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第10章
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俺は今、トイレに籠っている。
ノドルドン商会のお姉さん(ライラさんというらしい)が、領主のお迎えとかいう人の相手をしてくれている間、ちょっとお腹の調子が悪い、という体でトイレに籠っている。
エアーの話だと、へリウスはすぐにでも来そうな感じだったのに、そろそろ30分くらい経ちそうなんだけれど、まだ誰もトイレに呼びに来ない。
「時間、かかりすぎない?」
『……他の精霊の話じゃ、なんか変なのに絡まれてるっぽい?』
「変なのって?」
『いやぁ、なんかファンみたいな連中』
「えぇぇぇ~」
――そんな奴らの相手してる場合じゃないってーのっ!
思いっきり叫びたい俺だったが、なんとかこらえた。
まだかまだか、と思ってたら、外がざわつき始めた。
「来た? 来た?」
『あー、いや。来たのは領主の方だな』
ドンドンドンドンッ
『ハルとやらっ、いいかげん、出てこいっ』
いきなり、凄い勢いでドアを叩きまくってきた。なんで名前知ってるんだよっ。
『出てこないなら、ドアを壊すまでだ』
さ、さいてーだなっ!
マジで下痢だったらどうするんだよっ! 下痢じゃないけどっ!
頑張って、お腹を下している人になりきる俺。
「お、お腹痛いから無理……」
『チッ、下痢止めの薬はやらなかったのか』
『………』
ドアの向こうで誰かと話しているらしい。納得はいかないものの、もう少し様子を見る気になったのか、偉そうな声の男が『とりあえず、落ち着いたら出てこいっ』とだけ言って離れていった。
「助かった……のか?」
『まだいるよ、それも店の中。お茶出して待たせてるっぽい』
「くそっ、もう、トイレの窓から抜けて逃げるか」
『ハルじゃ登れないって』
呆れたようにエアーに言われて、俺も頭を抱える。
『お、狼獣人が来た……なんか、強そうだぞ』
「そりゃそうだ、へリウスだぞ!」
『店の方からじゃなくて、裏口から来たみたいだ……アーロンとも合流したようだぞ』
「よしっ!」
エアーの実況中継に、俺も胸がドキドキする。
俺はトイレからいつでも飛び出せるように、ドアの前にへばりつく。足音が聞こえないか、耳をそばだてるけれど、いつまでたっても聞こえてこない。
まだ? まだ? まだ?
コン、コン、コンッ
いきなりのノックに、固まる。視線をエアーに向けると、ニマッと笑って頷いた。
「へリウス!」
ドアを開けたと同時に、目の前にいた人に抱きつく。
「待たせたな」
すでに懐かしい声になってしまったへリウスの声に、俺はバッと見上げる。
困ったような、嬉しいような、なんともいえない顔のへリウスがいた。
「待たせすぎだぞっ!」
ポカポカとへリウスの胸を叩くが、俺程度の力じゃ、効きもしない。
悔しさなのか、嬉しさなのか、つい、ポロポロと涙が出てきてしまった。
中身は18才(もう19才になるか)の男子なのに、情けない。
「悪かった、本当に、悪かったな」
そう言ってギュッと抱きしめられて、ホッとした俺だったのだけれど。
「へリウス様、お早く、裏口から」
アーロンの少し焦った声が聞こえてきた。
ノドルドン商会のお姉さん(ライラさんというらしい)が、領主のお迎えとかいう人の相手をしてくれている間、ちょっとお腹の調子が悪い、という体でトイレに籠っている。
エアーの話だと、へリウスはすぐにでも来そうな感じだったのに、そろそろ30分くらい経ちそうなんだけれど、まだ誰もトイレに呼びに来ない。
「時間、かかりすぎない?」
『……他の精霊の話じゃ、なんか変なのに絡まれてるっぽい?』
「変なのって?」
『いやぁ、なんかファンみたいな連中』
「えぇぇぇ~」
――そんな奴らの相手してる場合じゃないってーのっ!
思いっきり叫びたい俺だったが、なんとかこらえた。
まだかまだか、と思ってたら、外がざわつき始めた。
「来た? 来た?」
『あー、いや。来たのは領主の方だな』
ドンドンドンドンッ
『ハルとやらっ、いいかげん、出てこいっ』
いきなり、凄い勢いでドアを叩きまくってきた。なんで名前知ってるんだよっ。
『出てこないなら、ドアを壊すまでだ』
さ、さいてーだなっ!
マジで下痢だったらどうするんだよっ! 下痢じゃないけどっ!
頑張って、お腹を下している人になりきる俺。
「お、お腹痛いから無理……」
『チッ、下痢止めの薬はやらなかったのか』
『………』
ドアの向こうで誰かと話しているらしい。納得はいかないものの、もう少し様子を見る気になったのか、偉そうな声の男が『とりあえず、落ち着いたら出てこいっ』とだけ言って離れていった。
「助かった……のか?」
『まだいるよ、それも店の中。お茶出して待たせてるっぽい』
「くそっ、もう、トイレの窓から抜けて逃げるか」
『ハルじゃ登れないって』
呆れたようにエアーに言われて、俺も頭を抱える。
『お、狼獣人が来た……なんか、強そうだぞ』
「そりゃそうだ、へリウスだぞ!」
『店の方からじゃなくて、裏口から来たみたいだ……アーロンとも合流したようだぞ』
「よしっ!」
エアーの実況中継に、俺も胸がドキドキする。
俺はトイレからいつでも飛び出せるように、ドアの前にへばりつく。足音が聞こえないか、耳をそばだてるけれど、いつまでたっても聞こえてこない。
まだ? まだ? まだ?
コン、コン、コンッ
いきなりのノックに、固まる。視線をエアーに向けると、ニマッと笑って頷いた。
「へリウス!」
ドアを開けたと同時に、目の前にいた人に抱きつく。
「待たせたな」
すでに懐かしい声になってしまったへリウスの声に、俺はバッと見上げる。
困ったような、嬉しいような、なんともいえない顔のへリウスがいた。
「待たせすぎだぞっ!」
ポカポカとへリウスの胸を叩くが、俺程度の力じゃ、効きもしない。
悔しさなのか、嬉しさなのか、つい、ポロポロと涙が出てきてしまった。
中身は18才(もう19才になるか)の男子なのに、情けない。
「悪かった、本当に、悪かったな」
そう言ってギュッと抱きしめられて、ホッとした俺だったのだけれど。
「へリウス様、お早く、裏口から」
アーロンの少し焦った声が聞こえてきた。
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