25 / 69
ロジータ、街を出る
第25話 ロジータ、買い出しに行く(1)
しおりを挟む
商人ギルドでの用事を済ませた私は、大小の商店が並ぶ通りにやってきました。
「とりあえず、買える物だけ買おう」
マジックバッグの中には元々持っていた微々たるお金(銅貨と鉄貨)に、冒険者ギルドと商人ギルドで得られたお金が加わって、少しの余裕はあるものの、万全とは言いきれません。
まずは『フロリンダ』時代にまったく使ったことがなかった調理器具を買いに行くことにしました。
前世を思い出して、スキルに『料理』が加わったこともあり、野営時に料理もできるでしょう。
そうしないと、ストックしてある宿屋のおばさんの料理があっという間に無くなってしまいます。
「そこの鍋の大中小セットと、あ、そのフライパンください」
「あ、この包丁いいかも」
「ヤカンも買っておかないとダメか」
「フライ返しと……あれ、菜箸はないか」
「え、これ、何?」
見れば見るほど、気になる調理器具が出てきますが、手元の資金は多くはありません。
今は最低限の物だけに留めて、次は食器関連のお店に向かいます。
自分の分はあるものの、ダニーとサリー用の食器を用意しないといけません。
「このカトラリー、最後の2セットだったら、安くなりません?」
「ああ、その木のお皿のセットと合わせてだったら?」
前世を思い出す前の私だったら、言い値で買っていたでしょうけれど、今の私は、商品をチェックしながらできるだけ安く買おうと、多少の値切り交渉も頑張れます。
ありがたいことに、必死な私の頑張りに、お店のおじさんやおばさんも、仕方がないなぁ、と言って、少しだけオマケしてくれました。
「あとは、食材か」
肉の類はインベントリに未解体の物がいくらでも入っています。むしろ野菜や調味料、加工してある物を買っておいた方がいいでしょう。
そう思って、野菜類を扱っていそうな店を探したのですが、見当たりません。通りすがりのおばさんに聞いてみると、そういうお店は多くは露天商で、朝の早い時間に開いているそうで、昼過ぎの時間にはほとんど閉まっているそうです。
「あるとしたら、西門の近くの店が残ってるかもしれないねぇ」
早くに来る露店ほど中央に近いところにあり、徐々に西門の近くに伸びていくのだそうです。
おばさんにお礼を言って、急いで西門近くの方へと向かいます。
確かにほとんどの露天商は後片付けをしていたり、すでに撤収し終わって空きスペースになっているところもありました。
「あ、あった」
まさに西門近くの露天商が、商品を残しながらも、後片付けを始めているのが、2、3軒あります。残っている野菜の中でも、葉物野菜はすでに萎れ始めてます。
片付け途中のおばさんに声をかけて、萎れている葉物野菜も含め、売れ残っている野菜類をまとめ買いしますと言ったら、ここでも少しだけ値引きしてもらえました。
「持ち帰らなきゃいけなかったから、助かったよ」
「いえいえ」
野菜類はなんとかなったので、次は調味料や加工品を買おうと思ったのですが。
ギュルル~
盛大にお腹が鳴ってしまいました。
「買い物の前に、お昼かな」
私は食べ物を扱っている屋台が集まっている通りに向かうことにしました。
「とりあえず、買える物だけ買おう」
マジックバッグの中には元々持っていた微々たるお金(銅貨と鉄貨)に、冒険者ギルドと商人ギルドで得られたお金が加わって、少しの余裕はあるものの、万全とは言いきれません。
まずは『フロリンダ』時代にまったく使ったことがなかった調理器具を買いに行くことにしました。
前世を思い出して、スキルに『料理』が加わったこともあり、野営時に料理もできるでしょう。
そうしないと、ストックしてある宿屋のおばさんの料理があっという間に無くなってしまいます。
「そこの鍋の大中小セットと、あ、そのフライパンください」
「あ、この包丁いいかも」
「ヤカンも買っておかないとダメか」
「フライ返しと……あれ、菜箸はないか」
「え、これ、何?」
見れば見るほど、気になる調理器具が出てきますが、手元の資金は多くはありません。
今は最低限の物だけに留めて、次は食器関連のお店に向かいます。
自分の分はあるものの、ダニーとサリー用の食器を用意しないといけません。
「このカトラリー、最後の2セットだったら、安くなりません?」
「ああ、その木のお皿のセットと合わせてだったら?」
前世を思い出す前の私だったら、言い値で買っていたでしょうけれど、今の私は、商品をチェックしながらできるだけ安く買おうと、多少の値切り交渉も頑張れます。
