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「シャロン……私は」
なんとなく期待してしまいそうになる自分から逃げたくて公爵様から目を逸らせば、公爵様が何かを言いかける。しかし、それは扉のノックの音によって遮られた。
「奥様お休みのところ申し訳ありません。こちらにジーン公爵閣下はおられますでしょうか?」
それはあまり聞き慣れない声によって。
「ツォンか。いるが、今は……」
名前を聞いて、その声がこの三年間公爵様以上に関わりを持てなかった執事長であると理解する。こう言ってはなんだが、公爵様との何とも言えない二人の時間を遮ってもらえて思わず感謝を述べたくなるタイミングだった。
「それが至急お伝えが必要なことでして」
公爵様が断りを入れようとしたのを察してか、その用事が緊急性のあるものだと伝えられる。そのせいか公爵様はさすがに後回しにできないと判断したのか僕を気まずそうに見て扉に自ら向かった。
「わかった。話は聞くが、私の部屋に移る。シャロンはまだ休みが必要だろうからな。シャロン話はまた後で……」
「いえ、奥様へのお気遣いはよろしいのですが、奥様にも関係があることでして」
そうして僕を気遣った言葉と共に開かれる扉。だが、公爵様の気遣いを他所に、それを聞いた執事長が申し訳なさそうな声と表情で僕にも関係あることだと伝えられ、思わず首を傾げる。公爵家関連で僕への用事など今までなかったので疑問がわくのは仕方がないと思う。
公爵様も怪訝な表情になっているし。
「実は王城からお二人宛に手紙が届いていまして、一人はお二人に宛てた国王陛下から、奥様には個人宛にも第二王子殿下からお手紙が来ております」
「陛下はともかく第二王子?」
「リード……殿下から手紙が!?」
思わず敬称を忘れかけつつも、僕は親友からの手紙と聞いて声を上げずにはいられなかった。この三年間結婚後いくら手紙を送っても返事がもらえなかったから、てっきり学園の時と違って元々の身分のせいで届かないのかもと思い、連絡をとるの諦めていたから。
「……親しいのか?名前呼びが許されるほどに」
「唯一の親友なんです。この三年間手紙の返事がなかったので向こうは今どう思っているか分かりませんけど」
「そうか、親友か」
なんとなくほっとした様子の公爵様を不思議に思いつつ、執事長に駆け寄って手紙を受け取ろうとすれば執事長が急に頭を下げた。
「奥様大変申し訳ありません。手紙についてなんですが、どうやら今回処分を下される使用人貴族たちによって処分されていたようでして、これまで気づかず申し訳ありません」
「え……」
まさかそんなことまでされていたとは随分悪質だなと思う。そりゃ手紙の返事が来ないのも仕方がない。でもそうなるとリードが手紙すら送らない薄情者と僕のことを思ってないか不安になった。この手紙も絶交するとかだったりしたらさすがに泣きそうだ。
「昨日はそんなこと一言も聞いていなかったが」
どうやら公爵様も今知ったようだ。なら執事長がそれを知ったのは何でなんだろう?
「公爵様宛のは私が最初に預かることを知ってか、恐れ多くも第二王子殿下より私宛にも手紙がありまして、王城の使者により先に読むように言われ読んだのですが、そこに手紙について書かれていまして……第二王子殿下がその環境下でご自身が送っていた手紙は奥様に届いていたのかと。まさかとは思ったのですが手紙を届ける前に確認してまいりました」
ん?それってもしかして……
「あの、もしかして処分していたのは僕の書いた手紙だけじゃないということですか?それに今回のことをリード殿下はお知りに……?」
「その通りです。まさか王城からの手紙すら勝手に処分するような者がいたとは思いもせず……。また、今回のことは大量の貴族使用人の解雇のため、周りの貴族が騒がしくする可能性を考え、予め国王陛下に事情をお伝えしておりますのでそれで知ったのかと」
「身分を気にする癖にとんでもないことをしでかしたものだ。第二王子のこともあって随分お怒りなのか陛下から私とシャロン、後シャロンに暴行したもの、手紙を処分したものたちを急ぎ連れてくるように書いてあるな」
いつの間にか手紙を受け取り読んでいる公爵様。僕のことでここまでのことになるとは思いもしなかった。でもリードに今回のことがバレているなら想定以上に大事になりそうだ。リードは怒ると手をつけられないところがあるから……。
「あの、使用人たちはすぐ連れていく準備ができるんでしょうか?」
「まだ処分を下してないからな。公爵家の地下の牢屋に男女別で入れている。さすがに人数が人数だから牢屋が足りなかったが、その分は団体でまとめて放り込んだ。一応現時点でわかっていることでの処分準備はあるが、何せ人数が多いのでな、さらなる余罪もないか細部まで確認して改めてその処分でいいか処分の決定を決める予定だった」
なるほど、まだ公爵家に留まっていたから執事長も手紙についてすぐ確認できたのか。でもそうなると、本当にすぐにでも出発できそうな雰囲気である。リードの怒りを時間を稼いである程度落ち着かせる作戦は普通に無理そうだ。
「罪人についてはこちらで手配いたします。とりあえず、奥様も第二王子殿下からのお手紙を読まれますか?もし手紙内容に他に指示があれば言っていただければと思いますので」
「あ、はい」
親友からの手紙に、嬉しさや不安など色々読むまでに思ったものだけど、今は正直嫌な予感をひしひしと感じている。これでリードの怒り具合がわかりそうではあるんだけど……。
恐る恐る手紙を開くとすごく可愛らしい文字で怖いことが書かれていた。
「あ、めっちゃ怒ってる」
思わずそう声に出てしまうくらいに怒ってると思うリードからの手紙の内容には……
