転生レッド、乙女ゲー世界を救うヒーローとなる

ムネミツ

文字の大きさ
61 / 75
第二部 砂漠の国と星の魔神偏 第一章:ガラム帝国探訪編

第六十一話:インターバル、姫の覚醒

しおりを挟む
 何らかの魔術儀式が企まれている。

 歯がゆいが相手の掌の上に乗らねばならない。

 倒した相手もこちら側で回収したい所。

 敵が俺達をコストにしようと企んでるのはわかってる。

 とはいえ、祭典をぶち壊しとかしたら今後の国際関係がこじれる。

 郷に入れば郷に従えって言葉があるが、これから仲良くして行きたい相手に対して
下手は打てない。

 例えるなら外国のオリンピック選手が、開催国でテロ行為したら戦争勃発になる。

 平和の為の祭典を悪事に利用されてるとしても、下手にぶち壊したらあかんのよ。

 レオンから聞いたが、俺達が無事に来れたのもテイル皇妃の使者達をやり込めたからだそうだ。

 ゴールドバーグ王国へ先に手紙を出したのは、テイル皇妃の一派らしい。

 外交で互いに貸しだ借りだと駆け引きして繋いだ道。

 ガラム帝国の罪なき人々の命と暮らしが人質状態な今、下手に相手を殴れない。

 敵の陣地に正面から入り込んでの立ち回りなのだ。

 歯がゆいが、このストレスは決戦の爆発力の燃料に変える。

 世界を守る力は世界を滅ぼす力に容易く変わる。

 今はヒーローに先手無しの精神で耐えるしかなかった。

 「マッカよ、すまぬ」
 「願いの敵う鍋やテイル皇妃について、調べ切れませんでした」

 戻って来た控室にて、クラウとアデーレが俺に頭を下げた。

 敵の懐へ入り込むのは無理だったようだ。

 招かれた身としてホスト側に挨拶したいと温和にとりなしを頼むも拒否。

 テイル皇妃のガードは固く、大会終了後の宴会迄待てとの事らしい。

 アデーレ達のミッションは失敗。

 とはいえ、前世で幾度となく敵の基地への潜入調査ぶち壊しまくっていた俺には彼女達を咎める何てできない。

 「いや、二人が無事なら構わない帰って来てくれてありがとう♪」

 俺は本心を伝える、共に戦う仲間であると同時に妻である彼女達。

 彼女達の誰一人として失いたくない、愛に応えて愛を守りたい。

 敵の手に捕らわれて、無惨な目に遭わされなかっただけで十分だ。

 「レオン達もありがとう、事件が解決したら新婚旅行でガラムを楽しもう♪」

 俺は皆に微笑みかける、俺自身がまずは笑わねば。

 笑う門には福来る、マイナスの力を倒すには強大なプラスの力がいる。

 積極的に仲間達とプラスの力を生み出して行かねばならない。

 「でしたら、皆様に最高のガラム観光を提供させていただきますわ♪」

 俺の気持ちを察したのか、パティ姫が提案する。

 「まあ、素敵な提案ですわ♪」

 フローラが笑顔で手を叩いて喜ぶ。

 「ガラムの料理を満喫したいでござる♪」

 アオイは手を上げて希望を述べる。

 「私は、夜景が見たいわ♪」

 レオンは俺に絡みついて笑顔で自分お希望を言う。

 「妾は、魔神の工場を見たいのじゃ♪」

 アデーレも鼻息を荒くして叫ぶ。

 「私は、この国の神殿にお参りをしたいです」

 クラウは礼拝を希望。

 「よし、楽しい予定を立てて実行するべく頑張るぞ♪」

 俺が拳を握り着き上げると皆が同意して拳を突き上げた。

 ヒーローに盆暮れ正月はないと言うが、平和な休暇は欲しい。

 休暇は新たな事件の前振りとかあるが、今度は大丈夫なはず。

 海では鮫、山では悪の怪人と遊びに行くと出先で事件が起きて来た。

 いかん、俺が事件を思いかえすとこの世界でも再現されかねない。

 楽しい事を考えねば。

 「まずは、お休みになって次の試合に備えて下さいませ」
 「ああ、次は準決勝確実に歩を進めるぜ♪」

 虚空から黄金の林檎を取り出して喰らう。

 農耕神が作りし万能アイテム生命の林檎、これを食えばもう元気百倍だ。

 パティ姫が俺が林檎を食う様を見るので、もう一個取り出して手渡しで献上する。

 「ありがとうございます、いただきますわ」

 姫が林檎を食べる、彼女にも農耕神アップルの加護が得られるだろう。

 「パオ! 体中に光が満ちて力が沸いて来ましたわ♪」

 パティ姫が全身から光を放ち、額に第三の目を開眼させる。

 そして背後に金色に輝く象のオーラを出現させた。

