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ロジータ、隣国を目指す
第66話 土砂崩れ
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白虎と行動を共にするようになって3日目に、ようやく山の向こう側、隣国ロフタール王国側の森林を見下ろす場所までやってきました。ここから先は下る道になっているようです。
周囲には高い木などはなく、岩がゴロゴロ落ちている場所です。こんなところまでよくダーウィが登って来れたと思います。
それもこれも白虎が『ウィンドカッター』で木々を払い、土魔法で道幅を広くしてくれたりと、色んな魔法を使ってくれたおかげというのが、少しばかりモヤッとするところなのですが。
『うん? 空に面倒そうなのがいるな』
白虎は白い子猫姿でダーウィの頭の上に乗りながら、上空を見上げています。
あんな不安定な場所で良く座っていられると思う半面、ダーウィのほうもよくのせているものだ、と思います。重くないのでしょうか。
「面倒そうって……こんな岩山だとワイバーンとか?」
『いや、あれはエンペラーイーグルだな』
「は?」
私の『フロリンダ』時代の知識では、エンペラーイーグルはもっと北の山岳地域にいる魔物のはずなのです。
私も上空を見上げると、確かに黒い点が2つばかり、動いています。あれがエンペラーイーグルだと、よくわかったものです。
『ふむ。このまま上空を飛んでるだけならいいんだがな』
「まだ日も高いし、早く山を下りよう」
ゴロゴロと石が落ちている道を、急いで山を下りていきます。
「あ、あれは」
私たちの目の前に現れたのは、土砂崩れによって寸断されている、かつて道だったところでした。もしかしてこの土砂崩れのせいで、この山の道が使われなくなったのでしょうか。
『ふむ』
白い子猫の白虎が、ダーウィの頭から飛び降りると、土砂崩れのほうへとピョンピョンと軽快な足取りで向かっていきます。
白虎が通ったあと、小石がコロコロと落ちていきます。随分と地盤が緩いのでしょうか。
――ここを越えられないとなると、ワインハイツ王国側に戻ることになる。それは勘弁してほしいわ。
白虎の土魔法を使ってなんとかならないだろうか、と考えていると、思いのほか早く白虎が戻ってきました。土砂の上からゆっくりと下りてきます。
「どうだった?」
『けっこうな距離が土砂崩れで道がなくなっているな。そのうえ、かなり大きな岩が道を塞いでいる』
「なんですって」
大きな姿に戻った白虎であれば問題なく越えられそうというのですが、そうなるとダーウィを連れていけません。
双子たちも不安そうな顔になっています。
――このまま、やっぱり戻らないとダメなのかな。
『くそっ! ロジータ! 上!』
私が考え込んでいたところに、白虎の焦った声が聞こえました。
ハッとして顔をあげると、先程までかなり高いところにいたはずのエンペラーイーグルが1羽、こちらに向かって飛んできます。
――マズイ!
私はダーウィたちを庇うように、アイスドラゴンの刃の小刀を手に前に出ました。
すると急降下していたエンペラーイーグルは、途中で止まりました。大きな羽を羽ばたかせながら、ホバリングしています。
大きさでいえば、羽を広げたエンペラーイーグルは、大きな身体に戻った白虎など、両足で掴んで運べそうなくらいです。
あまりの大きさに、血の気がひきます。
『……お前さん、ミリアじゃないねぇ』
突然、のんびりしたおばさんのような声が聞こえました。
「えっ」
『うちの息子が、ミリアの魔法を感じたっていうもんだから、見にきたんだけどぉ』
……まさか、こんなところで、また母の名前が出てくるとは思いませんでした。
+ + + + + + + +
いつも読んで頂きありがとうございます。
大変申し訳ないのですが、『山、買いました』の書籍化作業を優先するため、しばらく、こちらの更新頻度を週に1回に変更しようと思います。
また落ち着きましたら、ペースを上げられればと思います。
よろしくお願いします。<(_ _)>
周囲には高い木などはなく、岩がゴロゴロ落ちている場所です。こんなところまでよくダーウィが登って来れたと思います。
それもこれも白虎が『ウィンドカッター』で木々を払い、土魔法で道幅を広くしてくれたりと、色んな魔法を使ってくれたおかげというのが、少しばかりモヤッとするところなのですが。
『うん? 空に面倒そうなのがいるな』
白虎は白い子猫姿でダーウィの頭の上に乗りながら、上空を見上げています。
あんな不安定な場所で良く座っていられると思う半面、ダーウィのほうもよくのせているものだ、と思います。重くないのでしょうか。
「面倒そうって……こんな岩山だとワイバーンとか?」
『いや、あれはエンペラーイーグルだな』
「は?」
私の『フロリンダ』時代の知識では、エンペラーイーグルはもっと北の山岳地域にいる魔物のはずなのです。
私も上空を見上げると、確かに黒い点が2つばかり、動いています。あれがエンペラーイーグルだと、よくわかったものです。
『ふむ。このまま上空を飛んでるだけならいいんだがな』
「まだ日も高いし、早く山を下りよう」
ゴロゴロと石が落ちている道を、急いで山を下りていきます。
「あ、あれは」
私たちの目の前に現れたのは、土砂崩れによって寸断されている、かつて道だったところでした。もしかしてこの土砂崩れのせいで、この山の道が使われなくなったのでしょうか。
『ふむ』
白い子猫の白虎が、ダーウィの頭から飛び降りると、土砂崩れのほうへとピョンピョンと軽快な足取りで向かっていきます。
白虎が通ったあと、小石がコロコロと落ちていきます。随分と地盤が緩いのでしょうか。
――ここを越えられないとなると、ワインハイツ王国側に戻ることになる。それは勘弁してほしいわ。
白虎の土魔法を使ってなんとかならないだろうか、と考えていると、思いのほか早く白虎が戻ってきました。土砂の上からゆっくりと下りてきます。
「どうだった?」
『けっこうな距離が土砂崩れで道がなくなっているな。そのうえ、かなり大きな岩が道を塞いでいる』
「なんですって」
大きな姿に戻った白虎であれば問題なく越えられそうというのですが、そうなるとダーウィを連れていけません。
双子たちも不安そうな顔になっています。
――このまま、やっぱり戻らないとダメなのかな。
『くそっ! ロジータ! 上!』
私が考え込んでいたところに、白虎の焦った声が聞こえました。
ハッとして顔をあげると、先程までかなり高いところにいたはずのエンペラーイーグルが1羽、こちらに向かって飛んできます。
――マズイ!
私はダーウィたちを庇うように、アイスドラゴンの刃の小刀を手に前に出ました。
すると急降下していたエンペラーイーグルは、途中で止まりました。大きな羽を羽ばたかせながら、ホバリングしています。
大きさでいえば、羽を広げたエンペラーイーグルは、大きな身体に戻った白虎など、両足で掴んで運べそうなくらいです。
あまりの大きさに、血の気がひきます。
『……お前さん、ミリアじゃないねぇ』
突然、のんびりしたおばさんのような声が聞こえました。
「えっ」
『うちの息子が、ミリアの魔法を感じたっていうもんだから、見にきたんだけどぉ』
……まさか、こんなところで、また母の名前が出てくるとは思いませんでした。
+ + + + + + + +
いつも読んで頂きありがとうございます。
大変申し訳ないのですが、『山、買いました』の書籍化作業を優先するため、しばらく、こちらの更新頻度を週に1回に変更しようと思います。
また落ち着きましたら、ペースを上げられればと思います。
よろしくお願いします。<(_ _)>
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