ありがたいことに、必死な私の頑張りに、お店のおじさんやおばさんも、仕方がないなぁ、と言って、少しだけオマケしてくれました。
「あとは、食材か」
肉の類はインベントリに未解体の物がいくらでも入っています。むしろ野菜や調味料、加工してある物を買っておいた方がいいでしょう。
そう思って、野菜類を扱っていそうな店を探したのですが、見当たりません。通りすがりのおばさんに聞いてみると、そういうお店は多くは露天商で、朝の早い時間に開いているそうで、昼過ぎの時間にはほとんど閉まっているそうです。
「あるとしたら、西門の近くの店が残ってるかもしれないねぇ」
早くに来る露店ほど中央に近いところにあり、徐々に西門の近くに伸びていくのだそうです。
おばさんにお礼を言って、急いで西門近くの方へと向かいます。
確かにほとんどの露天商は後片付けをしていたり、すでに撤収し終わって空きスペースになっているところもありました。
「あ、あった」
まさに西門近くの露天商が、商品を残しながらも、後片付けを始めているのが、2、3軒あります。残っている野菜の中でも、葉物野菜はすでに萎れ始めてます。
片付け途中のおばさんに声をかけて、萎れている葉物野菜も含め、売れ残っている野菜類をまとめ買いしますと言ったら、ここでも少しだけ値引きしてもらえました。
「持ち帰らなきゃいけなかったから、助かったよ」
「いえいえ」
野菜類はなんとかなったので、次は調味料や加工品を買おうと思ったのですが。
ギュルル~
盛大にお腹が鳴ってしまいました。
「買い物の前に、お昼かな」
私は食べ物を扱っている屋台が集まっている通りに向かうことにしました。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ゆとりある生活を異世界で
コロ
ファンタジー
とある世界の皇国
公爵家の長男坊は
少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた…
それなりに頑張って生きていた俺は48歳
なかなか楽しい人生だと満喫していたら
交通事故でアッサリ逝ってもた…orz
そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が
『楽しませてくれた礼をあげるよ』
とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に…
それもチートまでくれて♪
ありがたやありがたや
チート?強力なのがあります→使うとは言ってない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います
宜しくお付き合い下さい
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
愛する婚約者に殺された公爵令嬢、死に戻りして光の公爵様(お父様)の溺愛に気づく 〜今度こそ、生きて幸せになります〜
あーもんど
恋愛
「愛だの恋だのくだらない」
そう吐き捨てる婚約者に、命を奪われた公爵令嬢ベアトリス。
何もかもに絶望し、死を受け入れるものの……目を覚ますと、過去に戻っていて!?
しかも、謎の青年が現れ、逆行の理由は公爵にあると宣う。
よくよく話を聞いてみると、ベアトリスの父────『光の公爵様』は娘の死を受けて、狂ってしまったらしい。
その結果、世界は滅亡の危機へと追いやられ……青年は仲間と共に、慌てて逆行してきたとのこと。
────ベアトリスを死なせないために。
「いいか?よく聞け!光の公爵様を闇堕ちさせない、たった一つの方法……それは────愛娘であるお前が生きて、幸せになることだ!」
ずっと父親に恨まれていると思っていたベアトリスは、青年の言葉をなかなか信じられなかった。
でも、長年自分を虐げてきた家庭教師が父の手によって居なくなり……少しずつ日常は変化していく。
「私……お父様にちゃんと愛されていたんだ」
不器用で……でも、とてつもなく大きな愛情を向けられていると気づき、ベアトリスはようやく生きる決意を固めた。
────今度こそ、本当の幸せを手に入れてみせる。
もう偽りの愛情には、縋らない。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
*溺愛パパをメインとして書くのは初めてなので、暖かく見守っていただけますと幸いですm(_ _)m*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる