子じゃ、ちょっと届かないかしらね。ちょっと待っててね」
宿の女将さんだろう。人族のおばさんが、俺用にと少し厚めのクッションを持ってきてくれた。なんか屈辱。
この身体の利点と言えるのか、食事の量が、そんなに多くなくてすむことだろう。山盛りの肉に食らいついているへリウスを見て、胸やけを起こしそうになる。そのおこぼれをもらうだけで、十分に腹いっぱいだ。
「そいで、これから先のことだけどさ」
俺はおばちゃんがくれた、木の実のジュースらしきものを飲んでいる。なんというか、ココナッツミルクみたいなものなのか、ほんのりした甘味があって、なかなか旨い。
「おうよ。とりあえず、明日、乗合馬車の予定を調べに行かなきゃな」
そうなのだ。乗合馬車よりも先に宿を探しちゃったものだから、日程がまだはっきりしない。話を聞いたところ、船の出ている港町カイドンまで、シャイアールの入口のこの町からも、かなりの距離があるらしい。森の中を突っ切るのだ。馬車での移動も大変そうだ。
「そんな中、よく、ボブさんたちの依頼に応えられたね」
「うん? そりゃぁ、ボブたちだからなぁ」
しみじみと言うへリウス。
なんで、そんなに? と思ったら、数年前、まだボブさんたちが熟練冒険者としてあちこちでかけていた頃、一緒にある街の防衛戦をともに戦ったのだとか。ボブさんたちからそんな話を聞いたことがなかったので、びっくりする。
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