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ロジータ、街を出る
第24話 商人ギルドの登録と、買い取り
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二階から降りてきた私はカウンターの方に目を向けます。
声をかけてくれた男性は先に降りて行って、すでにカウンターの中で別のお客さんに対応していました。
ふと『フロリンダ』時代のことを思い出しました。
私はやったことはありませんでしたが、当時の商人ギルドでは冒険者ギルド同様、色々な買い取りをしてくれていました。今も同じような仕組みがあるのでしょうか。
アーカンスの冒険者ギルドでは『フロリンダ』時代に手に入れた物を売る気にはなりませんでした。下手な実績を残したら、ギルドマスターやアマンダさんに目を付けられそうです。
でも、ここでなら、手持ちの物を1つくらい売っても大丈夫ではないでしょうか。
「では、よろしく」
「はい、かしこまりました」
カウンターでは別の男性がお客さんの対応が終わったようなので、私は彼の前へと向かいます。
「あの」
「はい、なんでしょうか」
「こちらで買い取りとかってしていただけますか?」
「……お品物によっては、難しい物もございますが、どういった物でしょうか」
この男性は、子供の私に対しても丁寧な言い方をしてくれます。
私はこっそりインベントリの画面を出して何を出すべきか、少し考えました。ちなみに、画面は他の人には見えません。孤児院でダニーとサリーの前で確認済みです。
「この魔石、どうでしょうか」
「……」
私は掌に中くらいのサイズの黄色い魔石をのせて、差し出して見せました。
これはオークの魔石で、大きさはそこそこありますが濁りがあるので、あまり上等な類ではありません。
男性は真剣な顔で魔石を見ると、カウンターの引き出しから手袋を取り出して、自分の手にはめました。指先で魔石を手に取り、矯めつ眇めつしつつ、じっくりと見ています。
「これは、オークの魔石ですね」
「そ、そうなんですか? これは亡くなった両親の残してくれた物なんですが」
今のロジータでは狩れない魔物なので、そう誤魔化します。
男性は少し考え込みます。
「ちなみに、商人ギルドのギルドカードはお持ちですか?」
「い、いえ」
「よろしかったら、作っていかれますか? 登録には銀貨3枚必要ですが」
そう言われて、ちょっと躊躇します。正直、銀貨3枚は少し痛いのです。
「あの、登録した場合のメリットって」
「そうですねぇ。身分証として使えることと、商人ギルドでの品物の売却時の手数料が少し安くなります」
「先程の魔石の場合、どうなりますか?」
「こちらでしたら、そうですね。未加入の場合は手数料を2割頂いて、銀貨8枚といったところでしょうか」
「え、じゃあ、」
「加入した場合は1割ですので、銀貨9枚です」
銀貨1枚分お得にはなるけれど、そのために銀貨3枚。
でも、この先、何度かお世話になるかもしれないことを考えたら、銀貨3枚は安いものです。それに、商人ギルドのカードは冒険者ギルドがあてにならなかった時の身分証代わりにもなるでしょう。
念のためデメリットも確認したところ、Cランク未満は毎年更新料銀貨3枚が取られるそうです。Cランク未満で更新料を免除したい場合は、商人ギルドに口座を設けて、10万ギル(約100万円)以上を預けていないといけないそうです。
今の私にはとてもじゃないけれど無理な金額です(『フロリンダ』時代の遺物を売却したら、あっという間かもしれませんが)。
「で、では、登録お願いします」
「はい、畏まりました」
男性はにこりと笑うと、私の目の前に書類と筆記用具を差し出しました。
声をかけてくれた男性は先に降りて行って、すでにカウンターの中で別のお客さんに対応していました。
ふと『フロリンダ』時代のことを思い出しました。
私はやったことはありませんでしたが、当時の商人ギルドでは冒険者ギルド同様、色々な買い取りをしてくれていました。今も同じような仕組みがあるのでしょうか。
アーカンスの冒険者ギルドでは『フロリンダ』時代に手に入れた物を売る気にはなりませんでした。下手な実績を残したら、ギルドマスターやアマンダさんに目を付けられそうです。
でも、ここでなら、手持ちの物を1つくらい売っても大丈夫ではないでしょうか。
「では、よろしく」
「はい、かしこまりました」
カウンターでは別の男性がお客さんの対応が終わったようなので、私は彼の前へと向かいます。
「あの」
「はい、なんでしょうか」
「こちらで買い取りとかってしていただけますか?」
「……お品物によっては、難しい物もございますが、どういった物でしょうか」
この男性は、子供の私に対しても丁寧な言い方をしてくれます。
私はこっそりインベントリの画面を出して何を出すべきか、少し考えました。ちなみに、画面は他の人には見えません。孤児院でダニーとサリーの前で確認済みです。
「この魔石、どうでしょうか」
「……」
私は掌に中くらいのサイズの黄色い魔石をのせて、差し出して見せました。
これはオークの魔石で、大きさはそこそこありますが濁りがあるので、あまり上等な類ではありません。
男性は真剣な顔で魔石を見ると、カウンターの引き出しから手袋を取り出して、自分の手にはめました。指先で魔石を手に取り、矯めつ眇めつしつつ、じっくりと見ています。
「これは、オークの魔石ですね」
「そ、そうなんですか? これは亡くなった両親の残してくれた物なんですが」
今のロジータでは狩れない魔物なので、そう誤魔化します。
男性は少し考え込みます。
「ちなみに、商人ギルドのギルドカードはお持ちですか?」
「い、いえ」
「よろしかったら、作っていかれますか? 登録には銀貨3枚必要ですが」
そう言われて、ちょっと躊躇します。正直、銀貨3枚は少し痛いのです。
「あの、登録した場合のメリットって」
「そうですねぇ。身分証として使えることと、商人ギルドでの品物の売却時の手数料が少し安くなります」
「先程の魔石の場合、どうなりますか?」
「こちらでしたら、そうですね。未加入の場合は手数料を2割頂いて、銀貨8枚といったところでしょうか」
「え、じゃあ、」
「加入した場合は1割ですので、銀貨9枚です」
銀貨1枚分お得にはなるけれど、そのために銀貨3枚。
でも、この先、何度かお世話になるかもしれないことを考えたら、銀貨3枚は安いものです。それに、商人ギルドのカードは冒険者ギルドがあてにならなかった時の身分証代わりにもなるでしょう。
念のためデメリットも確認したところ、Cランク未満は毎年更新料銀貨3枚が取られるそうです。Cランク未満で更新料を免除したい場合は、商人ギルドに口座を設けて、10万ギル(約100万円)以上を預けていないといけないそうです。
今の私にはとてもじゃないけれど無理な金額です(『フロリンダ』時代の遺物を売却したら、あっという間かもしれませんが)。
「で、では、登録お願いします」
「はい、畏まりました」
男性はにこりと笑うと、私の目の前に書類と筆記用具を差し出しました。
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