ハルの異世界出戻り冒険譚 ~ちびっ子エルフ、獣人仲間と逃亡中~

実川えむ

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第6章

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 俺とへリウスは、外壁沿いにテントを張ることになった。しばらく宿屋の空きはできないらしい。皆、諦めて別ルートを選ぶか、戻ればいいのに、と思う。だけど、少なからず護衛できる冒険者がいるお陰で、少しずつではあるが乗合馬車や行商人達の動きがあるものだから、なかなか諦めがつかないらしい。
 追われる身の俺も、戻るという選択肢はないのだが。

「ほらよ、屋台で売ってたスープだ。今日は旨いもんと柔らかいベッドにありつけると思ったんだがなぁ」

 すでに日も落ちてきて、すっかり薄暗くなっている。周囲でも、夕食の準備でざわついている。こんなに大勢でキャンプみたいなのは初めてで、少しだけワクワクした。
 そんな中、テントのそばで火おこしをして留守番をしていた俺の目の前に、へリウスがスープの入った木の器を持ってきた。どうも町の中の屋台のようなところで買ってきたらしい。彼らにしてみても、ある意味、稼ぎ時なのかもしれない。魔物の肉と芋、それに玉ねぎだろうか。ゴロゴロと具だくさんのスープの匂いは、俺の空腹をより一層刺激した。
 俺の隣に座り、スープをすするへリウス。

「一応、連絡はしてみたが……すぐに返事がくるかどうか」
「……あんまり、ここに長居はしたくない、って感じ?」
「だな」

 魔物の問題だけではなく、冒険者の方も、問題がありそうなのだ。
 低ランクの冒険者ってだけで、質が悪いわけではないものの、やっぱり、中にはそういう奴らも少なからずいるわけで。子供の俺のことを、忌々しそうに見ている奴とか、へリウスに色目を使う奴ら(男女問わず)がいたりとか。なかなかに子供にはいい環境とは言えない(中身は子供のつもりはないんだが)。
 早いところ、ここから移動したいもんだ、などと思っていたら。

 ……GYAOOOO!

「え、何の声?」

 突然、森の向こうから聞こえてきた何かの生き物の叫び声。森の中から鳥たちが一気に飛び立つ。テントの外に出ていた人たちが、不安そうに、視線を向ける。真っ暗な森と薄闇の空。

「……ボアやウルフの叫び声じゃないよな」
「あんな声、聞いたことないぞ」

 不安そうな声が、あちこちから聞こえてくる。

 ……GYAOOOO!

「……俺はあるぞ。あれは……あれは……ワイバーンだっ!」

 そう叫ぶ男の声とともに、いっせいに周囲はパニックに陥った。あちこちで、慌ててテントを片付けだし、火も消さずに、町の中へと飛び込んでいく。このままじゃ、魔物じゃなくて火事の方が危ないんじゃないか、と思うのだが、そんなことに構っている余裕もないようだ。かく言う俺は、逆に、ポカンとしてしまった。

「まずいな……こんな時間にワイバーンが動くだなんて……討伐に失敗したか」

 意外にも冷静なのは、へリウス。

「そんなに近い所に巣があったのかな」
「いや、討伐に行った奴らが、連れてきちまったのかもしれない」
「えっ!?」

 へリウスの言葉が正しかったのは、すぐに証明された。
 森から怪我をして血まみれの少年が二人、現れた。
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