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第13章 娘と私と人気俳優のパパ
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実家に戻ると、遼ちゃんのご両親も来ていて、大宴会になった。
主役は遼ちゃんではなく、碧だけど。
それでも遼ちゃんは、ずっと碧を抱っこして離さない。碧は大人しく抱かれていて、それを見てる私もすごく幸せだった。
「遼ちゃん、そろそろ碧、貸して」
「なんで?」
「ミルクの時間」
「あ、うん」
碧を受け取って、私の部屋に連れていく。
一人暮らしの頃の物は、戻ってくるときに、ほとんど処分してしまったけれど、実家にいた頃よりも荷物は増えていて、そのうえ、今は碧のベビーベットも置いてあって、余計に狭くなった。
「美輪、入ってもいい?」
ドア越しに声をかけてきた遼ちゃん。
「いいよ」
そろそろと入ってきた遼ちゃん。
「うわ……本当にお母さんしてるんだね」
碧に母乳を与えている私を見て、しみじみと言うから、思わず笑ってしまった。
「遼ちゃんもパパなんだよ」
「うん」
碧の頬をぷにぷに触る彼が、とても愛しくなった。
年が明けて早々、遼ちゃんは私との結婚と碧の存在について公開した。
事前に事務所の用意したマンションに移っていたので、マスコミに追いかけられることもなく、私は碧の世話で毎日を過ごした。
そんなある日。
「美輪。結婚式、あげようか」
ベビーベッドの碧をあやしながら、遼ちゃんがつぶやいた。
「えっ?」
キッチンで食器を片付けていた私は、思わず振り返ってしまった。
「ん。美輪の花嫁姿、見たいし。なぁ、碧」
人差し指であやす遼ちゃん。
「……でも」
「お義父さんや、お義母さんだって、見たいだろ。言わないだろうけどさ」
実際、両親は何も言わない。
でも、娘の花嫁姿は見たいだろう、とは思う。
「まぁ、身内だけでの結婚式だけで。披露宴とかはやらないでさ」
「遼ちゃんは、いいの? それで」
「美輪がよければ、それでいい」
碧から目をはずして、にっこりと微笑んだ。
遼ちゃんが渡米した頃は、帰ってきたら結婚式できたらいいなって思ったけど。
実際は、碧の世話でいっぱいいっぱいで、そんなこと考えてもいなかった。
遼ちゃんから言ってもらえたことが嬉しくて、涙が出てきた。
「遼ちゃん、ありがとっ…」
気が付くと、彼が優しく抱きしめてくれた。
「本当は、寺沢さんからも言われたんだ。ちゃんと式、あげろって」
寺沢さんの別れた奥さんは、結婚式をあげる暇がなかったことで、ずっと奥さんにぐずぐず言われてたとか。
「そんなことで別れるはめになりたくないし」
そう言ってニヤニヤしてる遼ちゃん。
呆れた顔で見上げると。
「それに」
軽く唇にキスをした。
「早く二人目も欲しいから」
な、なぬっ……!?
「ねぇ」
妖しい眼差しの遼ちゃんとは対照的に、ベビーベッドから、碧のキャッキャと笑う声がする。
「美輪のこと、食べてもいい?」
パパになった今でも、コテリと首を傾げて見せる姿はやっぱり王子様で。
「もう、我慢できないんだけど」
「……しょうがないなぁ」
「フフッ。いただきます♪」
私はそんな遼ちゃんを愛してる。
▶ END ◀
主役は遼ちゃんではなく、碧だけど。
それでも遼ちゃんは、ずっと碧を抱っこして離さない。碧は大人しく抱かれていて、それを見てる私もすごく幸せだった。
「遼ちゃん、そろそろ碧、貸して」
「なんで?」
「ミルクの時間」
「あ、うん」
碧を受け取って、私の部屋に連れていく。
一人暮らしの頃の物は、戻ってくるときに、ほとんど処分してしまったけれど、実家にいた頃よりも荷物は増えていて、そのうえ、今は碧のベビーベットも置いてあって、余計に狭くなった。
「美輪、入ってもいい?」
ドア越しに声をかけてきた遼ちゃん。
「いいよ」
そろそろと入ってきた遼ちゃん。
「うわ……本当にお母さんしてるんだね」
碧に母乳を与えている私を見て、しみじみと言うから、思わず笑ってしまった。
「遼ちゃんもパパなんだよ」
「うん」
碧の頬をぷにぷに触る彼が、とても愛しくなった。
年が明けて早々、遼ちゃんは私との結婚と碧の存在について公開した。
事前に事務所の用意したマンションに移っていたので、マスコミに追いかけられることもなく、私は碧の世話で毎日を過ごした。
そんなある日。
「美輪。結婚式、あげようか」
ベビーベッドの碧をあやしながら、遼ちゃんがつぶやいた。
「えっ?」
キッチンで食器を片付けていた私は、思わず振り返ってしまった。
「ん。美輪の花嫁姿、見たいし。なぁ、碧」
人差し指であやす遼ちゃん。
「……でも」
「お義父さんや、お義母さんだって、見たいだろ。言わないだろうけどさ」
実際、両親は何も言わない。
でも、娘の花嫁姿は見たいだろう、とは思う。
「まぁ、身内だけでの結婚式だけで。披露宴とかはやらないでさ」
「遼ちゃんは、いいの? それで」
「美輪がよければ、それでいい」
碧から目をはずして、にっこりと微笑んだ。
遼ちゃんが渡米した頃は、帰ってきたら結婚式できたらいいなって思ったけど。
実際は、碧の世話でいっぱいいっぱいで、そんなこと考えてもいなかった。
遼ちゃんから言ってもらえたことが嬉しくて、涙が出てきた。
「遼ちゃん、ありがとっ…」
気が付くと、彼が優しく抱きしめてくれた。
「本当は、寺沢さんからも言われたんだ。ちゃんと式、あげろって」
寺沢さんの別れた奥さんは、結婚式をあげる暇がなかったことで、ずっと奥さんにぐずぐず言われてたとか。
「そんなことで別れるはめになりたくないし」
そう言ってニヤニヤしてる遼ちゃん。
呆れた顔で見上げると。
「それに」
軽く唇にキスをした。
「早く二人目も欲しいから」
な、なぬっ……!?
「ねぇ」
妖しい眼差しの遼ちゃんとは対照的に、ベビーベッドから、碧のキャッキャと笑う声がする。
「美輪のこと、食べてもいい?」
パパになった今でも、コテリと首を傾げて見せる姿はやっぱり王子様で。
「もう、我慢できないんだけど」
「……しょうがないなぁ」
「フフッ。いただきます♪」
私はそんな遼ちゃんを愛してる。
▶ END ◀
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