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しおりを挟む「行ってきます」
美咲は仕事に出かけるように青磁に声をかけた
「帰りは明後日の夜になると思います。
京都で真美と落ち合って久しぶりにお祭りを観てくるので」
ダイニングテーブルで経済新聞を読みながら
美咲が作った朝食を食べている青磁は
「気を付けてね」
と新聞から目を離さずに送る言葉をかけた
可もなく不可もなく、こんな穏やかな夫婦生活が6年続いている
結婚当初は子どもを望み、二人で夢を語り合い遊びに出かけたいたが
6年もたつと二人の関係は「空気」のような存在になっていた。
しかし、6年たっても青磁は美咲のことはとても大切に扱ってくれる。
美味しい食事と綺麗に掃除がされ品よくまとめられた居住空間
雑誌にでも出てくるような二人の生活
足らないものは唯一「子ども」だけかもしれない。
美咲の中でいつの間にか「愛」は「情」に変わっていた。
結婚して3年を過ぎたころから子どもが欲しかった美咲は
いわゆる「妊活」を始めた、友人から評判が良い婦人科を教えてもらい
いろいろと試してみたがそれでも望む「妊娠」はしなかった。
最終的に青磁の検査になったのだが。。。
そこで思いもかけない結果が出てきた。
原因は青磁にあったのだ。まったく可能性が無いわけではないが
真っ白な診察室で可能性はかなり低いと聞かされた美咲
ショックは大きかったが、それでも青磁を気遣い努めて明るく過ごした。
そんな頃だった、夏休みに青磁より一後先に実家に帰省する為の
東京駅で偶然にも孝志と再開したのだ。
「美咲?」
新幹線の発車をスマホのゲームをしながら待っていた美咲の頭上から
懐かしい声が響いてきた。
思わず声の方に顔を向けると少し日焼けした懐かしい顔がそこにはあった
「孝。。。」
大学の卒業後、語学留学の為イタリアに渡航してから見ていない笑顔がそこに合った。
孝志と美咲は東京駅から新幹線で1時間ほどの地方都市で生まれ育った。
お互いの母親が仲が良くいわゆる幼馴染というやつだ
2歳年下の孝志ではあるが、いつもまるで自分の方が「年上」とでもいうように
小さい頃から美咲に対しては接してきた。
美咲といえば少し苦々しく思いながらそれを許し
成長してからは少し高ビーに。。。
「お盆休み?」
孝志は当然のようにストンと隣の席に腰を下ろした。
「おばさん元気?」
何もなかったように孝志が話しかける
少しドキマギしながら話し始めると
あっという間に7年の時間は埋まり
相変らず大人ぶった上から目線の孝志の話に
引き込まれていった。
「つぎは○○~」
二人の降車駅のアナウンスが入る
「美咲、飯食おうよ。6時に迎えに行く」
と別れ際に言い放ち、美咲の返事も聞かず
タクシーに乗って行った。
「あら!孝志君じゃない?」
美咲を迎えに来た母が孝志の後ろ姿に気がつき
美咲に話しかけてきた
「うん、新幹線の中で一緒になったの」
と美咲が答えると
「ふーん、ニューヨークにいるって聞いてたけど」
と美咲に向ってつぶやいた。
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