なんとなく期待してしまいそうになる自分から逃げたくて公爵様から目を逸らせば、公爵様が何かを言いかける。しかし、それは扉のノックの音によって遮られた。
「奥様お休みのところ申し訳ありません。こちらにジーン公爵閣下はおられますでしょうか?」
それはあまり聞き慣れない声によって。
「ツォンか。いるが、今は……」
名前を聞いて、その声がこの三年間公爵様以上に関わりを持てなかった執事長であると理解する。こう言ってはなんだが、公爵様との何とも言えない二人の時間を遮ってもらえて思わず感謝を述べたくなるタイミングだった。
「それが至急お伝えが必要なことでして」
公爵様が断りを入れようとしたのを察してか、その用事が緊急性のあるものだと伝えられる。そのせいか公爵様はさすがに後回しにできないと判断したのか僕を気まずそうに見て扉に自ら向かった。
「わかった。話は聞くが、私の部屋に移る。シャロンはまだ休みが必要だろうからな。シャロン話はまた後で……」
「いえ、奥様へのお気遣いはよろしいのですが、奥様にも関係があることでして」
そうして僕を気遣った言葉と共に開かれる扉。だが、公爵様の気遣いを他所に、それを聞いた執事長が申し訳なさそうな声と表情で僕にも関係あることだと伝えられ、思わず首を傾げる。公爵家関連で僕への用事など今までなかったので疑問がわくのは仕方がないと思う。
公爵様も怪訝な表情になっているし。
「実は王城からお二人宛に手紙が届いていまして、一人はお二人に宛てた国王陛下から、奥様には個人宛にも第二王子殿下からお手紙が来ております」
「陛下はともかく第二王子?」
「リード……殿下から手紙が!?」
思わず敬称を忘れかけつつも、僕は親友からの手紙と聞いて声を上げずにはいられなかった。この三年間結婚後いくら手紙を送っても返事がもらえなかったから、てっきり学園の時と違って元々の身分のせいで届かないのかもと思い、連絡をとるの諦めていたから。
「……親しいのか?名前呼びが許されるほどに」
「唯一の親友なんです。この三年間手紙の返事がなかったので向こうは今どう思っているか分かりませんけど」
「そうか、親友か」
なんとなくほっとした様子の公爵様を不思議に思いつつ、執事長に駆け寄って手紙を受け取ろうとすれば執事長が急に頭を下げた。
「奥様大変申し訳ありません。手紙についてなんですが、どうやら今回処分を下される使用人貴族たちによって処分されていたようでして、これまで気づかず申し訳ありません」
「え……」
まさかそんなことまでされていたとは随分悪質だなと思う。そりゃ手紙の返事が来ないのも仕方がない。でもそうなるとリードが手紙すら送らない薄情者と僕のことを思ってないか不安になった。この手紙も絶交するとかだったりしたらさすがに泣きそうだ。
「昨日はそんなこと一言も聞いていなかったが」
どうやら公爵様も今知ったようだ。なら執事長がそれを知ったのは何でなんだろう?
「公爵様宛のは私が最初に預かることを知ってか、恐れ多くも第二王子殿下より私宛にも手紙がありまして、王城の使者により先に読むように言われ読んだのですが、そこに手紙について書かれていまして……第二王子殿下がその環境下でご自身が送っていた手紙は奥様に届いていたのかと。まさかとは思ったのですが手紙を届ける前に確認してまいりました」
ん?それってもしかして……
「あの、もしかして処分していたのは僕の書いた手紙だけじゃないということですか?それに今回のことをリード殿下はお知りに……?」
「その通りです。まさか王城からの手紙すら勝手に処分するような者がいたとは思いもせず……。また、今回のことは大量の貴族使用人の解雇のため、周りの貴族が騒がしくする可能性を考え、予め国王陛下に事情をお伝えしておりますのでそれで知ったのかと」
「身分を気にする癖にとんでもないことをしでかしたものだ。第二王子のこともあって随分お怒りなのか陛下から私とシャロン、後シャロンに暴行したもの、手紙を処分したものたちを急ぎ連れてくるように書いてあるな」
いつの間にか手紙を受け取り読んでいる公爵様。僕のことでここまでのことになるとは思いもしなかった。でもリードに今回のことがバレているなら想定以上に大事になりそうだ。リードは怒ると手をつけられないところがあるから……。
「あの、使用人たちはすぐ連れていく準備ができるんでしょうか?」
「まだ処分を下してないからな。公爵家の地下の牢屋に男女別で入れている。さすがに人数が人数だから牢屋が足りなかったが、その分は団体でまとめて放り込んだ。一応現時点でわかっていることでの処分準備はあるが、何せ人数が多いのでな、さらなる余罪もないか細部まで確認して改めてその処分でいいか処分の決定を決める予定だった」
なるほど、まだ公爵家に留まっていたから執事長も手紙についてすぐ確認できたのか。でもそうなると、本当にすぐにでも出発できそうな雰囲気である。リードの怒りを時間を稼いである程度落ち着かせる作戦は普通に無理そうだ。
「罪人についてはこちらで手配いたします。とりあえず、奥様も第二王子殿下からのお手紙を読まれますか?もし手紙内容に他に指示があれば言っていただければと思いますので」
「あ、はい」
親友からの手紙に、嬉しさや不安など色々読むまでに思ったものだけど、今は正直嫌な予感をひしひしと感じている。これでリードの怒り具合がわかりそうではあるんだけど……。
恐る恐る手紙を開くとすごく可愛らしい文字で怖いことが書かれていた。
「あ、めっちゃ怒ってる」
思わずそう声に出てしまうくらいに怒ってると思うリードからの手紙の内容には……
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