 「ちょ、姫が覚醒したでござる!」

 アオイが驚いて腰を抜かした。

 「こ、これは何とすさまじい魔力ですの!」

 フローラは象のヴィジョンが発する魔力に驚愕する。

 「マッカ、そなたはまたやらかしおったな!」
 「いや、俺は林檎をあげただけだって!」

 アデーレが俺に詰め寄る。

 「プリンセス、お心とお体に異常はございませんか?」

 レオンは穏やかにパティ姫に尋ねる。

 「はい、マッカ様からいただいた林檎の力で神へと覚醒出来ました」

 両の瞳を閉じ、仏様みたいに座禅を組んで宙に浮かんだパティ姫。

 「マッカさん、あの林檎は神へと至らせるって忘れてましたね?」
 「ああ、だがこれはチャンスだろクラウ?」

 うっかりパティ姫を神に覚醒させてしまったが、これは戦力強化では?

 「マッカ様、感謝いたします。 私もこの力で皆様と戦えます」
 「試合と機体はもう少し俺に預けて下さい、その間に姫は神の力の習熟に」
 「はい、修行に励み神の力を使いこなして見せます♪」

 地面に降りて俺に礼をするパティ姫。

 額の第三の目が閉じて元に戻る姫。

 姫が自衛できる力を得たのは何よりだよ。

 俺達も勤めがある以上、何時までも彼女の護衛してるわけにはいかん。

 いつかは立ち去り帰らねばならんし、他の国にもいかないといけない。

 ガラム帝国を守るのは、ガラムの王族や民達の役目だ。

 さて、次はいよいよ準決勝だと俺は意気込む。

 同時に控室のドアが開かれて、豹の獣人の兵士が入って来た。

 「失礼いたします、準決勝の試合ですが三日後に延期となりました!」

 長い棒を持った、武道の稽古着みたいな服装の兵士が直立姿勢で叫ぶ。

 「それは、理由を聞いても良いのかな?」

 俺が兵士の目を見て問いかける、魔力とかからは悪人には見えない。

 「は、テイル皇妃の占いにより日取りが良いのは三日後だとの事です!」
 「決勝戦も同じ日かな?」

 俺の問いかけに兵が頷く、敵が本格的に動くまで残り三日か。

 兵士を帰らせると俺は仲間達とパティ姫を見やる。

 「三日後ね、縁起が良いのは皇妃にとってでしょうね?」

 レオンがため息交じりに呟く。

 「余裕ぶって私達に三日も与えた事を後悔させて見せましょう!」

 アオイが拳を握り気合を入れる。

 「では、その間に姫様のお稽古の相手は私が」
 「フローラ様、宜しくお願いいたします!」
 「厳しい稽古ですが、音を上げてはなりませんよ?」
 「はい、先生!」

 フローラとパティ姫の間に師弟関係が結ばれた。

 「ならば妾とクラウは機体の整備じゃの?」
 「ええ、ハチダイレンセイオーで悪の野望を砕きましょう」

 アデーレとクラウは俺達の本来のメカの整備。

 連絡を入れたら、バッシュとクレインは皇妃達の護衛の継続。

 役割分担と、どう合流するかなどを決める。

 「じゃあ、私はマッカと一緒に夜の街へデートに行きたい♪」
 「「駄目です!」」

 レオンの抜け駆けを防ごうと反対する嫁達。

 闘技場の近くの市場にある店を貸し切り皆で食事となった。

 「ここは鍋王朝風の店だな?」

 真紅の巨大円卓、高級中華料理店ですどう見てもと言う店内。

 料理も地球人から見たら中華料理のフルコースにしか見えない物ばかり。

 「さあマッカ、果糖水よ♪」
 「いや、毒が裏返るとかねえから!」

 レオンが俺に砂糖水を勧めて来るが、それは飲むならデザートだろ。

 「マッカ様、はい蟹ですわよ♪」

 フローラが蟹の載った皿を出して来る。

 「あ、それはいただきます♪」

 蟹は好きなのでもらう、そういやこっちに転生してから蟹は初めて食ったな。

 毒に侵されてもいないのに俺は仲間達と、薬膳料理のフルコースで英気を養った。

 店を出る時、入れ違いに強烈な気を放つ武人とすれ違った。

 「ほう、もしや貴殿はガランピックの選手かな?」
 「鍋の国からも選手が来てるとは思いもしませんでしたがね?」

 俺は中華の武将と言う風体の鎧姿の武人の男と語り合う。

 「我が名はタン、タン・タンメン。 準決勝でまた会おう勇者よ♪」

 タンと名乗った男は微笑み、俺と入れ違いで店内へ入って行く。

 これは準決勝も、一筋縄じゃ行かなそうだな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...